空売りに対する苦手意識を無くせば取引のチャンスは広がる【売りは命までの理由と追証の仕組みを再度確認しよう】

空売りをすることに抵抗を感じる人って、実は案外多いのではないでしょうか。確かに「買いは家まで、売りは命まで」という格言通り、空売りによって大損してしまう可能性がある事も事実です。しかし、私にとってみれば、売りも買いもリスクは同じ。空売りに掛かる費用と追証の仕組みをしっかりと理解し、空売りに対する苦手意識を無くしていきましょう。

「空売り」をしない人ほど無茶な「買い」を仕掛ける

空売りという取引自体もここ数年でかなりメジャーになってきたと思いますが、まだまだ空売りに対して苦手意識を持っている個人投資家は多いでしょう。

「買い」しかできない投資家は下降相場では様子見に徹するか、下落途中の一時的な反発を狙っての買いしか出来ません。つまり、下降相場で取引を行おうと思ったら必然的に、トレンドに逆行する取引を行う必要が出てくるのです。一番やっかいなのは、一時的な反発を上昇相場への入り口だと思い込み、大量のポジションを保有する事です。そこから株価が下落しても、ナンピンによる買い増しを行う事で、損切という選択肢を無くし、塩漬け株を自ら進んで作ってしまうのです。私は上昇相場中の一時的な調整での空売りもしなければ、下降相場中の一時的な反発で買いを入れる事も基本的にはありません。それが私なりのリスクを抑えた運用法だからです。

空売りに対する苦手意識の理由は?

空売りに対して苦手意識を持っているのは空売りの仕組みや特徴を理解していないからです。買いは家まで売りは命までという格言や、空売りによる損失は青天井などとの脅し文句が無駄な恐怖を植え付けているのです。また、含み損によっては追証が発生する可能性もあります(信用買いも同様)。これらの事をきっちりと理解すれば空売りに対する不安もかなり解消されるのではないでしょうか。

「買いは家まで、売りは命まで」の理由

「買いは家まで売りは命まで」、「売りによる損失は青天井」なぜこのような格言が存在するのでしょうか。

例えば、資金300万円でレバレッジを最大に掛け、1000万円分の株を買ったとします。極端な話、この場合の最大の損失は、買った株の価値が0になる事であり、損失最大額は1000万となります。

一方で、資金300万円で1000万円分の空売りをした場合の最大損失はどうなるでしょうか。買いの最大損失は株価が0になった時ですが、空売りにおける損失は株価が上昇した時です。理論的には株価に上昇の上限はありません。つまり、無限大・青天井という事です。これにより、空売りした1000万円以上の損失に膨れ上がっていく可能性があるのです。これが、「買いは家まで、売りは命まで」の理由です。

新興市場の銘柄によっては短期間で、何十倍にも株価が跳ね上がるケースがありますが、実際には追証で損失拡大に歯止めが掛けられますし、明らかな銘柄選定のミスをしなければそこまで神経質になる必要はありません。

委託保証金と追証

委託保証金とは信用買い、信用売りを行う上で投資家が証券講座に予め振り込む必要のある担保のようなものです。取引を行う銘柄の約定価格に対する委託保証金の割合を「保証金維持率」と言い、約定価格の30%以上かつ、30万円以上を用意する必要があります。この30%という数字は法律で決められているものであり、30%以上であれば、後は証券会社によって任意に設定することが出来ます。

この保証金維持率が一定の割合を超えると、追加保証金(追証:おいしょう)を証券口座に入金する必要が出てきます。保証金維持率の割合は証券会社によって違えど、多くの証券会社では20%と設定しています。

追証によって損失拡大に歯止めがかかる

例えば、100万円分の株を信用取引で売買したい場合は、100万円×30%(保証金維持率)で30万円必要になります。この30万円で100万円分の株を空売りしたとします。予想に反し株価は上昇し、10万円の評価損が発生したとします。この場合、委託保証金として預けていた30万円から評価損の10万円が差し引かれ、20万円と評価されることになります。この時の保証金維持率は20%、これ以上の損失は追証の発生となります。

