VTIと楽天・全米株式インデックスファンドはどちらが得か?メリット・デメリットを比較してみる。

楽天投信からバンガード社のVTIに投資をする投資信託が販売される事になりました。

そこで気になるのは本家VTIと投資信託版のVTI(楽天・全米株式インデックスファンド)のどちらに投資をするのが得であるかという疑問。

これは正直私も気になります。単純に信託報酬だけ見ればVTIが優れていますが、その他コストを比較すると見える世界はまた違ってきます。

VTI【バンガード®・トータル・ストック・マーケットETF 】とは?

VTIはCRSP USトータル・マーケット・インデックスをベンチマークとしています。同指数は米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%をカバーしていることから、このETF1本でアメリカ市場を丸ごと買えてしまう事になります。

VTI基本情報

設定日 2001年5月24日
純資産 7.5兆円
平均出来高 2,069,034
分配利回り 1.82%
経費率 0.04%
銘柄数 3,606

 

S&P500との比較チャート(VTI:ローソク足、S&P500:ラインチャート)

3,606銘柄への分散投資が僅か0.04%の経費率で可能なVTIは優秀と認めざるを得ません。

VTIの設定当初からの比較ではS&P500をも上回っています。特にリーマンショック後の伸びは素晴らしく、長期投資に相応しいETFと言えるでしょう。

VTIが対象としているのはアメリカ市場のほぼ全ての銘柄です。その中には成長余力が十分にある小型株も多く含まれていますから、歴史的な金融緩和の下で、大型株中心であるS&P500をアウトパフォームした結果が上記チャートに表れていると言えるでしょう。

逆に小規模な企業は大企業に比べ体力がありません。故にS&P500の方が景気後退期には若干耐性があると言えるかもしれません。

VTIとS&P500、ETF投資を始めるに辺り、どちらを選ぶか悩む方も多いかもしれませんが、小型株の成長を享受したいならVTIを、大型株中心の投資をしたいのならS&P500を選べば良いと思います。

ここまで優秀なETFならどちらでも良いというのが私の本音です。

楽天・全米株式インデックスファンドとは?

楽天・全米株式インデックスファンドを一言で言えば、VTIの投資信託版です。

我々個人投資家はベビーファンドを通じて、間接的にVTIを購入します。VTIを直接買うのはマザーファンドです。投資家から資金を調達したベビーファンドはマザーファンドに集約され、VTIの買付を行います。

これをファミリーファンド方式と言います。なんでこのような面倒な形態を取るかと言うとそのほうが資金調達面・コスト面からして効率的だからです。

この辺りはあまり深く考えないで大丈夫です。間にベビーファンドを挟んでいるからと言ってその分手数料が取られるという訳ではありませんし、そもそも資金面の効率化も兼ねての仕組みなのでサラッと理解する程度で構いません。

ETFと投資信託の違い

楽天・全米株式インデックスファンドとETFを比較する前に、投資信託とETFそのものの大まかな違いを理解しておきましょう。

1.上場しているか否か

最も大きな違いは証券取引所に上場しているか否かになります。証券取引所に上場することによりリアルタイムでの売買が可能となります。

2.ETFには市場価格と基準価額がある、投資信託は基準価額のみ

1の理由からETFには市場で取引される価格、言ってみれば株価が存在します。ETFは現物株の集合体ですから、現物株バスケットの合計÷ETF発行口数が基準価額となり、普通に考えれば市場価格とも一致するはずです。しかし、時には両者の間に乖離が生じる事があります。こんな時に活躍するのが指定参加者による裁定取引です。指定参加者の裁定取引のお陰で乖離が埋まり、投資家達は適正な価格でETFを売買することが出来るのです。

一方で投資信託は基準価額しかありません。基準価額は原則的に1日1回、しかも証券取引所での取引終了後にしか発表されませんので、ETFのように相場の雰囲気を読んだうえでの取引は出来ません。

