VHT(ヘルスケア)とVDC(生活必需品)はS&P500のパフォーマンスをも超える

現在、S&P500のセクターは11種類。生活必需品、ヘルスケア、公益事業、情報技術、資本財、エネルギー、電気通信、一般消費財、金融、素材、不動産です。

バンガードは各セクター別のETFを揃えており、セクターによってはS&P500のパフォーマンスをも超えるETFも存在します。

今回は、そんな中でもディフェンシブ系セクターとして人気のある、VHT(生活必需品セクター)とVDC(ヘルスケア・セクター)をご紹介します。

投資家のバイブル「株式投資の未来」から分かる事

名著、株式投資のバイブルにおいては、ヘルスケア・生活必需品の両セクターが最も高いリターンを上げていると書かれています。

実際に本書に記載されている1957年~2003年の各セクター別リターンを改めて見てみましょう。

※不動産セクターは2016年9月1日より新たに加わったため、データがありません。

セクター 実質リターン
ヘルスケア 14.19%
生活必需品 13.36%
情報技術 11.39%
エネルギー 11.32%
一般消費財 11.09%
金融 10.58%
資本財 10.22%
電気通信 9.63%
公益事業 9.52%
素材 8.18%
S&P500平均 10.85%

これを見ると、ヘルスケアと生活必需品セクターのパフォーマンスが際立っています。そして、このセクターを再現するETFとして、人気があるのがブラックロックのHDVなのです。

HDVについてはバンガードのVYMとよく比較をされていますが、結局はその人次第と言えるでしょう。今後5年間を見たらHDVの方が上、さらに10年先を見たらVYMの方が優れている。そのまた….ってな具合です。

両ETFの特性を理解して投資すれば、それがその人にとっての正解となります。

では、上記のセクター別リターンとHDVの構成がどの程度被っているのか。実際に検証してみます。

まずは、HDVのセクター別構成割合を確認

生活必需品 22.32%
エネルギー 15.93%
ヘルスケア 14.15%
電気通信 13.09%
資本財 12.01%
情報技術 11.72%
公共事業 5.18%
資本財 5.68%
一般消費財 4.24%
金融 1.06%
キャッシュ等 0.29%

 

グラフにて両者の違いを比較

さて、上記の図をみても分かるように、過去のリターン上位4セクターに関しては、HDV1つで全て網羅している言えます。HDV自体は銘柄入れ替えもあるため、この比率は多少なりとも変化していく事が予想されますが、ヘルスケア・生活必需品の割合が大きく変わる事はないでしょう。

これで、シーゲル氏の検証を再現できるETFがHDVであるという事もご理解いただけたはず、では素直にHDVに投資をするのが良いのか…?

もちろんそれも選択肢の一つです。しかし、今回はタイトルにもあるように、過去リターンを最も上げた、ヘルスケアと生活必需品両者のセクター別ETFについてご紹介します。

なぜセクター別のETFなのか?

先ほども述べたように、HDVに投資することも、数ある正解の中の1つです。しかし、HDVの唯一のネックはエネルギー・セクターの割合が高い事。1957年~2003年の各セクター別リターンにおいて、エネルギーは情報技術に次ぐ4位でした。

しかし、過去は過去、もちろん未来はどうなるのか分かりませんが、ここ最近の原油価格はあまり思わしくありません。エクソンモービルやシェブロン等の大企業の経営が著しく悪化することは考えられませんが、原油価格に関しては需給の面からしても、先行きを楽観視できない状況にあります。

仮に、エネルギー株が反転することになれば、その構成比率の高いHDVは恩恵を受ける事になりますが、現時点では足踏みしている状況です。逆を言えば、エネルギーセクターの上昇が抑えられてる今こそ、HDVの仕込み時とも捉える事が出来ます。将来のリターンを追求した場合、仕込みの価格は非常に重要です。結局はものは考えようという事です。

もう少し先を見据えるのならば、HDVに含まれるスーパーメジャー石油企業は今後、原油の価格上昇余地が期待できないとしても、それを補うかのように、代替エネルギー事業の割合を増やし、新たなエネルギー開発を進める事でしょう。

上記の理由から、私はエネルギーセクターに関しては、あまり悲観的には考えていません。時代に合わせて事業内容を変化させていく、これは何もエネルギーセクターだけに求められる事ではないのですから。

しかし、エネルギーセクターへの投資はちょっと…という方もいるかもしれません。そんな方には、ヘルスケアと生活必需品の両セクターのETFに投資する選択肢もあるよ、ということでバンガードの中からVDCとVHTを取り上げてみます。

VHT【バンガード・米国ヘルスケア・セクターETF 】

VHT基本情報【2017年7月時点】

設定日 2004年1月26日
純資産 6400億円
平均出来高 177,448
分配利回り 1.32%
経費率 0.10%
銘柄数 358

 

保有上位10銘柄と純資産総額に占める割合

ジョンソン&ジョンソン 10.2%
ファイザー 6.3%
メルク・アンド・カンパニー 5.3%
ユナイテッドヘルス・グループ 4.8%
アムジェン 3.7%
メドトロニック 3.4%
アッヴィ 3.2%
セルジーン 2.9%
ブリストル・マイヤーズ スクイブ 2.7%
アラガン 2.7%

