信用残高から投資家の心理を読み取る【投げ売りと踏み上げ】

信用取引の要点を整理

信用残高について学ぶ前に、信用取引の特徴を簡単におさらいしましょう。

1.信用取引は6ヵ月以内に返済をする必要がある

制度信用取引の期限は6ヵ月です。
期限を迎えると証券会社により、強制的に決済をされてしまいます。

つまり、信用取引では株を塩漬けにする事が出来ません。

※一般信用取引といったものもありますが、こちらは扱っている証券会社や銘柄に限りがあるため、基本的には制度信用取引にて売買を行います。
一般信用取引では決済までの期限を証券会社ごとに定めているため、無期限という場合もあります。

2.信用取引には信用買いと、信用売りがある

空売りをすることにより、下落相場でも利益を出すことができます。

3.含み損が増えると追証(追加保証金)が発生する

保証金維持率が一定の割合を下回ると追証が発生します。

入金期日までに追証金額が支払われなった場合は、入金期日の翌営業日に強制的に決済されることになります。

4.自らの資金の約3倍もの取引を行うことが可能になる。

現金だけでなく、保有株式を担保にすることも出来ます。

信用買残と信用売残

信用残高には、信用買残と信用売残があります。

信用買残
信用買いにより買われたけれども、まだ返済売りが行われていない株数を表しています。

信用売残
信用売残はその逆で、信用売り(空売り)をしたけれども、まだ返済の買戻しがされずに残っている株数を表しています。

信用取引は6ヵ月以内に決済をする必要があるという事を考えると

信用買残の増加=将来の売り圧力→株価の上昇を抑える要因

信用売残の増加=将来の買圧力→買戻しによる株価上昇の可能性

このように捉える事ができます。

投げ売りとは?

信用買いをしていた多くの投資家達が、保有株の含み損の増加に耐えられなくなり、損切注文を出すことにより、株価の下落に拍車がかかるようになります。
このような状態を「投げ売り」と言います。

踏み上げとは?

信用売りをしていた多くの投資家が、株価上昇による含み損の増加に耐えられなくなり、損切の買い注文を出すことにより、株価が上昇します。
このような状態を「踏み上げ」と言います。

信用倍率(貸借倍率)とは?

信用倍率とは、信用買残高が信用売残高の何倍の水準なのかを表すものです。

信用買い残高÷信用売り残高という計算式により導き出されます。

例えば、信用買残高が50万株、信用売り残高が10万株の場合は

50万株÷10万株=5倍

逆に信用買い残高が10万株、信用売り残高が50万株の場合は

10万株÷50万株=0.2倍

となります。

信用倍率は、先ほどの信用買残、信用売残と同じように考えることが出来ます。

つまり、

信用倍率の増加=将来の株価下落要因

信用倍率の低下=将来の株価上昇要因

このように捉える事が出来ます。

基本的に信用倍率は1倍以上の水準であることが多いです。

一般的に、上昇相場では信用倍率は上昇し、下降相場では低下する傾向にあります。

信用倍率が1倍を下回っているという状況はあまり無く、売り残のほうが多い状況を「売り長」と呼びます。

売り長になるという事は、信用買いよりも信用売りの方が多い状況ですので、証券会社の株券調達が困難になる場合があります。

株券が不足することによって「逆日歩」という新たな費用が発生する場合もあります。

逆日歩の発生は買戻し圧力増加の要因になる

逆日歩が発生すると、売り玉の数量に応じたコストがかかります。

逆日歩の発生

それを嫌がった投資家達が買い戻しを行う

株価が上昇し、含み損+逆日歩の支払いにより損失が拡大している投資家達による買戻しが進む

買戻しが促進し、踏み上げが発生する

ちなみに逆日歩の発生している銘柄を信用買いすると、信用売りの時とは逆に、逆日歩を受け取ることが出来ます。信用取引を利用する際は、逆日歩についても頭に入れポジションを保有するようにしましょう。

信用倍率の変化と投資家心理【需給の崩れを読む】

信用倍率の上昇=信用買残高の増加、つまり、将来株価が上がると思って信用買いをしている人が増えている状態です。

信用買残が増加しているのにも関わらず株価が下がってきた場合は、信用買いをした投資家の多くが含み損を抱えている状態になります。

このような時は、投げ売りによる株価急落の可能性があります。

一方で、信用倍率の低下=信用売り残の増加、つまり、株価が下がると思って空売りをしたのにも関わらず、株価が上昇してきた場合は、空売りをした投資家の多くが含み損を抱えている状態になります。

このような時は、踏み上げによる株価上昇の可能性があります。

このように、踏み上げや投げ売りは需給が崩れる事によって起こるのです。

信用買残が増加傾向でも、株価が上昇していれば神経質になる必要なし

信用買残が増加しているからと言って、必ずしも「投げ売り」が起こるわけではありません。

先ほども述べたように、投げ売りは需給の崩れによって発生しますから、株価が上昇傾向の時に信用買残が増加するのは通常起こり得る事です。

繰り返しになりますが、注意すべきは大量の信用買残が残ったままの状態で株価が下落する事や、下落しているのにも関わらず、信用買残が増加する時です。

上記の考え方は、「踏み上げ」においても応用する事が出来ます。

また、信用買い残高が高水準で推移しているからといって、株価上昇が期待できないというわけではありません。

特に、信用買残の減少を伴いながら株価が上昇している時は、信用買いをした投資家達の売り決済を吸収するほどの買い圧力が生まれているとも考える事が出来ます。

このような時はより一層の株価上昇が見込める可能性もあります。

まとめ

信用取引はしないという人でも、信用残高と信用倍率に意識を向ける事の重要性に気づいて頂けたと思います。

今回述べた内容は一般的な考え方であり、必ずしも相場がこのように動くわけではありません。

しかし、踏み上げと投げ売りの可能性を頭に入れながら投資をすることは、自らの損失回避と利益増加に繋がる可能性もあります。

取引を考えている銘柄、現在保有中の銘柄に関しては、必ず信用残高をチェックするようにしましょう。

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