新規公開株(IPO)は愚か者が存在するから儲かる

IPOほどローリスク・ハイリターンな投資法は存在しません。あくまで当選すればの話ですが、人気の高い銘柄は公募価格割れを起こす確率が極めて低く、なお且つ高いリターンが期待できます。

個人投資家がいくら無知とは言え、IPOは公募価格で買って初値で売ればほぼ確実に儲かるという事実は知っています。さらに、その多くの銘柄は上場ゴール、つまり初値が付いた後はダダ下がりという現実もご承知の通りです。

結局、IPOで大きな利益を挙げる事が出来る理由は、初値で買ってくれる愚か者が存在するからなのです。

2017年のIPOを振り返ってみる

2017年のIPOについて振り返って見ます。

銘柄名 市場 公募価格 吸収金額 初値 騰落率
Casa 東2 2,270 84.4億 2,331 +6,100円(+2.7%)
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 東イ 100,000 186億 95,000 -5,000円(-5.0%)
SKIYAKI 東M 3,400 16.9億 8,400 +500,000円(+147.1%)
シルバーライフ 東M 2,500 18.6億 4,630 +213,000円(+85.2%)
テンポイノベーション 東M 3,100 13.3億 6,000 +290,000円(+93.5%)
MS&Consulting 東M 1,280 55.6億 1,250 -3,000円(-2.3%)
大阪油化工業 JQS 1,860 11.3億 3,100 +124,000円(+66.7%)
ウェルビー 東M 2,580 56.6億 3,305 +72,500円(+28.1%)
マネーフォワード 東M 1,550 45.4億 3,000 +145,000円(+93.5%)
西本WismettacHD 東1 4,750 202億 4,465 -28,500円(-6.0%)
テックポイント・インク 東M 650 11.3億 1,072 +42,200円(+64.9%)
ロードスターキャピタル 東M 1,820 23.2億 2,501 +68,100円(+37.4%)
壽屋 JQS 2,000 13.8億 2,650 +65,000円(+32.5%)
PKSHATechnology 東M 2,400 57.2億 5,480 +308,000円(+128.3%)
ニーズウェル JQS 1,670 6.72億 3,850 +218,000円(+130.5%)
三菱地所物流リート投資法人 東R 260,000 535億 274,000 +14,000円(+5.4%)
ウォンテッドリー 東M 1,000 1.49億 5,010 +401,000円(+401.0%)
エスユーエス 東M 2,300 9.36億 4,970 +267,000円(+116.1%)
UUUM 東M 2,050 12.1億 6,700 +465,000円(+226.8%)
トランザス 東M 1,300 10.9億 3,510 +221,000円(+170.0%)
シェアリングテクノロジー 東M 1,600 22.8億 2,990 +139,000円(+86.9%)
ジェイ・エス・ビー 東2 3,200 16.5億 4,280 +108,000円(+33.8%)
クロスフォー JQS 730 12.5億 1,051 +32,100円(+44.0%)
ユニフォームネクスト 東M 2,800 6.44億 6,640 +384,000円(+137.1%)
ソウルドアウト 東M 1,200 32.7億 2,113 +91,300円(+76.1%)
SYSホールディングス JQS 2,560 8.83億 5,530 +297,000円(+116.0%)
ツナグ・ソリューションズ 東M 2,130 11.2億 4,515 +238,500円(+112.0%)
GameWith 東M 1,920 16.1億 4,490 +257,000円(+133.9%)
Fringe81 東M 2,600 7.77億 6,060 +346,000円(+133.1%)
エコモット 札ア 2,730 5.77億 4,195 +146,500円(+53.7%)
ディーエムソリューションズ JQS 2,500 5.65億 7,100 +460,000円(+184.0%)
ビーブレイクシステムズ 東M 1,670 5.73億 7,700 +603,000円(+361.1%)
アセンテック 東M 2,000 9.20億 5,950 +395,000円(+197.5%)
旅工房 東M 1,370 8.82億 3,750 +238,000円(+173.7%)
LIXILビバ 東1 2,050 449億 1,947 -10,300円(-5.0%)
ウェーブロックHD 東2 750 45.3億 721 -2,900円(-3.9%)
テモナ 東M 2,550 8.46億 8,050 +550,000円(+215.7%)
ネットマーケティング JQS 1,140 12.5億 1,552 +41,200円(+36.1%)
スシローグローバルホールディングス 東1 3,600 760億 3,430 -17,000円(-4.7%)
ユーザーローカル 東M 2,940 13.6億 12,500  +956,000円(+325.2%)
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 東イ 93,000 38.3億 89,200 -3,800円(-4.1%)
オークネット 東1 1,100 60.9億 1,300 +20,000円(+18.2%)
No.1 JQS 1,570 7.94億 3,460 +189,000円(+120.4%)
ズーム JQS 1,520 11.2億 2,278 +75,800円(+49.9%)
ティーケーピー 東M 6,060 35.4億 10,560 +450,000円(+74.3%)
オロ 東M 2,070 23.8億 4,750 +268,000円(+129.5%)
ソレイジア・ファーマ 東M 185 41.3億 234 +4,900円(+26.5%)
グリーンズ 東2 1,400 70.8億 1,521 +12,100円(+8.6%)
マクロミル 東1 1,950 532億 1,867 -8,300円(-4.3%)
フルテック 東2 600 7.72億 1,230 +63,000円(+105.0%)
力の源ホールディングス 東M 600 6.90億 2,230 +163,000円(+271.7%)
インターネットインフィニティー 東M 1,320 2.95億 5,040 +372,000円(+281.8%)
ビーグリー 東M 1,880 98.9億 1,881 +100円(+0.1%)
ジャパンエレベーターサービスHD 東M 550 18.3億 890 +34,000円(+61.8%)
ほぼ日 JQS 2,350 10.8億 5,360 +301,000円(+128.1%)
うるる 東M 3,000 44.1億 3,330 +33,000円(+11.0%)
ファイズ 東M 1,250 7.90億 4,010 +276,000円(+220.8%)
ピーバンドットコム 東M 1,650 14.1億 3,530  +188,000円(+113.9%)
ロコンド 東M 1,850 33.5億 2,625 +77,500円(+41.9%)
ユナイテッド&コレクティブ 東M 1,620 4.81億 4,500 +288,000円(+177.8%)
レノバ 東M 750 10.4億 1,125 +37,500円(+50.0%)
フュージョン 札ア 1,140 1.82億 2,872 +173,200円(+151.9%)
日宣 JQS 1,600 4.60億 3,000 +140,000円(+87.5%)
安江工務店 JQS 1,250 7.46億 1,300 +5,000円(+4.0%)
森トラスト・ホテルリート投資法人 東R 143,000 451億 145,000 +2,000円(+1.4%)
シャノン 東M 1,500 2.58億 6,310 +481,000円(+320.7%)