純資産総額に占める上位10銘柄の割合:45.2%

S&P500とVHTのチャートを比較【ロウソク足がVHT、ラインチャートがS&P500】

アメリカの人口は日々増え続けています。逆に日本の人口は減り続けています。全世界でみれば、2100年には110億人を超えるとの予想もあり、今後も増え続ける事が予想されます。

それに伴って高齢化も進み、医療分野には拡大の余地がまだまだあります。医療の発達により平均年齢が上昇→結果として高齢者が増える→さらに医療も拡大し続けるでしょう。

各国ともに医療費の削減には積極的です。しかし、今後も増え続ける人工・人が存在する限り無くなる事のない医療、という観点から見ればヘルスケアセクターには上昇の余地がありそうです。

S&P500と比較しても、明らかにパフォーマンスではVHTが上を行っています。VHTの設定が2004年の1月という事、基準となる期間を変えて見ればS&P500が上回っている時もある、という事を考慮に入れれば、絶対的にVHTの方が高パフォーマンスとは断言できませんが…。

しかし、1つの基準として上記のチャートを参考にする事には意味があると思います。人類が存在する限り、永遠に発展を続けるヘルスケアセクター。その優良企業を丸ごと買えるVHTは魅力的なETFと言えるでしょう。

ただし、ヘルスケアセクターにおける新薬の開発は莫大な研究開発費を必要とします。ファイザーのような成熟企業がそれなりの配当を出してはいますが、その他成長途上の企業には無配も多く存在することから、ETF全体の分配利回りは低くなります。

VDC【バンガード・米国生活必需品セクターETF 】

VHT基本情報【2017年7月時点】

設定日 2004年1月26日
純資産 3900億円
平均出来高 96,999
分配利回り 2.59%
経費率 0.10%
銘柄数 103

 

 

 

設定はVHTと同じ2004年1月、純資産大分少ないですが、配当利回りはこちらの方が上です。

保有上位10銘柄と純資産総額に占める割合

P&G 10.7%
コカ・コーラ 7.9%
フィリップモリス 7.9%
ペプシコ 7.2%
アルトリア 6.2%
ウォルマート 5.0%
CVSヘルス 3.6%
コストコ 3.6%
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス 3.5%
モンデリーズ・インターナショナル 3.3%

純資産総額に占める上位 10銘柄の割合: 58.9

S&P500とVDCのチャートを比較【ロウソク足がVDC、ラインチャートがS&P500】

こちらもVHTと同じく、S&Pを上回るパフォーマンスを見せています。もちろん基準となる期間を変えれば、S&P500が上回っている時もありますが、それでもVDCの値動きは魅力的です。加えて、現在の分配利回りは2.59%、この数字はS&P500に連動する各社ETF(SPY・IVV・VOO)を上回っています。

生活必需品セクターもヘルスケアセクターと同じく、人類が存在する限り常に必要とされる分野です。景気に左右されず、常に一定の需要を生み続ける生活必需品は私たちの生活とは切れない関係にあります。これはVDCに採用されている企業にも同じことが言えます。世界の飲み物の中から「コカ・コーラ」が消える事は考えられません。

ナスダック等のハイテク銘柄が注目されやすい昨今ですが、こう言ったディフェンシブ銘柄こそ、永久に不滅であるという考え方もあります。ハイテクではなく、ローテク、自らがビジネスモデルを理解できる企業に投資をする。

バフェットの考えが間違っていない事を再確認する良い機会となりました。

VHTとVDCを比較してみる

両ETFともディフェンシブセクターの代表と言えますが、実際にどのような点に違いがあるのか。ここで改めて確認してみます。

【純資産】

VHT:6,222.9(百万米ドル) 

VDC:3,729.9(百万米ドル)

【配当利回り】

VHT:1.32%

VDC:2.59%

【構成銘柄数】

VHT:358

VDC:103

純資産は多ければ多いほど良いです。この2つのETFは他のバンガードETFに比べると、その点では劣っています。しかし、気にしすぎる程の数字ではありません。あくまで、上位と比較したうえでの数字です。

構成銘柄に関してはあまり、神経質になる必要はないでしょう。どちらも優良企業の集まりですし、VDCの103でも十分に分散は効いています。少数の企業の経営悪化ならば、それを十分に打ち消せるほどの分散力をどちらのETFも持っています。

重要なのは配当利回り、長期投資で買い増し、配当も再投資するというのを念頭に置けば、VDCの2.59%は魅力的です。加えて値上がり益も期待できるというのは株式系ETFの最大のメリットです。

ここで、VHT・VDC・S&P500の比較チャートを見てみましょう。

2004年を基準とすると、VHT・VDC・S&P500の順になります。

だからって今後もこの値動きが続くとは限りません。あくまで、現時点から過去を見た場合の結果です。しかし、投資先を決める判断基準の1つにはなります。インターネット上に溢れる情報では、初心者ならばS&P500に投資をすることが最も簡単かつ、効果を上げる事が出来ると謳われています。

