初心者のための日経225先物取引入門

先物取引とは「決められた期日に、特定の商品を売買することを約束する取引」である。

こんな説明では先物初心者が混乱してしまうのも無理はありません。もっと簡単に考えていきましょう。

先物取引も株も基本は同じ。将来値上がりすると思えば「買い」のポジションを持てばよいし、将来値下がりすると思えば「売り」のポジションを持てば良いだけです。

違うのはこの基本ルールの他に先物取引特有のルールがある事です。これをしっかりと理解した上で、日経平均先物を攻略していきましょう。

日経平均先物取引=日経平均株価指数を売買する

個別銘柄ではなく、日経平均株価という指数に投資をする方法は大きく分けて2通りあります。

  1. 日経平均株価と連動するETFを購入する
  2. 日経平均先物を売買する

日経平均株価連動型のETFは通常の個別銘柄と同様に証券取引所で売買することが出来ます。

日経平均先物取引もこれから説明する先物取引特有の決まり事を押さえておけば必要以上に恐れる必要はありません。

日経平均先物取引は高レバレッジでの取引が可能

通常の信用取引ではレバレッジが約3倍なのに対し、日経平均先物取引では20倍以上のレバレッジを効かせることが出来ます。

証拠金について

取引をするに辺り証拠金を証券口座に入金する必要があります。先物取引の証拠金はSPAN証拠金という基準値に、各証券会社独自の判断で1.0倍~1.8倍程度の掛け目を加えるのが一般的となっています。

このSPAN証拠金と言うのは、日本証券クリアリング機構と言う組織が、シカゴ・マーカンタイル取引所が開発した「SPAN」という証拠金計算方法を基準としているのに由来します。

SPAN証拠金は日経平均株価の変動に合わせて毎週見直され、日経平均株価の変動が大きくなると高くなり、変動が小さくなると安くなります。ザックリ言うと「変動が多い時はリスクも大きくなるから証拠金も多く預けてね」ってことです。SPAN証拠金は証券会社のホームページで発表されているので、取引を行う際は忘れずに確認しましょう。

日経平均先物には「ラージ」と「ミニ」があります。ラージは指数の1000倍、ミニは100倍です。呼値はラージが10円でミニが5円となっています。

2017年3月24日時点での必要な証拠金とレバレッジを確認※松井証券の場合

SPAN証拠金

日経平均先物ラージ 750,000円

日経平均先物ミニ  75,000円

2017年3月24日の日経平均先物価格始値:18,930円

ラージは指数の1000倍=750,000円の証拠金で18,930,000の取引が可能→25倍のレバレッジとなっています。

一方のミニは指数の100倍=75,000の証拠金で1,893,000の取引が可能→同じく25倍のレバレッジが可能となっています。

つまり、ラージは先物指数が100円動けば100,000円の損益で、ミニの場合は100円動いて10,000円の損益という事になるのです。

これで先物取引がハイリスクと言われる理由が分かったかと思います。

取引時間の違い

日経平均先先物の取引時間は、8時45分~15時10分、16時30分~翌5時25分となっています。先物価格は日本株の取引時間である9時~15時を終えた後も、NY市場や為替の動きなど、様々な要素を織り込みながら推移して行きます。これが、翌日の寄付きで日経平均株価が先物の価格にサヤ寄せする理由です。

また、日経平均先物は大坂取引所以外に、シカゴ・マーカンタイル取引所とシンガポール証券取引所にて取引されています。

シカゴ・マーカンタイル取引所の取引は日本時間の8時~翌6時15分(夏時間は1時間前倒し)となっており、ほぼ一日中取引されているようなものです。ドル建てと円建てが上場しており、流動性も比較的高いです。

シンガポール証券取引所は日本時間で8時45分~15時30分と16時30分~20時までとなっています。

先物には取引の期限がある【限月とSQについて】

現物株の場合は一度買ってしまえばその後は自らのタイミングで売る事が出来ますが、先物取引は決済の期限があります。

商品先物取引(金や原油など)の場合は限月に商品相当分の代金を用意すれば商品そのものを買い取ることも出来ます。制度上出来ると言うだけで、実際にそれを実行する人はまずいません。

しかし、日経平均先物取引は現物商品ではなく日経平均株価という指数を対象とした金融商品(金融派生商品:デリバティブ)です。そのため、期限までに必ず反対売買による決済を行う必要があるのです。