3.ETFは指値・成行、空売りも可能

投資信託は1日に1回算出される基準価額でしか取引できませんが、ETFは市場でリアルタイムに価格変動するため、指値で買ったり、成行で買ったりと、通常の株式と同じような注文方法での取引が可能です。また、相場が下がると思えば、売りから入る=空売りをすることも出来ます。

4.売買手数料の違い

ETFは他の株式と同じように売買手数料が掛かります。一部NISA口座等では売買手数料が無料になるキャンペーンを行っていたりしますが、通常の証券口座であれば買いと売りの両方に手数料が発生します。

対して投資信託ではノーロード、売買手数料が掛からない商品も増えてきているため、毎月少額で積み立てを行う際も、手数料負けの心配をする必要がありません。

5.信託報酬の違い

基本的にETFの手数料は激安です。モノにもよりますが、基本は0.5%以下。バンガードの主力商品に至っては0.1%以下がほとんどです。本家VTIも経費率は僅か0.04%、100万円で400円ですから、圧倒的な低コストです。投資信託はアクティブファンドはやや高めで1~2%程度ですが、インデックスファンドはかなり割安な水準となっています。ただし、結局は運用会社によります。バンガードやブラックロックなどの海外企業はギリギリまで経費率を抑えてはいますが、そうでないところもまだまだ存在するため注意が必要です。

長期投資前提なら信託報酬は安ければ安い程良いです。僅かな差が将来のリターンを大きく左右します。

5.投資信託には無分配の商品がある。また、分配金の自動再投資機能もある。

私は高配当系のETFに投資をしています。ETFから吐き出される分配金には当然税金が掛かります。アメリカETFの場合は現地で10%徴収され、さらに国内で20%課税されますから、実際に入ってくるのは約70%程しかありません。これが無分配の投資信託の場合は、分配金として吐き出される前に再投資されますから、税金が掛からない事になります。

楽天・全米株式インデックスファンドはアメリカ市場上場のETFが投資対象ですから、現地での10%分の課税はどうしようもありません。しかし、仮に無分配だとしたら国内分の20%の課税を繰り延べる事が出来るので、その点は有利であると考えられます。楽天・全米株式インデックスファンドの分配金については後程解説いたします。

また、分配金の再投資についてですが、ETFの場合は再投資から何まで全て自分で行なわなければなりません。しかし、ETFは普通の株式に比べ少額から可能だとしても、その都度再投資していては手数料負けする確率が大です。そもそもの投資金額が大きければ、分配金もそれなりの金額になるため分配ごとに投資可能かもしれませんが。正直この辺りは各個人の資金量によりますので、何とも言えないところですね。

楽天・全米株式インデックスファンドの分配金について

先程、税金面を考慮すると無分配が望ましいと言いましたが、楽天・全米株式インデックスファンドの分配金事情はどうなっているのでしょうか?

目論見書によると、ファンドの決算日である7月15日に分配方針を決める、と記載されています。また、将来の分配金の支払い及びその金額については保証しないとのこと。要するに、その時になって見ないと分からないという事ですね。

楽天・全米株式インデックスファンドの場合、分配金の原資となるのは本家VTIからの分配金ですが、現地での課税(10%)が行われた残りが分配金として吐き出されるか、ファンド内で再投資されるかという事になりますね。ちなみに、積立NISA及び現行NISAで当投資信託を購入した場合でも現地課税の10%は免除されません。

積立NISAの場合は例え、分配金を国内分非課税で受け取る事が出来たとしても、それを再投資するのに残りのNISA枠を使ってしまう事から、やや不利になるかもしれません。理想はファンド内での税金を繰り延べた上での再投資ですね。

では一体、楽天・全米株式インデックスファンドの分配金を支払う、支払わないの基準は何なのか?

