信用倍率と日経平均株価の推移を比較すると面白い事実が見えてくる

信用取引による売り残と買い残の比率を表している信用倍率(貸借倍率)と日経平均株価には明らかな相関性があります。この件について信用残高の復習をした上で、両指数それぞれの関係性を考察してきます。

信用取引制度が改正され、日に何度も回転売買が可能になった現在では個人投資家による信用取引の利用割合も増加してきました。現物のみでの取引しかしないという人も、日々の信用取引状況については欠かさずチェックするようにしましょう。

信用残高についてサクッとおさらい

信用残高には、信用買い残と信用売り残があります。

信用買い残は信用買いをしたけれどまだ返済売りがされていない株数を表し、信用売り残は、信用売り(空売り)したけれどもまだ買戻しによる返済売りがされていない株数を表しています。

信用取引には制度信用と一般信用がありますが、一般的に取引が活発なのは制度信用です。制度信用の場合、反対売買までの期限が6ヶ月以内という事を考えると、信用買い残の増加は将来の売り圧力の増加、信用売り残の増加は将来の買い圧力の増加となります。

信用買い残の増加が将来の売り圧力に繋がるという事は、言い方を変えれば株価上昇の勢いを抑える可能性があるとも言えます。一方で、信用売り残の増加が将来の買い圧力に繋がるという考えは、株価下落を抑える要因の一つとなります。

信用倍率と言うのは、信用買残高が信用売残高の何倍の水準なのかを表すものであり、信用買い残高÷信用売り残高という計算式により算出されます。

例えば、信用買残高が50万株、信用売り残高が10万株の場合は、50万株÷10万株=5倍

逆に信用買い残高が10万株、信用売り残高が50万株の場合は、10万株÷50万株=0.2倍となります。

信用売り残よりも信用買い残の方が多ければ信用倍率は上昇し、逆ならば信用倍率は低下します。

関連記事
信用残高から投資家の心理を読み取る【投げ売りと踏み上げ】

信用倍率と日経平均株価の推移をグラフで確認

信用倍率と日経225の相関性を確認するためにグラフを作成してみました。なお、グラフのデータは、2011年5月27日~2017年2月3日の週足ベースの終値を基準と、各指標のデータは日経平均採用225銘柄を対象として算出されたものを使用しています。

信用倍率と日経平均株価を比較してみると、赤丸で囲った部分以外はほぼ真逆の動きをしていることが分かるかと思います。逆の動きをするという事は、日経平均株価が上昇している時は信用倍率が低下し、日経平均株価が下落している時は信用倍率が上昇しているという状態です。

ちなみに日経平均株価・信用買い残高・信用売り残高の推移を比較したグラフも作成してみました。

日経平均株価採用銘柄に限ってのデータなので、極端に信用売り残高が急増するわけではなく、信用買い残の増加により信用倍率が上昇するというのが分かるかと思います。信用倍率だけではなく、赤丸で囲った部分以外は、信用買い残高そのもの自体も日経平均株価と逆相関の関係にあることが分かるかと思います。

日経平均株価と共に信用倍率が上昇

信用倍率が上がるという事は、信用買いをしている投資家が増加しているということです。基本的に株価が上昇すると思えば信用買いをするというのはごく自然の事なのであまり深く考える必要はないでしょう。しかし、増えすぎた信用買い残は後々の株価上昇を妨害する要因の一つになることに間違いはないので、さらなる上値を試すという事を考えるとあまり好ましくないかもしれません。

ちなみに、下記グラフの赤丸で囲った部分の出来高を見てみると

他の期間に比べ、明らかに出来高が多いことが分かるかと思います。

この赤丸で囲った部分はアベノミクスにより相場全体が強気に傾いていた時です。まさに東京市場が盛大に盛り上がっていた時でもあり、投資家達の強気相場への意識は逆張り的発想の信用売りをするよりも、積極的な買いを仕掛けていった方が利益が上がると考えていたことの証でもあります。

日経平均株価が上昇すると信用倍率が下がり始めるのは何故?

先ほど、株価上昇時は投資家達の買い意欲が強いため、信用買い残が増えるのはごく自然な事。しかし、しかし信用買い残の増加は将来の売り要因になるので、大量に買い残高が残った状態と言うのは株価上昇の妨げとなる場合がある。このような説明をしましたが、これは何も私独自の意見ではなく、世間一般で広く認識されている考えです。

しかし、6年間の日経平均株価と信用倍率のデータを比較した結果、一部の場合を除いて結果は逆でした。この理由を考えていきたいと思います。

先ほども述べたように、信用売り残は極端に増減しない訳ですから、ヒントがあるとすれば信用買い残の方です。

日経平均株価の上昇に伴って買い残が減っていく。これは多くの投資家達が早めの利益確定をしているという事ではないでしょうか。特にレバレッジを効かせた取引を行っている個人投資家達は特にこの傾向が強いと言えます。

若しくは株価上昇により、含み損が少なくなってきたので、早めにポジションを解消したいと考える投資家達もいるかもしれません。

また、利益確定は売り圧力になるという意見もありますが、上昇トレンド中の反対売買はそれを吸収するほどの買い圧力が生じる可能性が高いため、極端な上昇を妨害する要因とはならないと考える事が出来ます。

投げ売りによる株価下落に拍車がかかるのは、信用買い残高は増加していくのに対し、株価が下落していく時です。このような時は信用買いしていた投資家達が含み損を抱え始めているという事ですから、損切りに伴う投げ売りが起こりやすくなるのです。

日経平均株価が下落すると信用倍率が上がり始めるのは何故?

グラフを注意深く見てみると、日経平均株価が一時の天井を打ったかのように下がり始めると、信用買い残が徐々に増え始めていることが分かるかと思います。これはいわゆる逆張り的な発想で信用買いをしている投資家が多いからではないでしょうか。

日経平均株価が下降に転じ始めると、そろそろ反発するのではと考える投資家達が増え、信用買いをすることが信用倍率の上昇に繋がっているのです。

要点整理

  1. 信用買い残の増加は将来の売り圧力、売り残の増加は将来の買い圧力となる
  2. 上記の理由で反対売買の圧力が強かったとしてもそれを吸収するほどのトレンドが発生している場合は、必ずしもマイナスに作用しない可能性もある
  3. 日経平均株価と信用倍率を比較すると、一部の期間を除いて逆行した動きをしている
  4. 逆行した動きの要因は投資家心理を考えると答えが朧気ながら見えてくる
  5. 当然ながら信用倍率だけで相場を予測することは不可能。他の指標と組み合わせる事で、精度を高めていく

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)