日経平均先物取引の期限の満期月の事を「限月」と呼び、満期日の事を「SQ日」と呼びます。SQとはSpecial Quotation(スペシャルクォーテーション)の略で、満期日の決済に用いられる特別清算指数(最終清算指数)のことです。つまり、期限までに決済しないと、このSQによって強制的に決済させられるよという事です。

SQは各限月の第2金曜日に設定されており、第2金曜日が休日の場合は繰り上がりにより、木曜日がSQ日となります。基本的にはSQ日を向かえることなく決済をすることがほとんどですが、自らの取引している限月がいつなのかと言うのは意識しておく必要があります。

先物取引では、レバレッジ効果によりリターンも多い反面、リスクも大きくなってしまします。そのため、利幅を狙い過ぎずに細かく利益確定をしていくという短期決戦型の戦略も必要になってきます。日経平均先物取引の場合は、SQ日までなら何度でも売買が可能なので、細かく利ザヤを稼ぐというスタンスでも良いかもしれません。

日経平均先物ラージでは限月が、3月・9月の直近3限月と、6月・12月の直近10限月となっており、ミニは3月・9月の直近3限月と、6月・12月の直近10限月、及びそれ以外の直近3限月が取引されています。

日経平均オプション取引でも3月・9月の直近3限月と、6月・12月の直近10限月、及びそれ以外の直近6限月の合計19本が取引されており、ラージの限月と重なる「3月、6月、9月、12月」はメジャーSQと呼ばれています。メジャーSQでは様々な思惑から日経平均採用銘柄の現物株にも影響を与える事があり、「メジャーSQ」を意識している投資家も多いかと思います。

SQ値算出の方法

SQは日経平均株価構成銘柄の始値によって算出されます。始値がない場合は気配値等を用いて算出されるため、必ずしも日経平均株価の始値とSQ値が一致するわけではありません。

SQが現物株にも影響を与える理由

先ほど説明したように、SQ値は基本的には日経平均採用銘柄の始値により算出されます。先物取引は「買い」からでも「売り」からでも入れますから、SQ値が高ければ利益を得られる人、SQ値が低ければ利益を得られる人、とそれぞれの思惑が交差することになります。

資金量の少ない個人投資家には無理な話ですが、莫大な運用資金を保有する機関投資家などは日経平均採用銘柄の中でも指数構成の寄与度の高い銘柄(ファーストリテイリングやファナック、ソフトバンク等)の売買注文を出すことで、SQ値を思惑通りに動かそうとします。

先物取引には追証がある

先物取引ではレバレッジを効かせて取引を行うために、損失によって追証が発生する可能性があります。日経平均先物取引の追証発生のメカニズムは単純で、SPAN証拠金を下回った時に発生します。

例えば

SPAN証拠金

日経平均先物ミニ  75,000円

日経平均先物価格始値:19,000円

この状態で、先物口座に85,000円を入金したとします(SPAN証拠金+追証発生に備えての余剰額10,000円)。

そして、日経平均先物ミニを1枚買い建てました。この時の価格は19,000円です。その後思惑と逆に動き、18,800円まで下落してしまいました。

日経平均先物ミニは指数の100倍なので

購入価格:1,900,000円

現在価格:1,880,000円

となり2万円の含み損が発生していることになります。当初入金していた金額は85,000円ですから、ここから含み損である2万円が差し引かれ65,000円となり、SPAN証拠金である75,000円を一万円下回っていることになります。

この1万円が追証となるのです。追証入金の期限は証券会社により違いはありますが、翌日の12時前後が多いように思います。

今回の例ですと、SPAN証拠金は75,000円だから入金するのも同額だと、追証発生までの値幅は0です。1円でも下落し、取引終了後までに値が戻らない場合は追証発生となります。ということでレバレッジの大きさを理解した上で、入金額は多めに設定しておくのが良いでしょう。また、ある程度のロスカットッポイントと言うのも予め決めておく必要があります。

日経平均先物は「売り」から入ることも出来る

信用取引にも空売りはりますが、こちらは貸借銘柄のみで可能であり、場合によっては逆日歩等の費用が掛かってしまう可能性もあります。

日経平均先物は売りから入る事もできます。長期の視点で見たら上昇・下降を繰り返している日本株だからこそ、「売り」から入るという戦略が重要となってくるのです。

また、現物株を大量に持っている場合は、日経平均先物の売りポジションを持つことにより、リスクヘッジをすることも可能となります。

値幅制限とサーキットブレーカーの仕組み

日経平均先物にも個別銘柄と同じように値幅制限(ストップ高・ストップ安)があります。値幅制限の目的は、株価の異常な変動を防ぐためのもであり、個別銘柄の場合は、その株価によって各々の制限値幅が設けられています。

