ベンチマーク、インデックス、パッシブ、アクティブ、スマートベータ、それぞれの違いと意味を理解する

インデックス、パッシブ、アクティブ、スマートベータ、ベンチマーク、ETF投資を実践する人ならば普段何気なく使っている言葉ですが、その意味自体を曖昧なまま終わらせてる人は案外多いかと思います。

そこで今回はそれぞれの意味と違いを改めて整理し、投資におけるスマートベータの有効性について検証してみました。

それぞれの意味の違いは?

インデックスファンドとアクティブファンドは証券取引所に上場しているか否かで、投資信託とETF(上場投資信託)に分類されます。また、その組成方法に関しても両者は大きくことなりますが、ここでは割愛させて頂きます。基本的な構造としては、ある指数に連動した成果を目指すならETF、ファンドマネージャーの裁量によりアクティブ運用の投資信託を選択するのが一般的です。後述しますが、現在の日本市場にはアクティブ型のETFは上場しておらず、アクティブ運用のETFを購入したいならば、アメリカETFに限られます。しかし、現時点では日本の個人投資家にはあまり、普及しておらず、逆を言えば、今後の成長に期待と言ったところでしょうか。

1.ベンチマーク

ベンチマークの日本語訳は「判断や判定のための基準・尺度」です。ベンチマークとは、投資信託やETFが運用の目安としている指数を言います。つまり、日経平均株価連動型ETFのベンチマークは日経平均株価。TOPIX連動型ETFのベンチマークはTOPIX、S&P500連動型のETFのベンチマークはS&P500となるわけです。

2.インデックス

インデックスの日本語訳は指数です。つまり、インデックスファンドと言うのは、指数に連動する商品の事を指します。では、このインデックスファンドの指数は何を基準としているの?これと繋がるのがベンチマークです。例えば、現在の日本で最も純資産の多いETFは、TOPIX連動型上場投資信託【1306】になります。これを先ほどの言葉に当てはめると、TOPIX連動型上場投資信託は、TOPIXをベンチマークとするインデックスファンドという事になります。

3.アクティブ

現在の日本では、アクティブ運用によるETFは認められておらず、アクティブ運用の商品が欲しいと思ったら、ETFではなく投資信託を購入する必要があります。

インデックスファンドとアクティブファンドの決定的な違いは、インデクッスファンドが運用の目安となるベンチマークを定めているのに対し、アクティブファンドはファンドマネージャーによる裁量や運用方針により、ベンチマーク(市場平均)を上回るリターンを目指している点にあります。

4.パッシブ

パッシブの日本語訳は受動的です。インデックスファンドは目標となる指数(ベンチマーク)を目指した運用をしていると言いました。アクティブが市場平均を超えるリターンを目指しているのに対し、インデックスファンドでは市場平均を狙いに行きます。市場平均を狙う運用=受動的(パッシブ運用)、言い換えれば、インデックスファンドによるパッシブ運用となるわけです。

5.スマートベータ

インデックス運用の代表的なETFと言えば、S&P500やTOPIXをベンチマークとしたETFです。スマートベータETFは従来のベンチマークである時価総額に代表される市場平均以外の指数を設定し、それに連動するように組成された商品を言います。

スマートベータETFが登場する前は、市場平均をインデックスとするETF以外に投資をしようと思ったら、アクティブファンド(投資信託)に頼らざるを得ませんでした。しかし、御存じのように、ETFと違いアクティブファンドは手数料が高く、なおかつ多くのアクティブファンドが市場平均を上回れないという事実があります。

これを考えればスマートベータETFは我々個人投資家にとって、非常に有効な投資先の1つであると言えるわけです。

スマートベータのスマートは賢い、ベータは市場平均を表しています(S&P500など)。スマートベータETFにおいて、その指数を構成する基準をファクター(要素)と呼んでいます。このことから、スマートベータ運用はファクトー戦略とも呼ばれています。

