裁定買い残から将来の日経平均株価を予想する

将来の日経平均株価を予測する手段は多々ありますが、そのうちの一つが「裁定買い残」です。これを見ると日経平均先物の価格から現在の需給状況がどのような状態であるのかが大まかに把握できるようになります。相場の流れを読むにあたって非常に有効な方法となるので、是非覚えておきたい知識です。

裁定取引と裁定買い残

裁定買い残について理解するためには、裁定取引の基本的な部分を知っておく必要があります。

裁定取引とは鞘どりの事を言い、株や先物などの金融商品において、「売り」と「買い」のポジションを同時に保有することで利益を得る事を言います。

ここで言う裁定取引とは、日経平均先物と日経平均株価の価格差を利用して利益を得ると同時に2つの間にある価格差を埋める事が目的となります。

一般的に日経平均株価が上昇すると大口が予測すれば、先ずは日経平均先物が買われます。日経平均先物は大阪取引所以外にもシカゴ、シンガポールの取引所に上場しており、海外投資家達による短期での投機的取引における金融商品として注目されています。

これにより、日経平均株価が上昇基調→日経平均先物が多く買われ、日経平均株価との間に乖離が生まれます。

そこで登場するのが、裁定取引を行う機関投資家達です。機関投資家は割高な日経平均先物を売り、割安な日経平均株価を構成する現物株を買います。これにより、大量に売られた日経平均先物価格は下がり、大量に買われた現物株は上昇します。これにより乖離差が埋められると同時に裁定買い残が増える事になります。

裁定買い残とは、このように「先物売り」と「現物買い」でセットがくまれたポジションが解消(反対売買)されていない状態の金額を表しているのです。

一方大口が日経平均先物を売った場合は、現物株に対して日経先物の価格が割安になります。このような時は割安になった「日経先物」を買い、割高になった「現物」を売るという裁定取引を行います。この結果裁定買い残が減少するのです。

先物売り・現物買い→裁定買い残の増加

先物買い・現物売り→裁定買い残の減少

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裁定買い残の変動から分かる事

裁定買い残が増加傾向にある時は日経平均も上昇し、裁定買い残が減少傾向にある時は日経平均も下落します。ざっくりですが、数字を見る限りではこのような動きをしています。これまで増加していた裁定買い残が増加から減少に転じる時、反対に減少していた裁定買い残が増加に転じ始めたと思ったら、相場の顔つきが変わる可能性があると捉えても良いかもしれません。

日経平均先物は未来の日経平均株価を表しています。15時に取引が終わった後も世界中で取引が行われており、特にNY市場と為替の動きは日経平均先物価格に大きな影響を及ぼします。現物取引のみと言う人も先物の価格は常にチェックしておく必要があります。

チャートと裁定買い残の推移を比較してみる

それでは日経平均株価チャートと裁定買い残の推移を比較してみます。

日経平均株価週足チャート(裁定買残単位:億円)

これだけでもおおまな情報は読み取れますが、もっと視覚的な分かりやすさを高めるためのグラフをエクセルにて作成してみました。

【2015年1月9日~2016年7月22日】日経平均株価と裁定買残比較グラフ

グラフで表してみると大まかな推移は一致、特に下降から上昇への転換点、上昇から下降への転換点は両指数とも一致してる箇所が多く、相場の状況を見極める上ではかなり参考になる事が分かるかと思います。

要点整理

  1. 裁定買い残とは、乖離差を埋めるための「先物売り」と「現物買い」による裁定取引のポジションが解消されていない金額を表している
  2. 大口投資家の先物買いは裁定買い残高を増加させる。一方、先物売りは裁定買い残高を減少させる
  3. 裁定買い残高が下降から上昇に転じる、若しくは上昇から下降に転じるタイミングが重要
  4. 上記のタイミングは日経平均株価チャートと相関性がある

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