VHT、XLV、IXJを比較してみる。ヘルスケアセクターETFはどれを選ぶべきか?

1957年から2003年までの間に、最も高いリターンを記録したのがヘルスケアセクターです。少子高齢化が進行する日本の人口は日々減少するばかり。2055年には1億人を切るとも言われています。片や、世界全体の人口は増加の一途を辿り、現在70億人程度であるのに対し、2050年には97億人まで増加することが見込まれています。

これを考えれば、生活必需品セクターやヘルスケアセクターが過去だけでなく、将来も有望視される理由が分かる事でしょう。

医療の進歩には莫大な研究開発費が掛かります。特許切れで利益は減少し、新薬開発失敗との報道がなされれば株価急落だってあり得ます。

それでも、全体で見れば今後も成長が見込まれる、それがヘルスケアセクターなのです。

VHT【バンガード・米国ヘルスケア・セクターETF】

バンガードのETFはどれも低コストで長期投資向きです。採用する指数を変更してまで低コストを貫くという姿勢は、尊敬に値します。

その徹底した低コストぶりが世間から認められ、今や世界第2位の純資産額を持つ運用会社になりました。低コストによる長期投資=バンガードのETF、私の中でのバンガードのイメージは正しくこれです。

VHT基本情報【平成29年9月19日時点】

設定日 2004年1月26日
純資産 6260億円
平均出来高 190,142
分配利回り 1.27 %
経費率 0.10%
銘柄数 358

主要ETFと比較すると純資産額は多くありませんが、長期保有するならば心配する必要のない水準です。経費率も低めに設定されており、コストも最低限で済みます。

しかし、分配利回りが低い…。ヘルスケアセクターはファイザーなどの成熟企業は十分な分配をしていますが、業界全体で見れば新薬等の研究開発費に膨大な予算が掛かる分野です。

本業により稼いだ利益は、事業への投資にというスタイルはある意味仕方ないのかもしれません。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがVHT)

S&P500を大きく上回っています。もちろん、期間を変えて見ればパフォーマンスは多少違って吐きますが、それでも素晴らしいリターンです。

この値動きが将来に渡って約束できるわけではありませんが、それなりの期待を感じずにはいられません。

構成銘柄上位10

ジョンソン&ジョンソン 10.2%
ファイザー 6.3%
メルク 5.3%
ユナイテッドヘルス・グループ 4.8%
アムジェン 3.7%
メドトロニック 3.4%
アッヴィ 3.2%
セルジーン 2.9%
ブリストル・マイヤーズ スクイブ 2.7%
アラガン 2.7%

ジョンソン&ジョンソンとファイザーは日本人の多くがお世話になっている企業。その他は米国株に投資している人以外はほとんど知らない企業ばかりだと思います。

ヘルスケアセクターはバイオ系企業も含まれているため、これも利回り低下の一因になっています。バイオ系は無配企業も多く存在しますので、ヘルスケアセクターを丸ごと買うという観点に立った場合、配当を求めるのはナンセンスな話かもしれません。

XLV【ルスケア・セレクト・セクター SPDR® ファンド 】

世界最大の純資産を誇るSPYを運用しているのがステートストリートです。近年は、ブラックロックとバンガードの低コスト運用から若干遅れを取っているようにも見えますが、世界第3位の規模を誇るステートストリートならば、いつの日かそれに追随してくると信じています(私の願望)。

XLV基本情報【平成29年9月19日時点】

設定日 1998年12月16日
純資産 1.4兆円
平均出来高 6,728,270
分配利回り 1.44 %
経費率 0.14%
銘柄数 64

設定が3つの中で最も古いだけあって、純資産額、流動性共に十分です。銘柄数は64とVHTに比べればかなり少なくなりますが、十分な分散効果があると言えます。

経費率も低い。バンガードよりは高く設定されていますが、それでも長期保有に適した優良ETFと言えるでしょう。ネックなのは分配利回り。こちらはVHTと同じです。配当を積極的に狙いに行くETFではないという事ですね。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがXLV)

VHT同様見事なまでにS&P500をアウトパフォームしています。分配利回りが低くてもこれだけのリターンを上げてくれれば、十分とも言えそうです。ただし、当然ながら配当再投資戦略には向かないという事は理解しておくべきでしょう。

構成銘柄上位10

 ジョンソン&ジョンソン  11.45%
 ファイザー  6.69%
 ユナイテッドヘルス・グループ  6.09%
 メルク  5.69%
 アッヴィ  4.29%
 アムジェン  4.29%
 メドトロニック  3.53%
 セルジーン  3.52%
 ギリアド・サイエンシズ・インク  3.41%
 ブリストル・マイヤーズ スクイブ  3.26%

上位10銘柄の多くはVHTと被っています。ただ、組入れ銘柄が少ない分、XLVの方が各銘柄の割合が高いと言えるかもしれません。

正直、銘柄の割合だけでは優劣は付けられません。

IXJ【iシェアーズ グローバル・ヘルスケア】

純資産額第2位の規模を誇るのがiシェアーズのETFで知られるブラックロックです。

主要ETFに関しては、ブラックロックとの値下げ競争により徹底した低コスト戦略を選択してきました。しかし、IXJに関してはやや高めの経費率となっています。

IXJが他の2つ違うのは、アメリカだけでなく世界のヘルスケア企業を組み込んでる点です。その中には日本企業も含まれています。

IXJ基本情報【平成29年9月19日時点】

設定日 2001年11月13日 
純資産 1750億円
平均出来高 56,700
分配利回り 1.98% 
経費率 0.48%
銘柄数 117

純資産、出来高共に3つの中で最も少ないです。繰上償還のリスクがある程の水準ではありませんが、流動性の低さは、売りたい時に売りたい値段で売れない。買いたい時に買いたい値段で買えない、というリスクを生み出す要因になります。

