S&P500のETFを買うなら、SPY・VOO・IVV・1557・1547のどれが良いのか?

アメリカ投資において、最も堅実且つ確実な投資対象にS&P500を買うという選択肢があります。下手に個別銘柄を売買するよりかは、一貫してS&P500のETFを保有視し続ける。さらに、定期的な買い増しを継続すれば、長期的に見てそれなりのリターンが期待できるとも言われています。

日本のはるか上を行っているアメリカETF業界において、最も純資産が多いのがこのS&P500をベンチマークとしたETFです。

SPY、VOO、IVVは海外のETFになりますが、海外上場版のETFを買うのにどうしても抵抗があるという方には、東証上場の1557・1547を買うという選択肢もあります。個人的にはこちらはあまりおすすめしませんが、TOPIXや日経平均への長期投資に比べればまだ”有り”かなとは思います。

S&P500とは?

アメリカ市場の動向を表す指数としては、NYダウが有名です。しかし、こちらはわずか30銘柄による構成であることから、市場平均を把握すると言った観点から見ると、少々適切とは言い難いです。

ここで登場するのが格付け会社のスタンダードプアーズが算出しているS&P500です。こちらはアメリカの大型株500銘柄で構成されており、これはアメリカ株式市場の時価総額の80%をカバーしていることになります。

アメリカ市場全体の動向を把握しようと思ったら、NYダウよりもS&P500が適しています。また、分散投資と言う観点からもS&P500は非常に優秀な投資対象となります。

S&P500は時価総額加重型インデックスです。時価総額は発行済株式数×株価で計算されます。

S&P500(ローソク足)と日経平均株価(ラインチャート)の推移

日経平均株価との推移を比較した場合、投資対象として魅力的なのは明らかなS&P500です。日経平均株価は長期で見ればレンジ相場。キャピタルゲインを求める長期投資には不向きなのです。

 S&P500構成上位10銘柄
名称 シンボル 構成比(%)
①アップル AAPL  4.04
②マイクロソフト MSFT  2.68
③フェイスブック FB  1.89
④アマゾン AMZN  1.80
⑤ジョンソン&ジョンソン JNJ  1.69
⑥バークシャーハサウェイ B BRK.B  1.61
⑦エクソンモービル XOM  1.54
⑧JPモルガンチェース JPM  1.54
⑨アルファベット A(Google) GOOGL  1.32
⑩アルファベット C(Google) GOOG  1.31

 

アメリカ株と言っても上位10銘柄に限って言えば、私たち日本人でも知っている有名企業ばかりです。

多くの日本人がアップルのiphoneを使い、マイクロソフト社のWindowsを利用しています。皆がFacebookをコミュニケーションツールとして活用し、Amazonでネットショッピングを楽しんでいます。また、ジョンソン&ジョンソンの製品には誰もがお世話になった事があるでしょう。私自身もアキュビュー(コンタクトレンズ)を使っていた時期があります。

S&P500の上位10銘柄は、アメリカ企業ではなく、グローバルな企業です。そんな企業を丸ごと買えるS&P500のETFは我々個人投資家にとって強い味方なのです。

また、構成比率6番目のバークシャーハサウェイですが、銘柄名の後に「B」とついてることに気付いたかと思います。バークシャーには「A株」と「B株」があり、A株の最低投資金額は2017年9月1日時点で、2710万(1ドル100円計算)です。これでは機関投資家以外はバークシャーハサウェイに投資することが出来ず、我々個人投資家はこの株が欲しくても買う事が出来ません。

そこで作られたのが「B株」です。これにより1株18,000円(1ドル100円計算)から買う事が出来るようになりました。

構成比率9位と10位のアルファベット(Google)にも「A株」と「C株」があります。こちらは株価による違いではなく、議決権の有無による違いとなっています。

アルファベットA株(シンボル:GOOGL)は通常通り1株1議決権であるのに対し、アルファベットC株(シンボル:GOOG)には議決権が存在しません。

しかし、だからと言って両株式にはかい離が生じ無いような措置が取られています。具体的には議決権のあるGOOGLに対し、議決権のないGOOGがサヤ寄せしないようであれば、その分をGoogleが補償するとしているのです。この取り決めにより、両株式はほぼ同じ動きをするようになっているのです。ちなみに、あえて議決権のない株式を発行するのは、会社の経営に口を出されたく無いという理由から来ています。

ローソク足(GOOG)×ラインチャート(GOOGL)

