堅実と言われる日本人、だから投資は失敗する【配当・優待目的、スワップ狙い、毎月分配型投資信託の罠】

日本人と言えば投資よりも貯蓄。世間のイメージとしてはこのような認識が一般的かと思います。確かに現金が一番確実で、お金の価値が上がる・下がると=インフレ・デフレという概念を抜きに考えれば、貯金こそ最大の資産形成と考えることも出来ます。

毎月コンスタントに投資で2万円の利益を上げるのは難易度高しですが、月に2万円を貯金に回せば、年間で24万円確実に貯まります。

このような国民性が故に投資にも安定性や堅実性を求めます。

しかし、現実には表面上の堅実性だけで、投資先の中身を正確に理解出来ていない。故にトータルではマイナスを出してしまう。

投資を始めようとする意思のある人は、これらについて真剣に考える必要があります。

日本人は貯金が大好き

ボーナスの使い道は?と聞かれ、貯金と言う選択肢を掲げる人は多いかと思います。

確かに堅実かつ確実な方法です。現在の利率から見て長期で見た場合は、現金の引き出し等により手数料負け必至の銀行預金ですが、”確実に資産を増やす”という観点で見れば最も間違いのない方法ではあります。

一方、アメリカなどでは投資をするという行為自体が一般的であるという意見もあります。この意見を確かめるべく、日銀が発表している「資金循環の日米欧比較」という統計からその真意を確認してみます。

現金預金

日本:52.3%

米国:13.9

ユーロエリア:34.6%

株式等

日本:8.6

米国:35.4

ユーロエリア:16.3

保険・年金関係の数値が3国とも大きく変わらない事を考慮しても、日本人の投資に対する消極性が分かる結果となっております。また、その分現金・貯金の数値が他国に比べて高い事も納得と言ったところでしょうか。

そもそも日本では投資に対する教育がしっかりとなされておりません。投資に興味を持っている人は多いけれど、実際に始めるのは若い人ならば極僅か。年齢的に見ても40歳台以上の方が大半です。

投資は経験がものを言います。ある程度社会人経験を重ね、お金に余裕が出てから「さあ、株でもやろうかな」なんて言ってもネットや雑誌で”これから上がりそうな株特集”などを鵜呑みにする人が多数でしょう。確かに雑誌やその道の人がすすめる銘柄を買うだけなら楽ですからね。

株もFXも共に、過去の値動きから将来の価格を予測することは出来ません。でも、長い期間チャートを見続けばいろんな事が解ってきます。この経験はどんな知識よりも役に立ちます。

しかし、ほとんどの人は実際に投資をしないと、真剣に相場を見る事をしません。実際に資金を投入していない人と、大事な資金をつぎ込んでいる人とでは、相場の見え方が全く違います。これも大事な経験です。

だから少額でも良いから、若いうちから相場に資金を投入するというのは大切な事です。その分相場を真剣に見るようになりますから。あまりに少額過ぎても真剣味がなくなり、効果は薄いかもしれませんが。

いずれにせよ、少額ならば利益も大して出ないけど、大きな損失を被る事もほとんどありません。FXだってドル円でレバレッジを効かせなければ1万通貨でもせいぜい数万円の損益しか発生しませんから。時間をかけて10円・20円動く事はあるかもしれませんけど、それだって社会人のひと月の給料分です。そのくらいの勉強代ならば投資をする上では安いもんです。

堅実な投資という罠

さて、タイトルにあるように日本人は堅実だと言われています。それが投資に対する消極性と貯金意欲の高さでもあります。

そんな日本人に人気が高いのが、「配当金」、「株主優待制度」、「スワップポイント」、「毎月分配型投資信託」です。

これらを選択する事が間違っていると言いたいのではありません。利用するのは大いに結構ですし、戦略次第ではキャピタルゲインを狙った手法よりもトータルの利益を伸ばせるかもしれません。

しかし、何の戦略もなしに戦いに挑むのであれば、それは賢明であるとは言えません。

配当金狙いの投資

配当金ってとても魅力的ですよ。ある銘柄を持ってるだけで自動的にお金が入ってくるのですから。でも、単に「配当利回りが高い」という理由だけで資金を投入すると失敗します。

そもそも、配当利回りと言うのは「1株当たり(予想)配当金÷株価」の計算式で表されます。配当金は将来受け取ることの出来る利益ですから、当然その計算をするにあたって予想値の1株当たり配当金を使います。

日経平均株価の配当利回りは現在で1.7%前後、100万円で17,000円の配当金ですね(税金考慮せず)。日経平均採用銘柄以外を見てみると、4%~5%の配当利回りという企業もそれなりにあります。5%ってかなり魅力的ですよね。普通の金融商品で利回り5%なんて滅多にありません。

しかし、ここで考えるべきことは、株価下落による含み損と配当金の関係です。

例えば、1000円(1株)×1000株=100万円の投資金額で、配当利回りが5%であったとしても、株価が100円下落したらどうでしょうか?