スマートベータ運用においては、スマートベータ指数それぞれにファクターを定め、ルール化することによって組入銘柄の選定を行っています。

代表的なファクターは以下の通り。

バリュー:PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)等の指標から銘柄を選定

小型株:時価総額を基準に銘柄を選定

モメンタム:直近のパフォーマンスが優れている銘柄への投資

低ボラティリティ:リターンのボラティリティが低い株式への投資

収益性:ROE(株主資本利益率)等の指標から収益性を考慮し銘柄を選定する

高配当:銘柄組入れの基準を高配当にし、選定を行う

上記を基準とし、スマートベータ指数を組成し、その指数と連動する値動きを目指すのがスマートベータ運用によるETFなのです。

では、スマートベータ運用はアクティブとインデクッスのどちらに分類されるのか。また、時価総額を主とする市場平均ではなく、あえてスマートベータ運用することのメリットはどこにあるのか。これらについて検証していきます。

時価総額型ETFの問題点

現在、あらゆるETFの中で最も純資産があるのはS&P500種連動型のETFです。

ETF純資産ランキング

  1. SPDR S&P500 ETF (SPY):21.7兆円
  2. iシェアーズ・コア S&P 500 ETF (IVV):8.7兆円
  3. バンガード・トータル・ストックマーケット ETF (VTI):7.1兆円
  4. iシェアーズ MSCI EAFE ETF (EFA):6.6兆円
  5. バンガード・S&P 500 ETF (VOO):5.6兆円
  6. TOPIX 連動型上場投資信託 (1306):5.4兆円

6位までを見ても、その大半はステートストリート、ブラックロック、バンガード各社のS&P500連動ETFが占めている事が分かります。日本の株価指数TOPIXの純資産は5.4兆円で、S&P500のETFには及びませんが、かなりの資産規模を誇っています。

時価総額をベンチマークとするETFに投資をすることのメリット

TOPIX連動型ETFは例外として、個人投資家が長期投資をするならばインデックス投資が最良の選択肢。具体的にはS&P500に連動するETFを買い増しし、後は放置。アメリカ市場は右肩上がりだから、目先の暴落は仕方ないとしても、超長期で見れば必ず、リターンはプラスになる。

下手に個別銘柄でポートフォリオを組んでも市場平均には勝てない。下手な売買はせず、S&P500のETFを買うだけで良い。

過去の歴史を見る限り、この理論は正しいです。過去は過去、未来は未来。相場における過去が未来にも通じるとは限りません。しかし、個人投資家が取れる最良の選択肢であることに間違いはありません。

また、S&P500をベンチマークとしたETFは、各社凌ぎを削っており、信託報酬が限りなく低く設定されています。特にバンガードとブラックロックにおいては、両社0.04%と良心的な価格設定になっています。100万円の投資で400円ですから、ほぼ無視できるコストになります。

S&P500は単なる市場平均ではなく、定期的な銘柄の入れ替えが行われており、ある意味新鮮味が保たれた指数です。個人投資家自らがポートフォリオの入れ替えを行うのは、税金、手数料、売却損益等々の面からしても様々なデメリットが存在します。

ETFはこれを自動でやってくれるのですから、個人投資家にはメリットばかりなのです。

時価総額型ETFの問題点

まずは、バンガードのVOOの組入れ銘柄上位10位を確認してみます。

  1. アップル:3.7%
  2. マイクロソフト:2.5%
  3. アルファベット:2.4%
  4. アマゾン:1.7%
  5. エクソンモービル:1.7%
  6. ジョンソン&ジョンソン:1.7%
  7. フェイスブック:1.6%
  8. バークシャー・ハサウェイ:1.6%
  9. JPモルガンチェース:1.5%
  10. ゼネラルエレクトリック:1.3%

どれもアメリカを代表する素晴らしい企業であることに間違いはありません。しかし、組入れ上位銘柄にはいわゆるFANGのうち、F(Facebook)、A(アマゾン)、G(アルファベット)が含まれています。その他アップルを含め、ハイテクセクターが上位に占める割合が多い事が分かります。