長期投資のバイ&ホールド戦略だからと言っても、流動性は高いに越したことはありません。分配利回りは他の2つに比べて若干高めですが、経費率の高さがそれを帳消しにしてしまうでしょう。

それでも、アメリカだけでなく、世界のヘルスケア企業に投資をしたいという場合はこのETFも選択肢の1つとなるのかもしれません。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがIXJ)

他のETF同様S&Pをアウトパフォームしています。

しかし、そのリターンを見ると他の2つよりかはやや抑え目です。

構成銘柄上位10

ジョンソン&ジョンソン 7.84% 
ノバルティス(スイス) 4.85% 
ファイザー 4.58% 
ユナイテッドヘルス・グループ 4.13% 
メルク 3.90% 
ロシュ・ホールディングス 3.85% 
アムジェン 2.94% 
アッヴィ 2.94% 
サノフィ(フランス) 2.91% 
セルジーン 2.91% 

全体を見れば他のETFと変わりませんが、IXJにはフランス企業のサノフィやスイスのノバルティスが含まれています。

ちなみに、IXJに組み込まれている日本企業は以下の通りです。

  1. 武田薬品
  2. アステラス製薬
  3. 大塚ホールディングス
  4. 塩野義製薬
  5. エーザイ
  6. 第一三共
  7. テルモ
  8. 小野薬品
  9. オリンパス
  10. シスメックス
  11. 中外製薬
  12. 大正製薬

アメリカが全体の68%、スイスが9.32%、イギリスが5.21%、日本は4.67%となっています。

VHT、XLV、IXJを比較

もう一度各ETFの特徴をまとめ、比較検証してみます。

比較項目 VHT XLV IXJ
設定日 2004年1月26日 1998年12月16日 2001年11月13日 
純資産 6260億円 1.4兆円 1750億円
平均出来高 190,142 6,728,270 56,700
分配利回り 1.27 % 1.44 % 1.98% 
経費率 0.10% 0.14% 0.48%
銘柄数 358 64 117

 

ETFを長期保有する上で重要な事が低コストの商品を選ぶという事です。経費率の僅かな差は、将来のリターンに多大な影響を及ぼします。

運用年数による経費率が与える影響(投資金額は1,000万円と仮定)

運用年数 VHT(0.10% XLV(0.14% IXJ(0.48%
1年 10,000 14,000 48,000
3年 30,000 28,000 144,000
5年 50,000 70,000 240,000
10年 100,000 140,000 480,000
15年 150,000 210,000 720,000
20年 200,000 280,000 960,000
25年 250,000 350,000 1,200,000
30年 300,000 420,000 1,440,000

長期で見るとこれだけの差が付きます。ETFは基本的に長期投資です。僅か0.38%違うだけで30年後のリターンは100万円以上も違ってくるのです。

経費率を基準に考えた場合はVHTが優れていると言えるでしょう。XLVもVHTには劣りますが、十分低コストと言えます。IXJは若干高めです。

純資産・出来高

どのETFも純資産額から見た場合、繰上償還のリスクは極めて低いと言えます。長期保有前提と言っても、流動性や純資産が多いに越したことはありません。

それを考えた場合、最も優秀なのはXLVと言えます。

分配利回り

VHTとXLVは同水準、IXJが他のETFより若干高めに設定されてはいますが、経費率を考慮すると、差し引きトントンとなってしまうでしょう。つまり、どのETFでも大差ないという事です。

銘柄数

VHTは358とかなり広く分散が効いています。しかし、XLVの64と言う数字でも十分すぎる程の分散効果が期待できます。よって、銘柄数の観点に立てば、どれでも「有り」ということになります。

VHT(ローソク足)、XLV(ラインチャート赤)、IXJ(ラインチャート青)の推移を比較

チャートで判断すると、VHT、XLV、IXJの順となります。

まとめ

経費率で選べばVHT

純資産・流動性で選べばXLV

世界分散投資したいのならIXJ

この中だったらVHTに魅力を覚えます。今後さらに、VHTに資金が流入し、純資産額が増えていけば経費率の引き下げも考えられますし、XLVに含まれていない小型株の恩恵を受けられるのもVHTの魅力だと思います。

また、どうしてもヘルスケアセクターETFの分配利回りの低さが容認できないという人は、個別銘柄で投資をするという手もあります。

ジョンソン&ジョンソン、ファイザー、メルクなどの優良企業なら配当金もそこそこですし、シーゲル派の投資家からの人気も高いでしょう。

ETFという手軽さを取るか、個別銘柄でリターンを狙うか、これは永遠のテーマと言えるでしょう。また、ポートフォリオのコアはS&P500ETFにして、その周りに高配当の個別銘柄を組合わせていくという戦略だってあります。

何はともあれ、ヘルスケアセクターはETF、個別銘柄関係なく、ポートフォリオの一部に加えたい業種であります。

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