900円×1000株=90万円となり、含み損と配当金を考慮すればトータルではマイナスとなるでしょう。

ちなみに、配当利回りが変動する要因は

  1. 1株当たりの予想配当金が上昇
  2. 株価が下落

株価が下がれば配当利回りは上昇します。この時点で高配当に惹かれ、保有を選択したとします。この選択肢が必ずしも間違いという訳ではありませんが、それ以上の含み損が出る事だけは避けたいのではないでしょうか?

最も、資産にそれなりの余力のある人は別です。含み損なんか気にせず、超長期保有前提と言うならば、ドルコスト平均法、若しくは市場全体が暴落した時などに買い増しするというスタンスでも良いかもしれません。

日本株は米国株と違い、右肩上がりではありませんから絶対的なキャピタルゲインというのは期待できないかもしれません。しかし、配当だけでそれなりの利益を得られるのならば、”私はむしろそっち派です。”

高配当=良い企業ではない

高配当企業は投資家にとっては魅力的ですが、企業の成長と言う面から見ると必ずしもメリットばかりではありません。

確かに、配当は株主に対する利益還元策の1つでもあります。企業の純利益を配当に回すというのも1つの案ですが、それ以上に設備投資や新規事業のために投資するというのも、成長のためには欠かせない要素となります。

配当金は少ないけど、その分企業の将来への投資に。経営者の方針にもよりますが、こういった考えがある事も頭に入れておくと良いかと思います。

ちなみに、超優良企業キーエンスは配当利回りが低い事で有名です。現時点で約0.2%です。ちょっとチャートを見てみましょう。

キーエンス月足チャート【1989年12月1日~2017年5月16日】

綺麗なまでの右肩上がりです。株式分割によりおもとめやすくなったとはいえ、現時点(2017年5月16日)での投資に必要な最低金額は488万です。誰でも買える銘柄ではありません。ちなみに、488万円投資してもれえる配当金は僅か、1万円程度でここから税も引かれます。その分キャピタルゲインで儲ければ良いかもしれませんが…。

株主優待制度

こちらも配当金と同じく、含み損により「株主優待」以上の損失が出たらお買い得とは言えないのではないでしょうか。

株主優待で有名な桐谷さんのように”億単位”で株式を保有している人ならば、夢の株主優待生活も可能かもしれませんが、我々一般人には無理です(笑)

とは言っても株主優待が大好きな人が多いのも事実。全てを含めて投資と割り切れるのなら、”株主優待目的”の投資も悪くないのかもしれません。

ちなみに、松井証券とカブドットコム証券のような一般信用取引銘柄が多い証券会社での取引ならば、逆日歩リスク無しに優待のタダ取りが可能なので、試してみる価値はあります。

株主優待のタダ取り方法

過去にご紹介した内容と同じになりますが改めて解説します。

そもそも株主優待制度を受けるにはどの時点で株を持っていれば良いのか?

1年中持っている必要はありません。権利確定日の3営業日前(権利付き最終日)までに株を購入するだけでいいんです。

3営業日ということは土日は含みませんので、解り易く表にしてみると

25日(火)  
26日(水) 権利付き最終日
27日(木) 権利落ち日
28日(金)  
29日(土) 非営業日
30日(日) 非営業日
31日(月) 権利確定日(決算日)

 

上記の例で言うならば、26日の15時までに買って27日の寄付きでは売ってしまっても構いません。保有期間は1日未満で事足りるのです。

だからって上記の取引をそそまま実行すると売却損が出る確率が高しです。ではどうするか?