投資における基本は安く買って高く売る。しかし、この理論で行くと、ハイテクセクターが上位に占める割合が多い(と言っても全体から見れば影響力は限定されますが)=割高感があり、常に高値掴みになりやすいと考える事が出来ます。言ってみれば、これが時価総額(市場平均)に投資することのデメリットであると言えます。

基本的にマーケットは効率的である。しかし、本質との間に稀にかい離が生じる時がある。それは投資家達の過大な期待や、不安によるもである。その非効率な部分=歪を見つけ出し、市場平均を上回るパフォーマンスを目指すのがアクティブ運用である。

これはあくまで理想の考えです。現実はそんなにも上手くはずもなく、だったら最初からインデックス投資に徹するのが賢明と言う選択肢が生まれるのです。しかも、割高と言えど、明らかなバブルとは言えません。確かにNY市場は長期間の上場相場が続き、多くの投資家が調整局面への突入を予感しています。しかし、その具体的な時期を正確に予測することは出来ませんし、最終的には右肩上がりで推移すると予想するのなら、目先の下げに惑わされず、コツコツと買い増しを行うという戦略でも良いのかもしれません。

スマートベータはアクティブ運用なのか?

ではスマートベータによる運用はアクティブとインデックスのどちらに分類されるのか。

アクティブ運用は、ファンドマネージャーの採用により、市場平均超えるパフォーマンスを目指す点にあります。その逆が、市場平均をベンチマークとしたインデックス投資です。

ちょっと整理してみます。

1.スマートベータ運用を解体してみると、ファクターを基準とした指数を設定する。そしてその指数をベンチマークとし、それに連動するように設計する=インデックス運用と言える。

2.ベンチマークを設定し、その大元の指数にも一定のルールが存在し、その手の内(具体的な銘柄構成)に透明性があるとは言え、時価総額以外のルールが介入する以上、それはアクティブ運用と言える。

スマートベータに具体的な定義はありません。つまり、これがアクティブなのかそうでないのかは、各個人により意見の分かれるところでありますが、私なりの意見を述べてみます。

スマートベータ=ファクターを基準とした指数を設定し、それをベンチマークとする=インデクッス投資

指数を構成する銘柄の入れ替えには一定のルールが存在=完全なアクティブ運用とは言えない

まとめると、スマートベータ指数をベンチマークとした運用はインデクッス投資に分類される。

多少のアクティブ要素も含まれるが、主はパッシブ運用である。

結論としては、あまり言葉の解釈にこだわる必要はないという事です。しかし、インデックス運用、アクティブ運用のそれぞれの特徴を有するのがスマートベータ運用と言っても間違いではなさそうです。

スマートベータは市場平均を超えるのか?

時価総額加重ETFのデメリットが、割高な銘柄への投資と前述しました。では、スマートベータ運用は市場平均を超える事が出来るのか。

これを具体的に言うと、スマートベータ運用によるETFはS&P500を超える事が出来るのか、という事になります。

 

実際にメジャーなETFの中から、スマートベータの要素を含むETFをピックアップし、S&P500とのパフォーマンスを比較してみました。

1.VTV:バンガード・米国バリューETF

設定日:2004年1月26日

ベンチマーク:CRSP USラージキャップ・ バリュー・インデックス

経費率:0.06%

構成銘柄:331

売買回転率:6.8%

S&P500とのパフォーマンスを比較(ローソク足がS&P500,ラインチャートがVTV)

ほぼ同じような値動きに留まっていますが、S&P500の方がトータルのパフォーマンスは良いです。

2.VUG:バンガード・米国グロースETF

設定日:2004年1月26日

ベンチマーク:CRSP USラージキャップ・ グロース・インデックス

経費率:0.06%

構成銘柄:326

売買回転率:10.7%

S&P500とのパフォーマンスを比較(ローソク足がS&P500,ラインチャートがVUG)

こちらはS&P500のアウトパフォームしています。バリュー(ファンダメンタルズ的に割安)、グロース(成長株)、今回の検証ではS&P500をアウトパフォームするのはグロースであることが分かります。