この意見には私も同感であり、あらゆるセクターをバランスよく分散させている、S&P500に投資をするというのは王道であり、決して間違いはありません。

多くのアクティブファンドがこの指数に勝てないと言われていることからも、この考えは証明されています。

ただ、特にアメリカではETFの売買が盛んに行われており、その商品や経費率の安さは日本の比ではありません。

私のような米国株に投資を始めて間もない人は、S&P500に連動するETFを軸としながらも、VDCやVHTなどのディフェンシブセクターを組み込む。こうすることで自らの選択肢が広がり、投資がもっと楽しくなるのではないでしょうか。個別銘柄も素晴らしいのがたくさんありますが、ETFの分散力・手軽さ・安定性と言うのはなかなか捨てられません。

参考までに両ETF+HDVの分配金再投資後の基準価額の騰落率も載せておきます。

期間 騰落率
VDC VHT HDV
1ヶ月 -0.76% 6.66% 1.20%
3ヶ月 2.34% 9.28% 1.53%
6ヶ月 7.46% 17.58% 3.65%
9ヶ月 7.37% 13.47% 7.44%
1年 7.97% 20.20% 9.83%
2年 19.91% 8.63% 20.92%
3年 34.14% 39.41% 24.41%
5年 90.46% 139.51% 73.27%

 

どちらも設定年月日が同じという事を考えれば、上記の数字は非常に参考となるでしょう。VHTは分配利回りが1.32%とあまり高くはありませんが、値上がり分も加味すれば、VDCを大きく上回ります。

また、両ETF共に上記の期間ではHDVのパフォーマンスを上回っています。

配当金は確実なもの、値上がり益は不確実、確かにそれは間違いありませんが、含み益を抱える事は色々な意味でプラスに作用するでしょう。

未来永劫売るつもりはなく、下落の度に買い増しをし、配当を貰い続けるという戦略もありますので一概には言えませんが、大きく資産を増やすという事を考えた場合、大きく上昇する銘柄は魅力的なのです。

まとめ

今回紹介した、VHTとVDCの他にも一定の期間で見たら、S&P500を上回るETFはいくつかあります。ネットや知人がお勧めしている銘柄を、そのまま買うのも(米国ETFに限って言えば)悪くはありません。

しかし、それでは面白くない。是非自分で色々なETF・個別銘柄を調べ上げ、自分が納得の出来るETFを見つけてください。それでも「10年後、20年後には、別のETFの方がリターンは優れていた、最初からあっちを買えば良かった」なんて事も起こり得るかもしれません。

それはそれで良いのではないでしょうか?

むやみやたらに債券系ETFや新興国株式に手を出すのは、現在の私の投資戦略から外れてしまいますが、結局のところ、アメリカの株式系ETFならば、どのETFもそれなりのリターンをもたらしてくれる事でしょう。

やっぱりS&P500が良かった、あのセクターが良かった、いやはや個別銘柄の方が良かった。

言ってみればこれらは全て結果論であって、現時点で考える事にあまり意味はありません。

私の中では、短期取引中心から長期投資中心へ、日本株からアメリカ株へとシフト出来ただけでも、弱小投資家として少し前進できたのかなと思っています。

VHT(ヘルスケア)とVDC(生活必需品)はS&P500のパフォーマンスをも超える” に対して1件のコメントがあります。

  1. Amalfi より:

    はじめまして。Amalfiと申します。
    私はメインはニッセイ外国株式インデックスファンドですが、コアサテライトでVDC、VHTそれからVGTを購入しています。
    記事にあるように、今後の人口増加や高齢化を考えるとVDC、VHTはまだまだ魅力的だと、私も同感です。同じ方向性ですね。
    またお伺いさせていただきます。

    1. ルーカス より:

      Amalfi様

      ニッセイ外国株式インデックスファンドでリスク分散をしながら、バンガードのセクター別ETFで高いリターンを目指すという戦略を取る辺り、Amalfi様は投資に対して深く勉強されている方と見受けます。

      ニッセイ外国株式インデックスファンドは信託報酬も安く、購入手数料も掛からずで、日本の投資信託の中でも価値の商品であると私も思います。分配金は今のところ出ていませんが、税金や基準価格の上昇を考えるのなら、これもメリットに繋がりますよね。分配金ばかりで基準価格が右肩下がりの毎月分配型投資信託などは、何のために保有しているのか分かりませんからね。

      VDC、VHT、VGTどれも素晴らしいETFです。やはりバンガードの商品は優秀ですね!欲を言えば、VHT辺りなど、もう少し分配金を出してくれるとありがたいのですが。ヘルスケアセクター自体が研究開発費の掛かる業種であるという事を考えると、なかなか厳しいのかもしれません。

      いずれにせよ、同じ米国投資実践者として、今後も情報を共有出来たらなと思います。

      コメントありがとうございました!

      追記
      ブログ拝見しました。投資だけでなく、幅広い分野について書かれており、とても勉強になりました。今後も参考にさせて頂くと同時に、更新楽しみにしております!

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