VDC、XLP、KXIを比較してみる。生活必需品セクターETFはどれを選ぶべきか?

S&P500を大きく上回るリターンを残してきた生活必需品セクター。過去は過去、未来は予測できないと言っても、生活必需品は我々が生きていく上で無くてはならい存在です。

また、生活必需品セクターETFには、P&Gやコカ・コーラ、フィリップモリスなど、歴史のある成熟企業が名を連ねています。

これら企業が持つブランド力は強く、それが安定したキャッシュを生み出す源泉に繋がっています。

アメリカ市場への長期投資と言う観点に立てば、この生活必需品セクターも魅力的な投資先になるのではないでしょうか。

VDC【バンガード】

バンガードは徹底したコスト削減で知られる運用会社です。その運営理念や投資に対する考え方には、共感できる部分が多く、個人投資家からも多くの支持を得ています。

バンガード社は上場しておらず、バンガードのETFに自社の株式を組み込むというユニークな仕組みを採用しています。バンガードのETFを保有することは、バンガードの株主でもあるという事です。外部に株主がいないという事は、配当金の支払いや経営に口を出されないという事。これにより低コストを実現しているのです。

VDC基本情報【平成29年9月10日時点】

設定日 2004年1月26日
純資産 3800億円
平均出来高 102,115
分配利回り 2.6%
経費率 0.10%
銘柄数 103

 

分配利回りは高配当系のETFには劣りますが、経費率は安定の低さです。銘柄数も十分すぎる程分散されており、長期保有に適しています。

1日の出来高や純資産は他のメジャーなETFと比べると少ない気はしますが、繰上償還等を心配するレベルではありません。ベンチマークの乖離も微々たるものであり、バイ&ホールド戦略にも適しています。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがVDC)

リーマンショック後は大きくS&P500のリターンを上回っています。景気拡大期は安定した値動きかなと思いきや、ディフェンシブと言う名に似合わない上昇ぶりです。

 構成銘柄上位10位(純資産に占める割合58.9%)
プロクター&ギャンブル 10.7%
コカ・コーラ 7.9%
フィリップモリス 7.9%
ペプシコ 7.2%
アルトリアグループ 6.2%
ウォールマートストア 5.0%
CVSヘルス 3.6%
コストコ 3.6%
ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス 3.5%
モンデリーズ 3.3%

 

上位10銘柄は日本人でも知っている企業が多数。海外ETFなら尚更で、知っている企業が多い方が投資家としては安心しますし、優良企業が多いという事からも期待感が持てます。

XLP【ステートストリート】

現在、ETF業界で純資産第3位の規模を誇るのがステートストリートです。ステートストリートは純資産ETF第1位のSPYの運用会社でもあります。

経費率の値下げ競争では、ブラックロックやバンガードに遅れをとっている感はありますが、XLPに関しては純資産の多さと言う圧倒的なメリットがあります。

 XLP基本情報【平成29年9月10日時点】
設定日 1998年12月16日
純資産 9800億円
平均出来高 10,548,351
分配利回り 2.6%
経費率 0.14%
銘柄数 36

 

出来高、純資産共にVDCを大きく上回っています。分配利回りはVDCと同水準ですが、構成銘柄はずっと少ないです。少ないと言っても36であれば、分散効果としては十分です。経費率は0.14%と僅かながらVDCよりも高いですが、十分許容範囲です。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがXLP)

こちらも好調なのはリーマンショック後です。未来は予想できないと言えど、生活必需品セクターはS&P500にも負けないリターンを狙える可能性が十分にあるでしょう。

構成銘柄上位10位(純資産に占める割合54.09%)
プロクター&ギャンブル 13.08%
フィリップモリス 10.16%
コカ・コーラ 9.79%
ウォールマートストア 6.51%
アルトリアグループ 6.03%
ペプシコ 5.27%
CVSヘルス 4.64%
ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス 4.08%
コストコ 4.01%
コルゲート・パーモリーブ 3.60%

 

構成銘柄上位は我々にも馴染みのある有名企業。とは言ってもそのほとんどはVDCと被っています。

KXI【ブラックロック】

現在のETF業界において、純資産総額第一位を誇るのがブラックロックのiシェアーズシリーズです。バンガードとの経費率値下げ競争により、人気ETFのコストダウンを図ってはいますが、KXIはその恩恵を受けていないようです。

とは言っても、KXIはVDCとXLPにはない特徴があります。それをどう捉えるかが、投資判断の基準となりそうです。

KXI基本情報【平成29年9月10日時点】
設定日 2006年9月12日
純資産 710億円
平均出来高 17,793
分配利回り 2.41%
経費率 0.48%
銘柄数 107

 

純資産、出来高共に他の2つのETFに比べ圧倒的に少ないです。ETFの純資産が少なければ運用会社としても経費率は落とせませんから、必然的に高コストになります。分配利回りも若干ですが低いです。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがKXI)