これについては当然ながら記載がありませんので、私なりの考えを述べますと、ベンチマークとの差を埋めるために分配金を出す可能性があるということでしょうか。

ご存知のように楽天・全米株式インデックスファンドは、CRSP USトータル・マーケット・インデックスをベンチマークとしています(正確には円換算ベース)。

その名の通り、インデックスファンドですからベンチマークに連動した運用成果を求められます。インデックスファンドが適正に運用されているか否かはベンチマークとの乖離を見れば分かります。優秀なETFの条件は低コスト&ベンチマークとの乖離が少ない、他にもありますが、とりあえずはこの2点が非常に大切です。

ここで言うベンチマークとの乖離が少ないというのは、例えベンチマークを上回っている成績を残せていたとしても、それは結果オーライとはなりません。もちろんベンチマークを大きく下回っているというのも宜しくありませんが、現物株拠出型ETFの場合は、少なくとも信託報酬分はベンチマークを下回る運用になるでしょう。

以上を考慮すれば、ベンチマークを上回った分だけ、それを分配金として吐き出すのではないかと言うのが私の考えです。

VTIと、楽天・全米株式インデックスファンドに100万円投資する場合のコストは?

このままではVTIと楽天・全米株式インデックスファンド、どちらに投資をするのが得か分からないので、100万円投資したと仮定して、それぞれにかかるコストを検証してみます。

また、より具体的な条件とするために保有期間を20年と定めた上で検証してみました。

VTI(ETF)に100万円投資する場合

1.為替手数料

海外ETFを買うためにはまず円を現地通貨に換える必要があります。SBI証券、楽天証券、マネックス証券のいずれも円⇔ドルの為替手数料は25銭ですから、100万円だと2500円掛かる計算になります。

ちなみに、住信SBIネット銀行なら通常時は15銭、現在はキャンペーン中で手数料無料になっています。また、SBI証券のFXを使えば1万通貨辺り5銭のスプレッドで現引きによるドルの取得が可能となっています。ただし、最低単位が1万通貨なので、1ドル100円と考えても100万円は必要なので、まとまった資金力がある時限定になります。

今回の検証では、各証券会社共通の25銭を基準に考えてみます。となると、100万円をドルに換える手数用は2,500円ということになります。

2.売買手数料

NISA口座なら別ですが、ETFも通常の株式と同様に売買手数料が掛かります。売買手数料に関してもSBI証券、マネックス証券、楽天証券、以上3社は同水準ですので、そちらを元に検証します。

海外ETFの買付に掛かる手数料は、1取引あたり約定代金の 0.45%(最低手数料は5米ドル。手数料上限は20米ドル)です。

つまり、100万円分のVTIを買おうとした場合は、上限手数料の20ドルが適用されます。仮に1ドル100円とするなら2,000円の売買手数料が掛かるという訳ですね。

3.経費率

VTIの経費率は0.04%、超破格です。100万円の投資ならば年間400円で、これが日割りにより純資産から差し引かれるわけですから、圧倒的低コストと言えますね。

VTIに100万円投資するために掛かる費用合計(1ドル100円計算)

①為替手数料(2,500円)+②売買手数料(2,000円)+③経費率(400円)=4,900円掛かる事になります。ただし、①と②は買付時のみの発生、③に関しては毎年発生するため、これを元に20年間保有した場合のコストを計算してみると以下のようになります。

初年度:4900円、2年目~20年目:400円、総額は12,900円になります。もちろん、基準価額の変動に合わせて年間コストも変わっては来ます。例えば、購入金額が100万円でも200万に値上がり、経費率が同じだったら年間コストは800円になります。よって、あくまで参考程度でお願いします。バンガードがさらなる値下げに踏み切る可能性も十分にありますから、この辺りは何とも言えませんからね。

楽天・全米株式インデックスファンドに100万円投資をする場合

1.為替手数料

楽天・全米株式インデックスファンドは為替ヘッジをいませんが、買付は円で行なう事が出来ます。よって為替手数料は不要です。

2.売買手数料

楽天・全米株式インデックスファンドはノーロードなので売買手数料は不要です。

3.信託報酬

年率0.1696%、キリよく0.17%として計算します。100万円×0.17%=1700円×20年間=34,000円。

一括で100万投入し20年間保有し続ける場合のコストは、VTIが12,900円、楽天・全米株式インデックスファンドが34,000円になります。

じゃあ、ETFの方がお得なのかと言うと、それが必ずしも正解とは言えません。

先程の例では一括投資と言う前提でしたが、これが毎月の一定額による積立投資だった場合はどうでしょうか?

