VDE、XLE、IXCを比較してみる。エネルギーセクターETFはどれを選ぶべきか?

過去において、ヘルスケアセクター、生活必需品セクターと共に高いリターンを記録してきたエネルギーセクター。昨今の原油価格下落と、代替エネルギーの研究が加速する中で、原油市場そのものの構造が変化しつつあると言えるでしょう。

しかし、当面は原油の需要が無くなる事もありませんし、エクソンモービルやシェブロンなどの石油メジャーが破産に追い込まれるという姿も想像できません。

前述のヘルスケアセクターや生活必需品セクターに比べたら、多少なりとも慎重にならざるを得ませんが、逆を言えば、投資家達の期待感が薄れている今こそ投資妙味があるとも言えるかもしれません。

現在の原油価格を確認

原油価格の動向を確認する指標として有名なものに、ニューヨークマーカンタイル取引所(MYNEX)の先物市場に上場しているWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)と、イギリスの北海から採鉱されるブレンド原油があります。この2つは先物市場に上場している事から、採鉱量を超える量が日々取引されています。

ひと口に原油と言っても、その質は採鉱場所によって大きく異なり、中でもWTIは不純物が少なく良質な原油と言われています。

この他にもドバイ原油(スポット価格)などがありますが、基本的にはWTI原油価格の動向を確認しておけば良いでしょう。

リーマンショックによる急落、その後のOPEC減産見送りなどから再び急落する場面を見せていますが、長期で見れば1バレル=50ドルと言う価格はそれほど低い水準でもない事が確認できます。

エクソンモービルやシェブロンをはじめとした石油メジャーは何だかんだ言っても、その収益の大部分が原油価格に左右されてしまいます。

設備投資や採算コストの低下などにより、原油安自体への耐性も期待できるとは言え、コモディティビジネスには変わりありませんので。

フランス政府は2040年までに国内におけるガソリン及びディーゼル車の販売を禁止すると発表しました。この流れは他国でも見られ、今後の自動車産業はガソリンから電気へとシフトチェンジしていく事が予想されます。

だからと言って、石油の需要が急になくなる事はありません。少しづつ代替エネルギーの研究&移行が進むにしても、当面は石油に頼らざる得ないという現実が今後しばらくは続くからです。

正直、原油価格の今後を正確に予想することは困難です。ETFと言えど、エネルギー株に投資をするのならばその点だけは押さえておく必要があります。

VDE【バンガード®・米国エネルギー・セクターETF】

バンガードのVDEは、 MSCI USインベスタブル・マーケット・エネルギー25/50インデックスをベンチマークとしており、ポートフォリオの3割弱をエクソンモービルとシェブロンが占めています。

このインデックスの大半の企業は石油等掘削装置・その他エネルギー関連機器の建設またはサービス提供、石油・ガス製品の探査・開発・販売・精製または輸送のいずれかを主な事業としています。

つまり、原油価格の影響を色濃く反映するという事。原油価格がレンジ内で推移しているうちはあまり値上がり益に期待をしない方が良いかもしれません。

VDE基本情報【平成29年9月26日時点】

設定日 2004年9月23日
純資産 4440億円
平均出来高 267,870
分配利回り 1.89 %
経費率 0.10%
銘柄数 130

低い経費率、十分な分散効果とこの点については何の心配もありませんが、分配利回りの低さが気になります。エクソンモービルの配当利回りは3.8%、シェブロンは3.6%となかなかの高配当、しかもこの2社でポートフォリオの3割弱を占めているにも関わらず、VDEの利回りは1.89%。株価上昇が不安定であるならば、もう少し高い利回りを求めたいものです。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがVDE)

月足チャートで比較した場合、VDEがボラティリティが高く、不安定な動きをしています。ここ最近は2014年6月をピークに下落基調。時折上昇へと転じるような動きを見せるものの、結局はレンジ内での推移となっています。

構成銘柄上位10

エクソンモービル 22.4%
シェブロン 13.4%
シュルンベルジェ 7.2%
コノコフィリップス 4.1%
EOG・リソース 3.7%
オクシデンタル・ペトロリウム 3.2%
ハリバートン 2.8%
キンダー・モルガン 2.7%
フィリップス66 2.4%
アナダーコペトローリアム 2.3%

スーパーメジャーのシェブロン、エクソンモービル、コノコフィリップスを始め、その他の企業に関しても何らかの形で石油を通じたビジネスを展開している会社ばかりです。

また、上記スーパーメジャー3社でVDE構成全体の約30%を占めています。

XLE【エネルギー・セレクト・セクター SPDR® ファンド 】

ステートストリートのXLEはエネルギー・セレクト・セクター指数をベンチマークとしています。

正直、上位構成銘柄はVDEと大差なく、しかもエクソンモービルとシェブロンがポートフォリオの約40%を占めています。

しかし、分配利回りはVDEよりも高く、その点は魅力的であると言えます。

XLE基本情報【平成29年9月26日時点】

設定日 1998年12月16日
純資産 1.6兆円
平均出来高 13,219,869
分配利回り 3.18%
経費率 0.14%
銘柄数 34

ステートストリートのセクターETFはどれも銘柄数がバンガードに比べると少ないです(と言っても分散効果は十分ですが)。

VDE決定的に違うのは分配利回り。3%を超えているので、これなら高配当ETFとしての保有もありかもしれません。

出来高と純資産はXLEが圧倒しています。長期投資前提でも流動性は大切です。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがXLE)