 

2017年、これまでに新規上場した銘柄は66。そのうち公募価格を下回ったのは僅か8銘柄。

利益額の上位5社を見てます。

企業名 利益額 騰落率 吸収金額
ユーザーローカル 956,000円 325.17%(4.25倍)  13.6億
ビーブレイクシステムズ 603,000円 361.08%(4.61倍)  5.73億
テモナ 550,000円 215.69%(3.16倍)  8.46億
SKIYAKI 500,000円 147.06%(2.47倍)  16.9億
シャノン 481,000円 320.67%(4.21倍)  2.58億

 

公募価格で買って初値で売る。これだけでユーザーローカルなら95万円の利益です。しかもたった100株でこの驚異の利益率、個人投資家なら何としてでも手に入れたいと考えるでしょう。

初値急騰するIPOの条件

では実際に初値急騰するIPOにはどのような特徴があるのか。これについて考えてみます。

1.吸収金額が少ない

初値を完全に予測することは出来ませんが、IPO関連のウェブサイト等で想定価格と言うのが紹介されています。これに公募株数と売出株数の合計を掛ければおおよその吸収金額が算出できます。

吸収金額が少なければ、需要に対する供給の割合が少なくなる可能性が高いので初値は高騰する傾向があります。上記の利益額トップ5を見ても、吸収金額が比較的少ないことが分かります。言ってみればマザーズの小型株は初値急騰しやすく、東証一部の大型株はマイルドな上昇になるという事ですね。当たり前ですが、吸収金額が少ない程、当選する確率は低くなるので初値急騰が期待できるIPO程個人投資家は入手困難なのです。

2.事業内容が将来性を感じさせるもの

ハイテク株、例えばビックデータとか人工知能とか、ITとかこのような将来性を感じさせる?銘柄ほど急騰する傾向があります。まあハイテク株に対する投資家の期待は大きいというのはIPOでも変わらないようですね。

3.会社名がよく分からない、業種を連想できない

先程の利益が上位5社、ユーザーローカル、ビーブレイクシステムズ、テモナ、SKIYAKI、シャノン、この中で社名から業種を連想できる企業が1つでもありますか?皆無ですよね。例えば、トヨタ自動車なら車の会社と分かりますし、日清食品なら食品関連と分かります。まあIT系になると事業内容と連想しづらい名前になるのは仕方ありませんが、実はこれにもある種の戦略があります。