3.VYM:バンガード・米国高配当株式ETF

設定日:2006年11月10日

ベンチマーク:FTSE ハイディビデンド・ イールド・インデックス

経費率:0.08%

構成銘柄:428

売買回転率:9.76%

S&P500とのパフォーマンスを比較(ローソク足がS&P500,ラインチャートがVYM)

高配当系のETFとして人気のあるVYMですが、上昇力ではS&P500には敵わないようです。しかし、VYMはこれに加え、3%前後の配当が望める事。S&P500に含まれる、ファイスブックやバークシャーハサウェイ等の無配の成長株をVYMは保有していない事を考慮すると、このパフォーマンスは十分と言えそうです。

4.HDV:ブラックロック・iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF

設定日:2011年3月29日

ベンチマーク:モーニングスター配当フォーカス指数

経費率:0.08%

構成銘柄:73

売買回転率:49%

S&P500とのパフォーマンスを比較(ローソク足がS&P500,ラインチャートがHDV)

こちらは2011年設定のため、長期での比較は出来ません。結果を見るとこのところのS&P500の上昇には付いていけていませんが、エネルギーセクターの多いHDVの構成を考慮すればそれも納得です。しかし、VYM同様に高配当系のETFという事を考慮すればこのパフォーマンスは上出来と言えるでしょう。

ハイテクセクターがほとんど組み込まれていない分、上昇にいくらか制御が掛かる事は、買い増しにより持ち株を増やしたいという配当目的の投資家からしたら都合が良いと言えます。

5.JPX日経400インデックスとTOPIXを比較

JPX日経インデックス400は2014年1月6日から公表が決まった比較的新しい指数です。グローバルな社会に対応するため、日本の上場企業の中でも財務や経営が優秀な指数を作るという名目の元、日本取引所グループ・東京証券取引所・日本経済新聞社が共同で開発しました。

その採用基準は、東京証券取引所に上場する銘柄であり、1部・2部を始めとし、マザーズやジャスダックなどの新興市場も採用の範囲とされています。

JPX日経インデックス400の銘柄選定のプロセスは以下の通り。

  1. 東京証券取引所上場企業の中から、特設注意銘柄を取り除く
  2. 過去3年間で連続赤字や債務超過にある企業を除外する
  3. 売買代金と時価総額を踏まえ、上位1000銘柄を選定する
  4. 上位1000銘柄の中から、自己資本比率・営業利益・時価総額の3つの指標を基準としてスコア付けを行い、400銘柄を選定する

JPX日経インデックス400は単なる市場平均ではなく、銘柄選定に独自のルールが存在する=スマートベータとも考える事が出来ます。

では、東証一部の時価総額を基準とした指数であるTOPIXとJPX日経インデックス400では、どちらがパフォーマンスが優れているのか。

緑が日経平均株価、青がTOPIX、赤がJPX400に連動するETFです。これを見る限り値動きはほぼ一緒。

もう少し、期間を限定してみてみます。

これを見る限りでは、若干TOPIXに劣っています。しかし、その差も微々たるもの。日経平均やTOPIXではなく、あえてJPX400に投資をするメリットはそれほどあるとは言えないのが現状です。

それもそのはずで、日経平均株価採用の225銘柄は全て東証一部です。TOPIXは東証一部の時価総額の平均。JPX400は対象を全ての市場と言いつつも、結局は構成の9割以上が東証一部なので、値動きが同じなのは当然なんですね。

まとめ

タイトルの、それぞれの用語の違いについては分かって頂けたかと思います。しかし、スマートベータの有効性については今後も検証作業が必要であると言えます。

スマートベータ指数は、必ずしも市場平均をアウトパフォームするとは限らない事。しかし、投資対象の1つとしては魅力的であるという事。

私に限って言えば、高配当系のETFが好きで、VYNとHDVを保有していますが、自身の戦略として必ずしもS&P500の上昇に追いつく必要はないと考えています。

目的は優良企業への投資により配当を受け取る事。銘柄選定+入れ替えを自動で行ってくれるというメリットを享受するのが目的なのですか。要は使い分け次第という事です。

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