 S&P500のセクター別割合(2017年9月1日現在)
セクター名称 割合(%)
①情報技術(Information Technology)  22.8
②金融(Financials)  14.5
③ヘルスケア(Health Care)  14.4
④一般消費財(Consumer Discretionary)  12.3
⑤資本財(Industrials)  10.1
⑥生活必需品(Consumer Staples)  8.7
⑦エネルギー(Energy)  6
⑧公益事業(Utilities)  3.2
⑨不動産(real estate)  3
⑩素材(Materials)  2.9
⑪電気通信(Telecommunication)  2.2

※2016年9月から不動産セクターが加わりセクター数は11種類になりました。

セクター割合を見ると情報技術(ハイテクセクター)と金融の割合が多いことから、どちらかと言えば好況時に強そうと言った印象を受けます。はやりFAANGと呼ばれる、Facebook、Amazon、apple、Googleが上位10位に食い込んでいることからも指数自体がハイテクセクターの影響を大きく受けるという事が分かるかと思います。

SPY・VOO・IVV・1557・1547を比較

それでは、SPY・VOO・IVV・1557・1547の各種ETFを比較してみます。比較すると言っても、ドル建て、円建ての違いはありますが、ベンチマークが同じであってリターンもほぼ同じ。とするならば決め手はその他の要素になります。

よって、比較するべき項目は

  1. 純資産総額
  2. 出来高
  3. 信託報酬

以上の3つになります。

また、これに1557と1547に関しては円建てと言う特性も考える必要が出てきます。この辺りについても後程検証していきます。

参考情報として、各種ETFの運用会社を記しておきます。

SPY:ステートストリート

IVV:ブラックロック

VOO:バンガード

1557:ステートストリート(SPYの東証上場版):

1547:日興アセットマネジメント

 S&P500ETF比較表(2017年9月1日時点)※出来高に関しては海外ETFは平均値を表示、国内ETFは直近の1日を表示
名称 純資産 出来高 信託報酬
SPY 21.7兆円 62,313,967 0.09%
IVV 8.7兆円 3,034,814 0.04%
VOO 5.6兆円 1,879,928 0.04%
1557 21.7兆円 836 0.09%
1547 75億円 2,490 0.17%

※1557はSPYの東証上場版となるため、純資産はSPYと同じです。

さて、各種ETFの主要データが出揃ったところで、それぞれの比較をしていきます。純資産と出来高ではSPYが圧倒的です。SPYの設定日は1993年、IVVの設定日は2000年、VOOは2010年と開きがあるのでこの辺りは仕方ありません。

しかし、IVVとVOOに限って言えば、純資産・出来高共十分であり、繰上償還に伴う上場廃止の可能性は極めて低いでしょう。

1557は純資産はSPYと同額になりますが、圧倒的に出来高が低いです。1547も1557に比べれば多少出来高は多いものの、流動性の観点から見ると若干不安が残ります。

長期投資の観点に立てば、流動性はそれほど必要ないという意見もありますが、いざと言う時に売りたい株価でなかなか約定しないというのは宜しくありません。また、これから先に流動性が一層低下することがあれば、繰上償還の可能性も完全には消えない等のマイナス要素もあります。

この他円建てによるメリット・デメリットもありますが、こちらは後程解説いたします。

信託報酬で見ればVOOとIVVの圧勝です。0.04%なら100万円の投資資金に対して400円ですから、ほぼ無視できるコストになります。

SPYはVOO、IVVに比べて若干信託報酬が高いです。とは言っても、0.09%ということは100万円で900円ですから、許容範囲と言えます。

1547は他に比べると0.17と若干高めに設定されています。100万円の投資で1700円ですから、そこまで気にする必要はないように思えますが、長期で見ると少しずつですがリターンに影響を与えてきます。

 信託報酬が未来のリターンに与える影響(投資金額は1,000万円と仮定)
運用年数 0.04% 0.09% 0.17% 0.5% 1%
1年 4,000 9,000 17,000 50,000 100,000
3年 12,000 27,000 51,000 150,000 300,000
5年 20,000 45,000 85,000 250,000 500,000
10年 40,000 90,000 170,000 500,000 1,000,000
15年 60,000 135,000 255,000 750,000 1,500,000
20年 80,000 180,000 340,000 1,000,000 2,000,000
25年 100,000 225,000 425,000 1,250,000 2,500,000
30年 120,000 270,000 510,000 1,500,000 3,000,000
信託報酬0.04%との差額 150,000 390,000 1,380,000 2,880,000

 