1960年代、市場がIPOに熱狂する中、新規公開する企業の社名に「エレクトロニクス」という言葉をもじったのものを使用するのが流行ったそうです。これは後に「トロニクスブーム」と呼ばれ、似たような社名を付けた企業の初値は大幅に急騰する現象が起こりました。エレクトロニクス…何となく魅力的でカッコいい響きに聞こえませんか?結局、個人投資家なんて事業内容何はどうでも良いのです。何か限りない可能性を秘めている社名こそ、将来有望であると勝手に思い込んでいたのですね。

株式発行は資金調達の手段です。既に発行されている株式の上昇は直接企業に入ってくるわけではありません(時価総額が大きくなれば信用力が増す、買収されにくくなる等の副産物はあります)。よって新規公開時の株価は高ければ高い程、たくさんの資金を調達できるわけですから、企業も公募価格は高く設定したいのです。新規上場のサポートをする証券会社も、新規上場により調達した資金の何%を受け取れる等のメリットがあるので、IPO投資は企業、証券会社、個人投資家(当選した人のみ)の皆がウィンウィンの関係になれるのです。

まとめると、

  1. マザーズの小型株で吸収金額が少ない企業
  2. 将来性を感じさせる社名と事業内容

これを満たした銘柄が初値急騰する可能性を秘めているという事ですね。独断と偏見による考察ですが、結構当たってます。

上場、その後の株価は?

先程の5社の上場後の値動きを確認してみます。

ユーザーローカル

見事なまでの上場ゴール。今後の上昇に期待したいところです。

ビーブレイクシステムズ

こちらも上場以降ダダ下がりです。

テモナ

上場後に下落、その後は高値を付けるも再び下落に転じています。

SKIYAKI

下落中…。

シャノン

こちらも上場ゴール…。

5社全てが上場時の初値を抜けていません。将来株価が好転し、最高値を更新する可能性はありますが、今のところは上場ゴール状態です。

IPOは愚か者が存在するから儲かる

IPOは公募価格で買って初値で売る。上場後は急落するから安易に保有を継続するのは危険。

IPO投資の常識ですよね。人気のある銘柄はそもそも当選さえしませんが、当選すればこっちのもの。それなりの利益を獲得できるのですから。

IPO投資をしている人にお聞きします。ブックビルディングに参加する前に目論見書をちゃんと読みましたか?

読んでないですよね。

自分の投資対象を調査することは投資家ならば必須の作業です。でも目論見書をきっちりと呼んでいる人なんてまずいないでしょう。何をしているのかを大まかに確認する。せいぜいこの程度かと思われます。

でもIPOに関してはこの程度で十分なのです。誰もがIPOの大半は一時的なバブルであると認識しています。その証拠として上場日当日に初値で売るんですよね。上場後はダダ下がりになる可能性が高いという事を多くの人が知っているからです。

だけど、よくよく考えてみればバブル状態のIPOを掴む事って危険極まりない行為に他なりませんよね。なぜそこまで解っているのにIPOに熱狂するのですか?

まともな分析が出来ない個人投資家でさえ、IPO銘柄は割高という事に気が付いており、それにも関わらず、2日も3日も値が付かない事だって起こり得るのです。

もちろん、中には将来さらなる成長を遂げる企業も存在します。しかし、全体でみればその確率は極めて低い。これに関しては「株式投資の未来」の中でも明確なデータが残っていますので間違いありません。つまり、公募価格で買って初値で売る。IPOではこの戦略以外取るべきではないという事です。

とは言っても個人投資家はIPOに群がります(私もそのうちの1人ですが)。何故でしょうか?

答えは簡単。

投資家の多くがIPOは割高であると知っている。しかし、それと同時にその割高な株価よりも高い水準で別の愚か者な投資家が買ってくれると知っているから、IPOは儲かるのです。

IPO人気はこのような愚か者の存在によって支えられているのです。

まとめ

アメリカ株で長期投資をしている人もIPOには申し込んでおいた方が良いです。

私はSBI証券でアメリカ投資をしていますが、同時にIPOのブックビルディングには必ず参加することにしています。まあ当たりませんけどね。でも、SBI証券ならチャレンジポイントも付きますし、落選し続けてもポイントさえ溜まればいつかはA級IPOが当選します。

全ての資金を長期投資に回しているという訳でもなく、いくらかのキャッシュも保有していますので、IPOに応募するのは資金を遊ばせない上でも効率的と言えますね。

人間は過去の歴史を学んでは直ぐに忘れるようです。そのおかげで公募価格で買って初値で売る、という単純作業だけでそれなりの利益を得る事が出来るのですが。

いずれにせよ、割高な株価でも買ってくれる投資家がいる以上、IPOはまだまだ魅力的な投資法として君臨し続けるでしょう。

ちなみに、上場後のIPOを売買して利益を挙げるセカンダリー投資なる手法も存在しますが、手を出さない方が良いです。大火傷しますので。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)