当然ながら楽天・全米株式インデックスファンドは売買手数料が掛かりません。つまり、いくら少額ずつ投資しようが手数料負けを心配をする必要がないのです。

対して、VTIに毎月10万ずつ投資をすると考えたらどうでしょうか?

1ドル100円と考えると、1,000ドル投資するたびに1000×0.45%=4.5ドル、この場合は最低手数料に届かないため5ドルが適用され、月に10万円×10ヵ月で考えると、5ドル×10ヵ月=50ドル、つまり5千円掛かる事になります。これが月5万円だったら、5ドル×20ヵ月ですから、100ドル、つまり1万円掛かる事になります。仮に月々の投資額が2万円とすると、それに掛かる売買手数料は5ドル×50ヶ月ですから、250ドル、25,000円もの手数料が掛かる事になります。この辺りになると投資信託とETFの総コストの優劣が逆転してきます。よって、毎月の積立が少額+積立期間が長ければ長い程、ETFとのコストの差が徐々に縮まってくることになります。

0.04%と0.17%の大きな差

ハッキリ言って0.17%でも十分低コストなんですよね。ただ、長期で保有すると0.04%との間には大きな差が開いてきます。

信託報酬が未来のリターンに与える影響(投資金額は1,000万円と仮定)

運用年数 0.04% 0.17% 1%
1年 4,000 17,000 100,000
3年 12,000 51,000 300,000
5年 20,000 85,000 500,000
10年 40,000 170,000 1,000,000
15年 60,000 255,000 1,500,000
20年 80,000 340,000 2,000,000
25年 100,000 425,000 2,500,000
30年 120,000 510,000 3,000,000

 

上記表を見ても分かるように20年後には28万円もの差が付きます。

また、1%と言う数字もかなり低い印象を受けますが、30年運用した際のコストの差は歴然。0.04%と比べると290万円近くの差が出るのですから。

これを考えれば徹底的な低コスト戦略を取っているバンガードへの資金流入が続く理由も分かる気がしますね。バンガードには今後も期待したいところです。

ETFVTI)のメリットデメリット

メリット

1.手数料負けしない事を考慮すれば投資信託と比べても圧倒的にお得

2.分配金が強制的に吐き出され、課税されてしまうが、再投資先を自分で選ぶことが可能

3.再投資&買付を自分で行なう必要があるため、投資信託よりは相場観が身に付く(かもしれない)

4.市場でリアルタイムで株価を見ながら取引をすることが出来る

デメリット

1.手数料が発生する分少額積み立てには向かない

2.為替取引等の手間が投資信託よりも多い

3.自動再投資が出来ない=人によっては面倒に感じる

投資信託(楽天・全米株式インデックスファンド)のメリット・デメリット

メリット

1.為替手数料、売買手数料が無料

2.手数料負けを気にする必要がない分、少額からの積み立てが可能

3.積立額を指定すれば後は全自動、完全ほったらかし運用が可能

デメリット

1.本家VTIよりも若干信託報酬が高い

2.一括投資ならETFに分がある

3.全自動のため投資スキルが身に付かない?

まとめ

サラッと書こうと思ったのですが、やたら長文になってしまいました。

トータルで見れば楽天・全米株式インデックスファンドの方が若干コストは掛かります。とは言っても十分に低コストですし、為替取引やら買付やら、その他諸々面倒くさい作業を全て自動で行ってくれます。

よって、確実に積み立て投資を行いたい人は、楽天・全米株式インデックスファンドを選んでも良いのかなと思います。

私は為替取引から買付まで全て自分でやりたい派なので今後も投資信託を購入する予定はありませんが、そうでないならETFにこだわる必要はありません。

多忙な現代人が資産形成を行う上で、投資信託は非常に有能な存在です。これを機に本当に心からお勧めできるような投資信託が増えてくると良いですね。

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