保証金維持率の計算方法

委託保証金÷約定金額×100

今回の場合は、委託保証金(30万−20万円=10万円、評価損を差し引く)÷約定金額(100万)×100で10%となります。

その後、株価は再び上昇し、さらに10万円の損失、計20万円の評価損が発生してしまいました。最初に預けた資金は30万円、現在は20万円の含み損によって保証金維持率は10%、最低保証金維持率の割合は20%です。この時点で「追証」が発生することとなります。

追証発生から強制決済までの流れ

基本的に「追証」はその日の取引終了後に発生します。大引けのタイミングで建玉の計算が行われ、評価額が決定します。この時点で最低保証金維持率を下回っていると追証の発生が確定することになります。その際に証券会社から来る連絡の事を「マージンコール」言います。

追証が発生した時に何も対応をしないでいると、基本的には3営業日後の寄付きで強制的に反対売買されることとなります。

追証発生から強制決済までのスケジュール

月曜日:追証発生、証券会社からのマージンコール

火曜日・水曜日:この日までに入金が無いと翌日(木曜日)の寄付きで強制決済

木曜日:入金が無ければこの日の寄付きで強制的に決済される

ちなみに、この一連の流れは証券会社によって微妙に違います。例えば、私の利用している松井証券では、保証金維持率の割合によって期限が入金の期限が、翌営業日が翌々営業日なのかが違ってきます。詳細は各証券会社のホームページで調べると良いでしょう。

現金以外も担保にできる【代用有価証券】

これまでは現金を保証金として預け入れた場合について解説してきました。しかし、現金以外にも、保有している株式や国債を担保に信用取引を行う事が出来るのです。この場合は、価格が常に変動するので掛け目と言うものを、現在の評価額に掛けたものが使用されます。一般的な掛け目は、株ならば80%、国債が95%です。100万円の株ならば80万円として計算されることになります。これで信用取引をしようと思ったら80万円の約3倍、240万円までの取引が可能になるのです。

代用有価証券の怖いところは、これを担保に信用買いした銘柄の変動率が僅かだったとしても、担保にした株式自体が下がれば保証金維持率も低下しますので、それが原因となり追証が発生する可能性もあります。

また、2階建てという、担保にした株式と同じ銘柄を信用買いする方法はもっと速いスピードで評価損が膨らむ可能性があります。これは例えば、トヨタ自動車の株式を担保にトヨタ自動車の株を信用買いすることで、この銘柄が下落した場合、委託保証金維持率は下がるは、評価損は下がるはであっという間に追証の発生となります。

代用有価証券の仕組み自体は塩漬け株を有効活用できるなどのメリットもありますが、それ以上に損失拡大の可能性が現金による担保よりも大きいことを考慮すると、あまりおすすめ出来る方法ではありません。

追証が来たら負けを認めよう

追証が来た段階でそのトレードは失敗したと考えましょう。残り1~2日の猶予がある事を考えると、株価が再び上昇すれば追証がなくなる、と考えたくなる気持ちも分かりますが、その間に損失が膨らむと下手をすれば相場からの撤退を余儀なくされます。

余程の自信があるならば、追証を支払いポジションを保有するという手もありますが、基本的には証券会社の強制決済を待たずして損切りをするというのがベターです。負けを認め潔く撤退しましょう。

要点整理

  1. トレンドに逆らわないトレードをするためにも「空売り」の技術は必須。
  2. 「買いは家まで、売りは命まで」は誇張され過ぎ。極端に恐れる必要はない
  3. 委託保証金と追証の仕組みをしっかりと理解すれば、信用取引への苦手意識は和らぐ
  4. 代用有価証券及びそれに伴う二階建てという方法はリスキーなのでおすすめしない
  5. 追証が来たら負けを認める。敗戦処理を的確に行い、傷口は最小限に留めよう

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