値動き自体はVDEとほぼ同じです。やはり原油価格の影響をもろに受ける事もあり、ボラティリティは高め。ここ2年程は下落傾向にあります。

VDEよりも分配利回りが高い分、配当目的での保有が望ましいでしょう。値上がり益は不安定過ぎて予測出来ないので。

構成銘柄上位10

エクソンモービル 21.66%
シェブロン 17.35%
シュルンベルジェ 7.54%
コノコフィリップス 4.78%
EOGリソーシズ 4.37%
オクシデンタル・ペトロリウム 3.87%
フィリップス66 3.14%
ハリバートン 3.12%
キンダー モルガン 3.00%
バレロ・エナジー 2.69%

バレロエナジー以外はVDEと同じ。唯一違うのはエクソンモービルとシェブロンの割合だけで約30%を占めている事です。

XLEは構成銘柄が少ないのでその分一つひとつの割合が高いのが特徴です。構成銘柄だけをみたら結局は好みによるとしか言えません。

IXC【iシェアーズ グローバル・エネルギー ETF】

IXCはS&P Global 1200 Energy Sector Indexをベンチマークとしています。IXCが他のエネルギーセクターETFと違うのは、対象となる銘柄が北米以外も対象としている事です。

全体的な条件で見ればVDEとXLEよりも若干遅れている感は否めないのですが、世界のエネルギー関連企業に投資をしたい方はIXCを選べば良いと思います。

IXC基本情報【平成29年9月26日時点】

設定日 2001年11月12日 
純資産 1270億円
平均出来高 142,200
分配利回り 3.71%
経費率 0.48% 
銘柄数 87

やはり、ブラックロックのセクターETFは経費率が高い。これが理由かは分かりませんが、どのセクターETFも純資産は少なめです。分配利回りは他のETFより高いですが、経費率がその分を打ち消してしまいます。

ブラックロックとしてもETFの純資産が増えない限り経費率の値下げは厳しいでしょうから、この状況は今後も変わらずだと思います。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがIXC)

値動き自体はVDE、XLEとほとんど変わらず。相変わらず原油価格に左右されるボラティリティの高い値動きをしています。

構成銘柄上位10

エクソンモービル 14.12
シェブロン 9.28
トタル(フランス) 5.73
ロイヤル・ダッチ・シェル A(オランダ) 5.55
BP(イギリス) 5.19
ロイヤル・ダッチ・シェル B 4.72
シュルンベルジェ 3.98
エンブリッジ(カナダ) 2.83
コノコフィリップス 2.49
サンコアエナジー(カナダ) 2.37

ご覧のように上位10銘柄だけでも、アメリカ以外の企業が多く含まれています。

ちなみに、日本の企業は以下の通りです。

  1. JXTGホールディングス
  2. 国際石油開発帝石

アメリカが全体の53%を占めており、イギリスが15%、カナダが11%、日本は1%となっています。

VDE、XLE、IXCを比較

各ETFの特徴を比較してみます。

比較項目 VDE XLE IXC
設定日 2004年9月23日 1998年12月16日 2001年11月12日 
純資産 4440億円 1.6兆円 1270億円
平均出来高 267,870 13,219,869 142,200
分配利回り 1.89% 3.18% 3.71%
経費率 0.10% 0.14% 0.48%
銘柄数 130 34 87

 

ETFを長期保有する上で重要な事が低コストの商品を選ぶという事です。経費率の僅かな差は、将来のリターンに多大な影響を及ぼします。

運用年数による経費率が与える影響(投資金額は1,000万円と仮定)

運用年数 VDE(0.10% XLE(0.14% IXC(0.48%
1年 10,000 14,000 48,000
3年 30,000 28,000 144,000
5年 50,000 70,000 240,000
10年 100,000 140,000 480,000
15年 150,000 210,000 720,000
20年 200,000 280,000 960,000
25年 250,000 350,000 1,200,000
30年 300,000 420,000 1,440,000

長期保有前提ならば、低コストのETFを選ぶ。僅か0.38の違いが将来のリターンに大きな影響を及ぼします。

経費率を考えれば、VDEが最も魅力的となります。しかし、XLEも十分に許容範囲です。

純資産・出来高

IXCは純資産・流動性共に最も少ないです。繰上償還のリスクまで気にする必要はありませんが、IXCの経費率をみると、今後も資金流入に関しては限られると言えそうです。

よって、流動性と言う観点で見た場合はXLEが最も望ましいです。

分配利回り

XICがもっとも高利回りです。しかし、経費率の高さがそれを相殺してしまいます。それを考慮すればXLEが最も高利回りと言えそうです。

銘柄数

XLEが34と少ないようにも見えますが、分散投資と言う観点から見れば十分です。よって銘柄数を基準に考えた場合、どれも大差ないと言えます。

原油価格(ローソク足)、IXC(ラインチャート青)、XLE(ラインチャート赤)、VDE(ラインチャート茶)の推移を比較

どのETFも原油価格と連動しているのが分かります。

VDEとXLEの値動きはほぼ一緒。それに若干IXCが遅れをとっています。

まとめ

経費率で選べばVDE

純資産・流動性で選べばXLE

世界分散投資をしたいのならばIXC

分配利回りで選ぶならXLE

正直エネルギーセクターETFに関しては無理に購入をする必要がないと思います。シェブロン、エクソンモービル等の高配当石油メジャーをETFで保有したければHDVやVYMで事足りますし、何なら個別銘柄で買ってしまうという手もあります。

原油価格の影響が強いため、今後の株価について未知数ですし、配当利回りもHDVやVYMと同水準です。

私は現在エネルギーセクターETFは保有していませんし、今のところ購入の予定もありません。

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