信託報酬の差は長期で見る程無視できない費用になります。上記の表を見ても分かるように1,000万円のETFを信託報酬0.04%で30年間運用した場合、かかる費用は12万になります。0.09%なら27万で、この時点でも12万もの違いが生じてしまいます。0.17%なら51万で、0.04%との差額は39万となり、1%になるとかかる費用は30年で300万円にもなります。

当然、S&P500を30年間保有すればそれ以上のキャピタルゲインを望めるかもしれませんが、信託報酬がリターンに与える影響がいかに大きいかが分かるかと思います。

当然ながらインデックス投資は長期保有が前提です。長期と言うのは1年や2年ではなく、それこそ10年、20年、30年と保有&買い増しし続けることで莫大なリターンを期待できるのです。

信託報酬に関しては資金流入の多いETFほど、安くすることが可能です。上場間もない純資産の少ないETFの信託報酬を安く設定してしまっては採算が合わないので、これは当然だと思います。

バンガードのVOOとブラックロックのIVVはこれ以上下がらないのでは、と言う程低く設定されており、個人投資家の長期運用と言う視点に立てば、この上なく理想的な商品という事になります。

円建てのメリットとデメリット

1557と1547は東京証券取引所に上場しているETFです。ベンチマークはS&P500としながらも、円建てと言う特性上、完全に値動きが一致することはありません。

円建ての特徴

  1. 指数は変わらず円安進行→株価上昇
  2. 指数は変わらず円高進行→株価下落
  3. 指数が上昇、円安の進行→両方の要素で株価が上昇
  4. 指数が下落、円高の進行→両方の要素で株価が下落
  5. 指数が上昇、円高の進行→同額分だけ相殺
  6. 指数が下落、円安の進行→同額分だけ相殺

つまり、本家S&P500の値動きが分かりづらいと言ったデメリットが生じます。しかし、長い目で見れば為替の影響はさほど考慮しなくて良いと考える事も出来ます。仮にドル建てでVOOを買う買うとすれば、ドル購入のタイミングとETF購入のタイミングのそれぞれを自分で決める事が出来ます。故に、ドルが大きく下がった時(円高ドル安)に、まとめてドルを購入し、指数を見ながら適宜買い増しをすると言った事が可能となります。

また、売却した時も、円建てならば売却=即円に換算です。しかし、ドル建てならば円転のタイミングを自分で決める事が出来ます。

しかし、長期投資に関しては買いのタイミングはそれほど重要ではなく、継続して買い増し&保有し続ける事が最優先される事項です。もちろん、暴落時に買い増しをすることが望ましいというのが本音になりますが、ベストなタイミングでの仕込みは至難の業です。20年、30年と持ち続ける自信があるのならば、ドルコスト平均法などによる定期的な買い増しが良いと思われます。

円建てで買えるというのは、ドル買いという手間が1つ無くなる事になります。これにより投資に対する敷居が低くなれば、それはメリットにもなります。

また、円建てでなくドル建て買うという事は、通貨分散のメリットもあると言った意見も聞かれます。確かに、今後日本に急激なインフレが訪れるとすれば、リスクヘッジとしてドルを保有する意義はあるかと思います。

日本円だけでなく、外貨にも資産を分散するという考え方は、投資家的には良い発想です。それが基軸通貨である米ドルなら尚更です。これが出来るのも海外ETFの良さなのでしょう。

まとめると

円建てのメリット

  1. ドル購入の手間がなくなり、投資に対する敷居が低くなる
  2. 長期的に見れば為替による影響は平均化されていくと考えれば、円建てでも問題はない

円建てのデメリット

  1. 為替の影響により、指数本来の値動きが分かりづらい
  2. 通貨の分散が出来ない
  3. ETFの購入とドル買いが同時、ETFの売却と円買いが同時、タイミングを見ての為替取引が出来ない

結論

円をドルに換えるといった手間を許容できるなら、断然VOOかIVVがベストな選択肢となります。SPYよりも純資産、出来高は劣りますが、それでも十分な規模なので問題はありません。それよりかは、長期間保有し続ける際の費用(信託報酬)に目を向けるべきです。

しかし、どうしても海外ETFは敷居が高いと感じれば、1557や1547も無しではありません。これらは流動性の面から取引が非常にしづらいという側面がありますが、日経平均株価やTOPIXに投資するよりかは遥かに賢明な判断と言えるでしょう。

実際に取引をしてみれば分かる事ですが、ドル購入の手間なんて微々たるものです。ETFへの投資と言う時点で、企業分析と言う大きな手間を省略しているのですから、為替取引くらいはしても良いのではないでしょうか。

ちなみに、私は断然VOO派です。

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