リターンで見れば、S&P500を上回っているというのは他の2つと同じ。決め手となるのは他の要素となりそうです。

 構成銘柄上位10位(純資産に占める割合38.48%)
ネスレ 7.46%
プロクター&ギャンブル 6.70%
フィリップモリス 5.22%
コカ・コーラ 5.02%
ペプシコ 4.71%
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ 4.17%
アルトリアグループ 3.43%
ウォールマートストア 3.34%
アンハイザー・ブッシュ・インベブ 2.96%
ユニリーバ 2.93%

 

ネスレはスイス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコはイギリス、アンハイザー・ブッシュ・インベブはベルギーと、アメリカだけでなく、グローバルな生活必需品セクターに投資をすることが出来ます。

ちなみに、KXIには日本の企業も組み込まれています。

  1. 日本たばこ産業
  2. セブン&アイ・HLDGS
  3. 花 王
  4. キリンHD
  5. アサヒグループHD
  6. 資生堂
  7. イオン
  8. 明治HD
  9. ヤクルト
  10. 味の素
  11. ユニ・チャーム
  12. 日本ハム
  13. 日清食品

この辺りをどう見るかはその人次第でしょうが、KXIが他の2つのETFと決定的に違うのはこの部分です。

VDC、XLP、KXIを比較

もう一度各ETFの特徴をまとめ、比較検証してみます。

比較項目 VDC XLP KXI
設定日 2004年1月26日 1998年12月16日 2006年9月12日
純資産 3800億円 9800億円 710億円
平均出来高 102,115 10,548,351 17,793
分配利回り 2.6% 2.6% 2.41%
経費率 0.10% 0.14% 0.48%
銘柄数 103 36 107

 

ETFを長期保有する上で欠かせないのが経費率の低さです。僅かな違いが将来のパフォーマンスを大きく左右します。

運用年数による経費率が与える影響(投資金額は1,000万円と仮定)
運用年数 VDC(0.10% XLP(0.14% KXI(0.48%
1年 10,000 14,000 48,000
3年 30,000 28,000 144,000
5年 50,000 70,000 240,000
10年 100,000 140,000 480,000
15年 150,000 210,000 720,000
20年 200,000 280,000 960,000
25年 250,000 350,000 1,200,000
30年 300,000 420,000 1,440,000

 

仮に30年上記のETFを保有し続けるとすると、VDCとKXIでは100万円以上の差が出てくることになります。0.48%と言う数字はぱっと見そこまで高くも感じませんが、長期保有を前提に考えるととてつもなく巨大なコストとなるのです。

当然ながら、これらのETFはトレーディング用ではありません。となれば経費率は最優先に考えるべき要素となります。つまり、長期保有に適しているのはVDCかXLPとなります。

純資産・出来高

短期売買ではなくとも、流動性は大切です。売りたい時に売りたい値段で買える。買いたい時に買いたい値段で買える。これを考慮すると、XLPが最も優れています。XLPはVDCの百倍の出来高があり、流動性は十分と言えます。

分配利回り

VDCとXLPは同時水準。KXIは若干低めです。

銘柄数

XLPは36と他の2つに比べ少ない分散となっていますが、それでも分散効果は十分です。単純な銘柄数よりもKXIがグローバルな構成をしているという点に注目し、特にキットカットでお馴染みのネスレや、その他アメリカ以外の優良企業への投資をしたければKXIを選ぶほかないでしょう。

VDC(ローソク足)、XLP(ラインチャート赤)、KXI(ラインチャート青)の推移を比較

単なる値動きだけで見ればVDCが最も優れています。その後にXLPとKXIが続いています。ただし、あくまでの過去の比較に過ぎませんし、VDCとXLPに関しては上位構成の銘柄はほぼ被っているという事を考慮すれば、今後も似たような動きになる事が予想されます。

まとめ

経費率を考慮すると、VDCかXLPが望ましいと思います。純資産、出来高ではXLPが圧倒的です。VDCは今後、資金の流入により純資産が増加すれば、経費率も下がる可能性もありますが、現時点では何とも言えない状況です。

私の結論としては以下の通り

  1. 経費率を重視するならVDC
  2. 流動性を重視するならXLP
  3. ネスレ等のアメリカ以外の企業に投資をしたいのならばKXI

もう少し純資産が多ければVDCを選ぶのですが、やはり先発ETFのXLPには若干ながら遅れをとっているようです。また、ネスレの株式は現在日本の証券会社では購入が出来ないので、これがどうしても欲しいというのならば、KXIを選ぶというのも一つの手かもしれません。とは言っても、ETF全体のリターンで他の2つをアンダーパフォームしている事を考慮すれば、若干魅力は薄れるのかなと思います。

現在は、バンガードとブラックロックのETFが圧倒的シェアを占めています。自らのポートフォリオがバンガードのみ、ブラックロックのみという人は、ステートストリート(XLP)を選択する事で、運用会社の分散を図るというのも良いかもしれません。実際は運用会社が破綻したとしても、分別管理のシステムから我々の資産は守られる事になっているため、ETF自体が無価値になる等のリスクは存在しませんが。

生活必需品セクターは魅力的な投資先です。S&P500や高配当系のETFだけでなく、こちらにも目を向けてはいかがでしょうか。

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