株主還元を表す指標について学ぶ【配当性向、DOE、配当利回り】

短期売買が主だったころは、配当目的の投資なんてあり得ないと思っていました。その考えは今では180度変わり、配当こそ投資における確実なリターンであると確信しています。

今回は配当=株主還元を知るための基本的な指標について解説します。

企業が稼いだ当期純利益は誰のもの?

私たちが株式を買う一番の目的は利益を得るためです。低金利真っ只中の昨今、こんな時代に銀行にお金を預けたところで、得られるリターンは雀の涙以下です。

ATMで手数料取られれば、もうそれで事実上の元本割れです。日本人は貯蓄が好きだと言われています。確かに、目先の変動を見れば、現金預金による保持がもっともリスクの低い方法であることは確かです。

しかし、長期で見た場合はどうでしょうか。比較する期間にもよりますが、これまでの歴史を振り返れば株式によるリターンが圧倒的に上回っています。

前提条件として、この考えはアメリカ市場へ投資したと仮定した場合です。悲しい事に日本株が長期投資に適していない事は、日経平均株価やTOPIXを見れば一目瞭然です。

話を戻します。通常、企業が稼いだ利益は、配当分を差し引き利益剰余金に蓄積されていきます。株主として本音を言えば配当金は多ければ多い方が良いのです。しかし現実問題としては、利益剰余金を内部留保として企業に蓄え、新たな設備投資に費やし、企業の価値を高めて貰う。これにより株価が上昇すれば、形は違えど株主にとってはプラスになります。

アメリカの成熟企業に連続増配が多いのは、この考えが元になっています。伸び盛りの成長企業は、自社への投資が活発で利益を配当に回す余裕がないということです。それで企業の株価が上昇しているうちは、株主達も納得してくれるかもしれません。しかし、ある程度成熟が進めば、物言う株主により無配を貫くことは出来ないでしょう。

また、配当以外の株主還元として、自社株買いが挙げられます。自社株買いは市場から好感され、株価が上昇する傾向にあります。アメリカではこの自社株買いも盛んです。

そう、企業が稼ぎ出した利益は株主のものなのです。

配当利回り

配当利回りを見る事で、現在の株価に対する年率の配当金受取額が分かります。

計算式:配当利回り=1株当たりの配当金(予想額)÷株価×100

ここで注意すべきは、1株当たりの配当金は予想額を使っているという事です。大幅な下方修正等があれば、それに伴い減配される可能性もゼロではありません。

例として、花王の配当利回りを確認してみます。

1株当たりの予想配当金:108円

2017年8月18日時点の株価:6650円

108÷6,650×100=1.62%

花王の配当利回りは1.62%。これだけ見ると投資するにはちょっと心もとない気がしますね。しかし、花王は株価も日本株には珍しく右肩上がりで、キャピタルゲインも狙えると考えれば、魅力的に映るでしょう。

また、アメリカ投資実践者に人気のHDV(ブラックロック)等ETFの配当利回りも、現時点での株価に対する過去12ヵ月分の分配金の比率を表しており、確定値ではないということを覚えておきましょう。

配当利回りが上昇する要因は以下の2つです。

  1. 1株当たりの配当金(予想)が上昇
  2. 株価が下落

配当利回りが低下する要因はその逆で

  1. 1株当たりの配当金(予想)が下落
  2. 株価が上昇

つまり、配当利回りが異常に高い=株価が売り込まれ、安値圏にあると解釈することも出来るので注意が必要です。もちろん、優良企業の株が一時的に売り込まれ、割安圏に位置しているならば、買いのタイミングとしては適切かもしれません。配当に加えて値上がり益も狙えるのですから。

しかし、単に業績の悪い企業の株価が低迷し、配当利回りが上昇、このような場合は必ずしも割安とは言えません。業績低迷から、不死鳥の如く蘇るだろうという自信があれば話は別ですが、極端に高い配当利回りであった場合は、疑って掛かる事も大切です。