ここで登場するのが両建てと言う手法です。

両建ての組み合わせは何パターンかありますが、優待タダ取りの場合は現物買い+信用売りで行ないます。

現物買い【配当金、株主優待共に受けられる】

信用買い【配当落調整金を受け取れる。株主優待制度は受けられない】

信用売り【配当落調整金を支払う必要がある】

具体的な手順としては以下の通り

  1. 権利付き最終日の前場寄り付き前に、現物買いと信用売りを同数量で成行注文する
  2. 権利落ち日になったら、現渡しにより決済する

これだけです。すごく簡単です。

この方法の注意点

両建てをすることにより、値幅変動のリスク無く優待制度を受ける事が出来ます。また、貸株料も日単位で見れば極わずか。売買手数料もネット証券ならば気にするほどの額ではありません。

そこで登場するのが「逆日歩」リスクです。

逆日歩とは、空売り用の株を調達する費用の事です。当然ながら人気の優待制度がある銘柄は、この方法によりタダ取りを実践する人が多くなります。それに伴い投資家達に貸し出すための株も不足します。その調達のために掛かる費用が「逆日歩」です。

過去には音通と呼ばれる企業の株主優待、「うどんギフトセット3000円分」の優待を受けたいがために、信用売りする投資家が多く発生したため、1株当たり逆日歩が18円発生しました。たかが18円かと思うかもしれませんが、この優待を受けるために必要な株式数は5000株、つまり18円×5000株=9万円のコストがかかってしまったのです。

ちなみにこの時の音通の株価は15円。それに対して逆日歩が18円と言うのも恐ろしい話です。

一般信用取引=逆日歩リスクが無い

前項の例は制度信用による取引を行った場合です。信用取引は基本的には制度信用を使いますが、今回のような優待のタダ取りを行う場合は一般信用制度を利用するのがベストです。

制度信用は証券取引所ルールを定めているのに対し、一般信用では個々の証券会社と投資家の間で契約が結ばれます。詳細のルールも証券会社が定めるため、逆日歩が発生しないと言ったメリットもあります。

しかし、一般信用取引は全ての銘柄で取引できるわけではなく、在庫に限りがある点でも注意が必要です。現時点で一般信用取引可能銘柄が豊富なのはカブドットコム証券や松井証券です。

また、必ずしも欲しい希望する銘柄が一般信用取引可能とも限らないので、思うようにならないのが現実です。

スワップポイント

FXのおいて、金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨を買えば、その差額を受け取る事が出来ます。現在の日本は低金利国家ですから、スワップポイント派の投資家にとっては都合が良いわけです。

しかも、スワップポイントは毎日発生します。これが日本人に人気のある理由でもあります。

スワップポイントは為替レートと政策金利により決まりますが、取引業者によって結構な差があるので注意が必要です。高金利通貨の場合は、数十円違う例もあるのでスワップポイント狙いで投資をする人は、各FX業者の詳細について知っておく必要があります。スワップポイントは一定ではなく、常に変動するという事も頭に入れておく必要があります。

とあるFX業者のスワップポイント一覧(1万通貨単位)

通貨ペア 買い 売り
米ドル/円 24 -39
ユーロ/円 -19 9
豪ドル/円 25 -40
ポンド/円 6 -20
NZドル/円 33 -43
カナダドル/円 7 -17
スイスフラン/円 -25 10
南アフリカランド/円 9 -19
トルコリラ/円 92 -107
メキシコペソ/円 11 -21

 

もちろん上記の数値はFX業者により異なりますが、トルコリラのスワップポイントが高いのは多くの業者に共通しているところでもあります。

逆に、売却益狙いで高金利通貨のショートポジションを長期間持つ場合は、スワップポイントを支払わなければならないという事にも注意を払う必要があります。

スワップポイント狙いポジションの含み損が拡大する恐怖

上記の表を見ると分かるように、スワップポイントを狙う上でトルコリラのロングは非常に魅力的な通貨となります。

トルコの政策金利は現時点で8%、トルコのような新興国は金利を上げないと他国からのマネーが流入しないのです。これを考慮すれば、相場全体がリスクオフに傾いている時は、どうしても新興国通貨は売られてしまいます。

トルコリラ/円:月足チャート

2007年ごろは1トルコリラ辺り90円前後だったにも関わらず、現在では30円程まで下落しています。

かつては高金利からスワップ狙いの投資家達に人気のあったトルコリラですが、スワップポイント目当てに資金をつぎ込んだものの、日に日に含み損は増すばかり。しかも、レバレッジを掛けていれば追証への恐怖とも戦わねければなりませんから、精神的にも辛い状況が続いたはずです。

