SDY・DVY・VIGの配当系ETF3種類を検証してみる

日本の個人投資家に人気の高配当系ETFと言えば、バンガードのVYMとブラックロックのHDVです。

その他配当系のETFとして、ステートストリートのSDY、ブラックロックのDVY、バンガードのVIGがあげられます。

こられも優良ETFであることに間違いはありませんが、ポートフォリオのメインとするには若干決定力に欠ける部分があります。

今回はその理由を検証してきます。

SDY:SPDR® S&P® 米国高配当株式 ETF

SDYは、S&P ハイ・イールド・ディビデンド・アリストクラッツと言う指数をベンチマークとしており、過去20年以上連続して増配を続けている銘柄から構成されています。

単なる高配当にフォーカスしているのではなく、今後の増配余地に期待できるという意味では、非常に魅力的と言えます。

SDY基本情報

設定日 2005年11月08日
純資産 1.6兆円
分配利回り 2.45 %
経費率 0.35%
銘柄数 109

純資産、銘柄数は問題ありませんが、経費率が若干高いようにも思えます。実際この数字は、十分低いと言えるのですが、VYMやHDVの0.08%に慣れていると、どうしても高く見えてしまいます。

注目すべきは分配利回り。20年以上の連続増配企業のみを対象としている事から、今後の増配余地については期待できますが、高配当ETFとしては物足りないようにも思えます。高配当と言う位置づけならば、3%前後の利回りは欲しいところです。

SDY組入上位10銘柄

AT&T 2.15%
ターゲット・コーポレーション 2.13%
ナショナル・リテール・プロパティーズ 2.02%
タンガー・ファクトリー・アウトレット・センターズ 1.96%
リアルティ・インカム 1.95%
シェブロン 1.86%
アッヴィ 1.69%
IBM 1.56%
エクソン・モービル 1.55%
ピープルズ・ユナイテッド・ファイナンシャル 1.51%

シェブロンやエクソンモービル以外は、日本人に馴染みのない企業が目立ちます。ETFという特性上、組入れ銘柄の全てを把握する必要はありませんが、知っている企業があるとそれだけで安心感を覚えるのが投資家心理です。特に高配当系のスマートベータ指数では尚更です。それを考えると、VYMやHDVが日本人に人気な理由が分かります。

SDYセクター割合

生活必需品   14.79%
金融 14.51%
資本財・サービス   14.46%
一般消費財・サービス 11.72%
公益事業 11.51%
素材 9.20%
不動産 8.27%
ヘルスケア 6.21%
エネルギー 3.40%
電気通信サービス 3.02%
情報技術 2.83%
その他 0.10%

過去において高いリターンを記録してきた生活必需品セクターの割合が高く、常に投資家達から高い期待をされているハイテクセクターの割合が少ない事は、高配当系のETFとして望ましい比率です。

しかし、それを考慮しても利回りは2.45%。もう少し欲しいところです。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがSDY)

設定来のパフォーマンスはS&P500に劣っています。配当を加味すれば結果は多少なりとも変わっては来ますが、購入の要素としては強さに欠ける部分があります。

高配当系ETFで大切なのは、配当を再投資することによる資産の最大化です。故にハイテクセクターの影響を強く受けるS&P500に値上がり益で勝つ必要はありません。だからこそ、3%前後の配当利回りを求めてしまうのですが。

DVY:iシェアーズ 好配当株式 ETF

DVYはHDVよりも設定が古く、純資産もHDVの2倍を超える規模を誇るETFです。配当利回り、上昇率共に優れたETFですが、セクター割合や組入れ銘柄に目を向けると、HDVとは大きく異なっています。

DVY基本情報

設定日 2003年11月3日
純資産 1.8兆円
分配利回り 3.17%
経費率 0.39% 
銘柄数 99

純資産額、分配利回り共に申し分のない数字です。銘柄数も103と十分に分散されており、HDVに引けを取らない優良ETFです。経費率は0.39%と低く設定されているのですが、SDYと同様に、普段からHDVやVYMに慣れている人からしたら高く見えてしまうでしょう。

DVY組入上位10銘柄

ロッキード・マーティン 4.14%
CMEグループ 3.16%
マクドナルド 2.32%
ネクステラエナジー 2.30%
シェブロン 2.28%
フィリップモリス 2.21%
キャタピラー 2.02%
エンタジー 1.89%
DTEエナジー 1.85%
センプラ・エナジー 1.82%

マクドナルド、シェブロン、フィリップモリス、キャタピラー等々の有名企業が名を連ねています。HDVに比べると若干、日本人の我々には馴染みのない企業の割合が多いようです。

ちなみに、1位のロッキード・マーティンは航空機や宇宙線の開発を行っている会社です。軍需部門の売上高では常にトップの座をキープしており、世界有数の軍事企業です。

DVYセクター割合

公益事業 30.30%
一般消費財・サービス 14.48%
金融 13.58%
資本財・サービス 11.07%
エネルギー 8.92%
生活必需品 8.28%
素材 6.70%
ヘルスケア 2.67%
電気通信 1.76%
情報技術 1.40%

公益事情セクターの割合がダントツで高いです。公益事情とは、電気・ガス・水道等の我々の生活に欠かせないライフラインを提供する事業の事です。日本で言えば、東京電力や東京ガスなどがこれに該当します。