配当性向

配当性向とは、その期間における当期純利益の中からどの程度配当金が支払われているかを表した指標です。

計算式①:配当性向=年間総配当金÷純利益

計算式②:配当性向=1株当たり配当額金÷1株当たりの純利益(EPS

株主としては企業の挙げた利益のうち、出来るだけ多くを配当に回してほしいと思う訳です。これも前項の配当利回りと同じように考える事が出来ます。成熟期にある企業にはより高い配当性向を求めますが、成長著しいハイテクセクターなどでは無配の企業も存在します。

ちなみに、花王の配当性向はどの程度か。計算式②を用いて確認してみます。

1株当たりの配当金(94円)÷EPS(253.43)=37.1%

日本企業の配当性向は30%前後程度であるのに対し、欧米企業は株主還元が活発であり、配当性向は40~50%程度であるとされています。

株主還元と言う観点から見れば、圧倒的にアメリカ市場の方が優位性はあるということです。

DOE(自己資本配当率)

DOEは株主から集めたお金(自己資本)の何%を配当に回しているのかを表す指標です。

計算式①:DOE(自己資本配当率)=年間総配当額÷自己資本

計算式②:DOE(自己資本配当率)=配当性向×ROE

ROEとは自己資本利益率と言い、自己資本に対する当期純利益の割合を表す指標です。株主から集めたお金で、どれだけ企業が利益を稼ぎ出しているかを表しています。

計算式:ROE(自己資本当期純利益率)=当期純利益÷自己資本

ちなみに、DOEやROEの計算式で、自己資本ではなく、株主資本と紹介されている場合もあります。しかし、現在では会計基準の変更により、自己資本=株主資本の式が成り立たなくなっているので、ここで簡単におさらいします。









株主資本
1.資本金
2.資本剰余金
3.利益剰余金
4.自己株式
  その他包括利益累計額
1.その他有価証券評価差額金
2.繰り延べヘッジ損益
3.土地再評価差額
4.退職給付に係る累計調整額
  新株予約権
非支配株主持分

 

 株主資本は、株式発行により調達した資金=資本金にこれまで企業が稼いだ利益の蓄え分を合算したものです。

株主資本に包括利益累計額を加えたものが、自己資本と呼ばれるものです。包括利益累計額とは、企業が保有する資産(株式等)の含み損益の事です。

上記に新株予約権と非支配株主持分を加えたのが純資産になります。

新株予約権は簡単に言えば、将来企業の株式を予め決められた価格で買うことの出来る権利です。権利が行使されれば、その分は資本金に組み込まれますから、新株予約権も純資産の部と考えられています。

非支配株主持分とは、一言で言うと、連結子会社の純資産の内、非支配株主(少数株主)に帰属する分を指しています。

現在は連結決算が主流となっており、例えばトヨタ自動車単独の決算ではなく、トヨタグループ全部を含めて連結財務諸表を作成しています。

連結財務諸表を作成するときは、親会社と連結子会社の財務諸表を合算することから始めます。その際、親会社が子会社に対して100%出資していない場合もあります。

出資額が仮に90%だとしたら、残りの株主である10%は外部に存在するわけです。この10%が非支配株主持分となります。

まとめ

長期投資を実践する人にとって、今回ご紹介した指標を理解することは必須です。特に売却益狙いではなく、配当狙いの戦略を基本としている人ならば尚更です。

これらをきちんと理解していれば、異常なまでに高利回りな株に飛びつく心配もありません。

もっとも配当は長期投資家にとって重要な要素の1つです。その肝心の配当を未来永劫払い続けていける体力があるのか。ビジネスモデル、財務状況、あらゆる要素を加味しながら、投資先を選定していかなければなりません。

配当再投資戦略は10年、20年、30年と長期間続けることにより初めて効果が現れます。

個別銘柄はとても魅力的です。しかし、我々一般人が堅実な資産形成を考えた場合は、ETFこそが最良の選択肢の1つであると私は考えています。

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