また、個別銘柄では3日間連続でストップ高(ストップ安)が続き、取引が成立しない状態が続くと、値幅制限の拡大が行われます。この場合の値幅制限の拡大は、上か下どちらか片方の値幅のみ2倍に拡大されます。ちなみに、2倍の値幅に拡大された後に、その制限値幅以外の価格で取引が成立すると、翌営業日から通常の値幅制限に戻ります。

1.ストップ高が3日連続で続けば、上限の値幅のみ2倍に拡大

2.ストップ安が3日連続で続けば、下限の値幅のみ2倍に拡大

日経平均先物の場合は通常時で8%、第一拡大で12%、第二次拡大で16%の値幅制限が設けれています。相場が過熱し変動幅が8%に達したまま1分間取引が成立しない場合にはサーキットブレーカーが発動されます。

サーキットブレーカーが発動すると取引が10分間停止されます。これは取引時間を一定時間停止することによって投資家達に冷静になってもらおうという考えから来ています。この仕組みはブラックマンデーを機にニューヨーク証券取引所で始まったものであり、日本に導入されたのは1994年2月14日からとなっています。

サーキットブレーカー発動後は値幅制限が拡大された上で、板寄せ方式により取引が再開されます。

参考までに、過去に日経平均先物が大幅変動した事例を載せておきます。

1987年10月20日:-14.9%(‐3826円) ブラックマンデーによる暴落

2000年4月17日:‐6.98%(‐1426円) ITバブル崩壊

2001年9月12日:-6.63%(‐682円) アメリカ同時多発テロ

2008年10月8日:-9.37%(‐952円) リーマンショック

2008年10月10日:-9.62%(‐881円) リーマンショック

2008年10月24日:-9.59%(‐811円) リーマンショック

2011年3月15日:-10.55%(‐1015円) 東日本大震災

上記の中では、リーマンショックと東日本大震災でサーキットブレーカーが発動されました。

即時約定可能値幅制度について

先物市場はレバレッジの効果を最大限に活用できる市場のため、個人投資家だけではなく、機関投資家達も多く取引しています。機関投資家などの大口投資家は資金量も豊富で、一度に取引する数量も多いため、万が一ご発注などをしてしまった場合は先物価格に大きな影響を与えてしまう可能性があります。

これを防ぐための仕組みが即時約定可能値幅制度です。これにより、直前の約定価格の上下0.8%を超える売買が成立する注文が出された時は取引が1分間中断される仕組みになっています。

この仕組みを利用し、取引が中断されている1分の間に発注を取り消すことが出来ます。しかし、1分間の中断時間中に注文の取り消しを行わない場合は、取引再開度に注文が約定してしまいます。

実際に2010年6月、ドイツ証券が日経平均先物取引の寄付き時に、約10兆円規模の指値売り注文を誤発注してしまった事例があります。すぐさま注文を取り消したのですが、約500億円分が約定してしまいました。

この誤発注が主たる要因とは断定できませんが、日経平均先物6月限は午前9時1分に前日比110円安の9650円まで急落し、その1分後の午前9時2分には10円安の9750円まで値を戻すという乱高下を見せました。

日経平均先物取引を実際にしてみよう

実際に松井証券での取引方法を例として、注文の仕方を解説します。

先物取引では限月を選ぶという事が、現物株で言うところの銘柄選定になります。先物では現時点から最も近い限月のことを「期近」と呼んでいます。先物では期近の先の限月を取引することも出来ますが、あまりにも先の限月では出来高も少なくなり、流動性の面でかなり不利となります。

通常は限月の期日が近づくにつれ、期先と呼ばれる次の限月の出来高も増加していきます。SQ日が目前に迫った商品を取引することはリスクの増加に繋がるので、この頃になるとロールオーバーにより、次の限月へと乗り換える投資家も増えてきます。

ロールオーバーとは:当限月のポジションを解消し、あらたに期先のポジションを保有する事

実際に発注をしてみる

ご覧のように先物取引も現物株も注文方法は一緒です。上記の例では日経225ミニを15枚売り建てる注文をしています。

日経平均先物の板

左が「期近」右が「期先」です。同じ日経225ミニでも限月が違うだけでここまで流動性と言うのが違ってきます。日経平均先物を取引する際は限月を常に意識してポジションを保有するようにしましょう。

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