日経平均2万円台は、歴史的に見て割高か割安か?
フランス大統領選を終え、日経平均株価は急上昇。北朝鮮問題での地政学リスクも、一時的ながら薄れてきたという後付けの理由と共に力強い上昇を見せてきました。
日経225先物では2万円台に突入する場面を見せるものの、なかなか思うように動かないのが相場です。こういう時って周りが「2万円台突入」とか騒ぎ立て、周りの意見に流されやすい投資家程、青天井を夢見がちですが、今回は一歩引いた目線で日経平均株価を見てみましょう。
日経平均株価の現在
日経平均株価日足チャート
年初のレンジから下にブレイクしたかと思えば、今度は急上昇。日経平均株価は再び2万円台を試す旅へと出発しました。
途中、窓を大きく開けている箇所が2つ程あります。”窓は必ず埋めるもの”と言う考えはあくまで結果論であって、明確な根拠はありません。
ちなみに、窓埋めの理由として一般的に考えられているのは
- 窓を開け上昇→含み益を持った投資家による利益確定の売りに押される
- 皆が開いた窓を目指すからその方向に動き出す
今の相場は先物主導で動いていますから、NY時間に日経225先物が上昇→日経平均株価の始値が日経225にサヤ寄せする形で始まるというのが、窓が開く一番の理由です。
日経平均2万円台は実現するのか?
2015年の4月22日に日経平均株価は約15年ぶりに2万円台を回復しました。それから約2年、再び2万円台を目前に控えつつも、思うようにならない相場が続いています。
そもそも2015年に2万円台を回復した時と今とでは、日経平均株価を取り巻く環境は全く違います。
前回は、リーマンショックや東日本大震災を機に続いた、円高・株安相場の脱却として、アベノミクスと日銀の黒田総裁による”黒田バズーカ”が東京株式市場を大いに盛り上げてきました。リーマンショック後の日経平均株価は8000円台と低迷していたことを考えると、2倍以上に膨れ上がったのですから、それがいかに凄い事であるかが容易に想像できます。
日経平均株価月足チャート
上記のチャートを見て頂ければ、リーマンショックによる急落と、その後の停滞期と言う長いトンネル、さらに株式市場が大いに盛り上がった強気相場が分かるかと思います。これはまさに日経平均株価チャート名場面集と呼べるでしょう。
ちなみに、停滞期途中の長い下ヒゲのついた陰線が出現している月は、東日本大震災のあった2011年3月になります。
この時の日経平均株価は歴史的に見て明らかな低迷状態。また、円高からも脱却できず、日本の輸出企業も苦しい思いをした時期でもあります。
このような背景の元、政府主導の大規模な金融緩和、まさに異次元緩和があったからこそ実現された強気相場と、結果としての日経平均2万円台と言うのがあるわけです。
対して今回はどうでしょうか?
フランス大統領選を波乱なく通過したという安心感はあるものの、明らかな上げ要因は見当たりません。
もちろん、株価が上昇する理由と言うのはどれも後付けであり、私たちの知る由もありませんが、強いトレンド発生のためにはある種の”起爆剤”が必要です。そうです。まさに”バズーカ”のような起爆剤が必要なのです。
2016年の11月のトランプ大統領誕生もある意味では起爆剤となっていたに違いはありませんが、その効果と言うものは大分薄れてきました。では、ここから”トランプ相場第2章”が始まるのかと言われれば、今のところそのような兆候は見られません。もちろん、今後どうなるかは分かりませんが…。
結局ところ、2万円台到達はあり得なくはないかもしれませんが、現時点としては材料不足感が否めません。仮に2万円台を回復しても、そこがゴールとなるのか、単なる通過点に過ぎないのか。どっちに傾くかで、取るべき投資戦略と言うのは変わってきます。
日経平均株価2万円台は歴史的に見て割安か割高か?
日経平均株価は外部要因を強く受ける指数です。指数を構成する寄与度の高い銘柄が輸出関連企業が中心と言う考えや、為替に強い影響力を受けるという事。また、東証1部に限って言えば海外投資家の参戦割合が6割~7割という理由も存在します。
以上の事から、日経平均株価はNYダウのような右肩上がりではなく、上昇・下降・停滞のサイクルを繰り返しています。
これを踏まえ、日経平均2万円台が歴史的に見て割安なのか、割高なのか考察していきます。
日経平均株価月足チャート【1949年5月~2017年5月】
バブル崩壊までは綺麗な右肩上がりでの推移を見せるものの、それ以後は上がっては下がっての繰り返し。ある意味では利益を取りやすい指数とも言えます(買いと売り両方での利益が望めるため)。
歴史的に見れば日経平均2万円台は”明らかに割高”です。
これを見ると日経平均株価が2万円台に近付いた今、これと連動する銘柄に投資をするのが怖くなりませんか?
それで良いんです。
未来の株価は予測できないとは言え、明らかな割高銘柄に買いを入れる事には普段以上の警戒心が必要です。
なぜなら、歴史的に見て高値圏に存在する銘柄への投資は”塩漬け株”を作ってしまう可能性が高いからです。
まとめ
将来の株価を正確に予測することは出来ません。
それでも、過去のチャートを見る事によって歴史的に見て高値なのか安値なのか、判断することは出来ます。
また、日経平均株価という指数の特徴を踏まえれば、右肩上がりになる事はなく、上昇・下降・停滞のサイクルを繰り返すことも分かるかと思います。
日経平均株価が2万円台を目前とした今、さらなる上値を試すことを期待し「買い」入れるのが悪いと言っているわけではありません。しかし、歴史的にみて割高という事実だけは頭の片隅に置いておくようにしましょう。