株式投資による配当金と同じことが言えますが、スワップポイントでこつこつ利益を得る事が出来ても、下落による損失が拡大してしまったら元も子もないのです。

スワップポイント狙いの投資、大いに結構です。

しかし、取引対象となる通貨ペアのトレンドと言うものを把握しておかないと”痛い目”を見る事になります。レバレッジを掛けなければ大丈夫と思うかもしれませんが、先ほども言ったようにスワップポイントは日々変動します。

得られるスワップポイントが低くなれば塩漬けまでしてそのポジションを保有しているメリットはありません。また、通貨ペアによっては政策金利の変更により、スワップポイントを受け取る立場から”支払う立場”に変わってしまう可能性があるという事も念頭に入れておく必要があります。

業者間でのスワップ差を利用したアービトラージについて

アービトラージを日本語で言うと裁定取引です。先ほども言ったように、スワップポイントは各業者間で大きく異なります。この差を利用したのがFXにおけるアービトラージです。

やり方は単純。例えばトルコリラ/円のスワップポイントが

業者A:買い90円・売り100円

業者B:買い40円・売り80円

このような時に業者Aでトルコリラ/円をロング、業者Bでトルコリラ/円をショートします。

業者Aでのロングポジションによりスワップポイントが90円付与され、業者Bでのショートポジションにより80円のスワップポイントを支払い、差額が+10円となります。

また、業者が違うとはいえ、同価格でに両建てをすることにより、価格変動による損益が常にゼロという状態を維持できます。

得られる利益は微々たるものですが、条件が揃えばスワップポイントのタダ取りとも言えそうです。レバレッジを掛けて取引をする場合は、追証を防ぐためにこまめな資金の移動が必要不可欠となります。

ロングを保有している口座で損失が出た場合は、ショート保有の口座では利益が出ているため、こちらからロングの口座に資金を移動、若しくは逆。こういった調整が必要となります。

とは言ってもスワップポイント自体が変わる事はよくあるので、差額が小さくなればこの手法による旨みは無くなりますし、レバレッジを掛ける事を考えてもそれなりの元手と資金移動の手間が掛かります。

受け取る事の出来るスワップポイントによってはやる意味さえないという事も十分に考えられるのです。

毎月分配型投資信託

投資信託は投資のプロが運用している商品である。だから安全に違いない。

この考えを否定するわけではありませんが、常に右肩上がりのパフォーマンスを出している投資信託が一体どの程度存在するのでしょうか?

日経平均株価やNYダウなどの市場の平均をベンチマークとするような投資信託ならば、多くの人が理解できるかもしれませんが、世界各国の債券、株式、などを対象とした投資信託の場合は、その具体的な中身は理解できてないという方が多いのではないでしょうか。

毎月分配型投資信託を買う人もそれと同じで、商品の特性をしっかりと理解していないんです。毎月分配金を貰えるというメリットばかり見て、基準価格が下がるリスクに目を向けていない方が大半です。

自らが購入した投資信託が運用による利益が出ていれば良いのですが、出ていなかった場合はどこから分配金が支払われるのでしょうか?

もちろん、自らが投資した資金からです。つまり、投資した資金の一部を分配金として受け取ってるだけなんです。

投資は複利です。運用する側も投資した資金から利益を出し、その利益を再び投資に回すことでさらなる利益を追求していきます。その繰り返しによって資産が増えていくのです。

しかし、毎月分配金を出すことにより、再投資に回すことの出来る資金と言うのは確実に減っていきます。これじゃあ複利が期待できませんから、資産の増加も期待できませんよね。

毎月分配型投資信託のデメリットを簡単に説明すると以上のようになります。

毎月分配型投資信託についても今までお話してきた、配当金・株主優待・スワップポイントのと同じで、分配金により利益を得ても将来の売却損が拡大するばかりじゃ意味はありませんよねってことです。

まとめ

投資はトータルで勝てば良いのです。近い将来確実にもらえる利益のためにトータルで損をしていては意味がありません。

今回解説した投資目的を否定するつもりは毛頭ありませんが、目先の利益に捉われる事無く、長期的な視野を広げ、投資をしていただきたいものです。

目先の利益を追いかけると失敗する。既に私も経験済みです。明日よりも一月後、一月後よりも一年後を見据えた運用こそ真の投資であると私は思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)