かつての東京電力は、ディフェンシブの代表格で長らく2%中盤で推移していた配当利回りも、3.11の原発問題により無配当となってしまいました。東京電力と言う絶対安定企業、それを信じて多額の資金と投入していた人も多いと聞きます。これが株式の怖さです。ここまで来ては回避不能です。

話を戻して、生活に欠かすことの出来ない公益事業は見方を変えれば生活必需品セクターと同じように考えることも出来ます。電力自由化などにより、今後はこれまでの料金を維持できないとの懸念材料もありますが、これはどの業種でも同じことです。

安定して需要が見込める企業だけに配当利回りも悪くない。あとは個人の考え方次第です。ただし、後に紹介する公益事業セクター単体のパフォーマンスを考慮に入れる必要はあります。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがDVY)

値動きそのものでは、S&P500に劣っています。配当が加味されていませんからある意味妥当な結果と言えます。

しかし、公益事業セクター単体の値動きについて見てみると、見方は少し変わってきます。

JXI:iシェアーズ グローバル公益事業 ETF

分配利回り:4.08% 

経費率:0.48% 

ブラックロックの公益事業セクター単体のETFですが、リーマンショック以降は見事なまでの横ばい推移です。

分配利回りは4%超えと高水準ですが、セクターとしての成長余地にはこのチャートを見る限り疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

確かに、配当再投資戦略では、投資家に過度な期待をされていない優良企業に再投資をし続ける必要があります。割高な株価が投資家の期待だとしたら、公益事業セクター自体は投資家の過度な期待を受けていないと考える事も出来るでしょう。

しかし、長期でS&P500のリターンをアウトパフォームするためには、波を打ちながら、時々急落しながらでも、最終的には上昇に転じていく必要があるのです。

成長の罠

投資家達に期待されているハイテクセクターは常に割高であり、配当再投資戦略では必ずしも優位に働く訳ではない。

成長の罠の罠

割高な企業への投資は、長期のパフォーマンスを低下させる。しかし、単に横ばいな企業、緩やかに下降する企業にだけ投資をすればよいという訳ではありません。投資家達に過度な期待をされないまでも、緩やかに成長する必要があるのです。

公益事業セクターについての考え方の1つになれば幸いです。

VIG:バンガード・米国増配株式ETF

VIGはNASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックスをベンチマークとしたETFで、10年以上連続して増配の実績を持つ米国株で構成されています。

同じバンガードの高配当系のETFであるVYMよりも純資産総額は圧倒的に多いです。

しかし、連続増配に着目しているとは言え、分配利回り自体は低めに設定されています。

VIG基本情報

設定日 2006年4月21日
純資産 2.4兆円
分配利回り 1.61%
経費率 0.08%
銘柄数 188

純資産額、経費率、銘柄数は言う事ありません。しかし、分配利回りが低い…。これではVOOやVTIと大差ありません。もちろん、連続増配と言うことを考慮に入れ長期保有した場合、配当利回りも徐々に高くなる可能性もありますが、現時点でこの数字は配当系のETFとしてはやや決定力に欠けてしまいます。

DVY組入上位10銘柄

マイクロソフト 4.1%
ジョンソン&ジョンソン 4.1%
ペプシコ 4.0%
3M 3.3%
メドトロニック 3.2%
ユナイテッド・テクノロジーズ 2.6%
ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス 2.6%
ユニオン・パシフィック 2.5%
テキサス・インスツルメンツ 2.3%
CVSヘルス 2.3%

上位10銘柄は日本人でも聞いたことがある企業が名を連ねています。投資対象としてはかなり魅力的です。

しかし、当然ながら上位銘柄だけ見ても、高配当と言えない銘柄が多く含まれている事に気付くかと思います。増配に着目した結果ですが、もう少し利回りを追求してくれれば選択肢の1つにはなり得るのかと考えております。

VIGセクター割合

資本財・サービス 31.4%
生活必需品 15.9%
一般消費財・サービス 14.3%
ヘルスケア 13.1%
金融 9.7%
情報技術 8.6%
素材 4.9%
公益事業 2.0%
電気通信 0.1%

資本財に偏りがります。とは言っても分散は効いていますので、これで利回りが良ければポートフォリオに加えても良いかなと思うのが、私の考えです。その点を考慮するとはやりVYMの方が魅力的に見えてしまいます。

生活必需品セクターの割合も高いので、ディフェンシブ銘柄も多く含んでるとは言えそうです。

S&P500との比較(ローソク足がS&P500、ラインチャートがVIG)

値動きはほぼS&P500と同じです。見る期間によってはアウトパフォームしている場面も見られますが、ほぼ連動していると言えそうです。

とは言っても、配当利回りも現時点ではS&P500と大差ありませんから、高配当系のETFとして位置付けるには無理があるかと思います。

あくまで、将来の増配余地に期待、将来の成長に期待と言った具合に考えるべきであると思います。

まとめ

現時点で高配当企業に投資をするのか。将来の増配余地に期待できる企業に投資をするのか。将来の事は誰にも分かりませんが、現時点での私の考えは前者です。つまり、DVYよりHDV、VIGよりVYM、これが現在の戦略です。

SDYとVIGは分配利回り

DVYはセクター割合

この3種類は優良ETFであることに違いはありませんが、上記のそれぞれの理由により、ポートフォリオの核にはしづらいのです。

 

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