国債と金利(国債利回り)の関係をザックリと理解する【短期金利と長期金利はどのように決まる?】

国債と金利の関係ってどれだけの人が理解しているのでしょうか?

株式投資を実践している人でも、金利の動向については注意を払ってない人って案外多いのではないのでしょうか。国債も金利も本来は私たちの生活にとても身近なもの。短期金利は銀行預貯金、長期金利は住宅ローンとも密接な関係があります。

その詳細な知識までをおさえる必要はありませんが、おおまかな全体像をつかむ事は投資家として必須の事項となります。

今回は、国債と金利(国債利回り)、短期金利と長期金利の決まり方をザックリと解説してみます。あまり気張らずに流し読み程度で構いませんので、これを機に債券と金利について学んでみましょう。

債券とは?

債券を説明した文章によくあるのが、債券とは資金を調達する際に発行する「借用証書」という解説です。

国が発行したものは国債

地方公共団体が発行したものは地方債

民間企業が発行したものは社債

この程度の認識で構いません。債券そのものについては学生時代に学んではいるので、それ自体が何かという問いには答えられる方が大半です。

厄介なのは金利の方。

例えば、国債は以下の3要素で構成されています。

発行体

クーポン(利率)

償還期限

クーポンと言うと何の事だかよく分かりませんが、利率と置き換えるとすんなり理解出来ると思います。重要なのはひと口にに金利と言っても、それがクーポンを指しているのか、国債利回りを指しているのかで意味合いは違ってくるという事です。

仮に、Aと言う会社が社債を以下の条件で発行したとします。

発行体:A社

クーポン(利率):20%/年

償還期限:2018年7月26日(1年後)

先ほど、クーポンと利回りについてお話しましたが、クーポンとは債券発行時から一貫して変わることはありません。対して、利回りは債券の価格に合わせて上下することになります。

クーポン=債券発行時から償還までずっと変わらない

利回り=債券価格によって上下する

債券におけるクーポンは株式における配当のような不確実なものではなく、約束された利息です。これが支払われない=債務不履行(デフォルト)となるわけです。

ちなみに、株式の配当は、会社の業績によって変動します。会社四季報などに乗っている配当はあくまで予想値であり、業績次第では配当も無くなる可能性があるのです。

つまり、債券は満期まで保有していれば、デフォルトが無い限り、元本+利息分が必ず受け取れるわけです。

さて、先ほどのA社に話を戻します。

100万円で、年利20%、償還期限は1年後。この条件の社債を満期まで保有したとすると、元本(100万円)+利息(20万円)で120万円になります。年利20%でデフォルト危険のない債券なんて本来はありませんが、計算を簡潔にするためですので、ご了承ください。

この債券をあなたが購入したとします。

しかし、その後A社の経営状況悪化が表面化し、A社社債の安全性に問題が生じました。

そこであなたは、この社債を売りに出したいと考えました。しかし、リスクの増した債券を発行時と同じ価格で売ろうとしても、それでは取引が成立しません。当然ながら、この債券の価格は下落します。

さて、債券価格は80万円まで下落しました。するとこの時の利回りはどうなうでしょうか?

デフォルトが無い限り、この債券を満期まで保有すれば元本100万円+利息20万円で、計120万円を受け取れるという事実は変わりません。

すると、債券価格80万円に対して、償還時の総額は120万円ですから、その差40万円が利息として受け取れることになります。これが債券利回りに該当します。つまり、この場合の利回りは50%となるわけです。

債券価格が下がる=債券利回りが上昇の関係は、リスクとリターンの関係に置き換えることも出来ます。債券価格が下がるのは、その債券自体に元本割れのリスクが生じたためです。それに伴い、需給の関係から債券自体の価格が下落するのです。

リスクがある商品にはそれ相応のリターンを求めるのが投資家心理です。元本割れというリスクを負うからには、より高いリターンを求めるのが市場の原理原則なのです。

また、債券の需要が増え、債券価格が100万円から、110万円まで上昇したとします。この場合は、値上がり分だけ債券利回りが下落することになります。

簡単にまとめると

債券価格の下落=債券利回りの上昇

債券価格の上昇=債券利回りの下落

これらはいわゆる逆相関の関係にあるという事

利率は償還まで変わらない

利回りは債券価格の上下に合わせて変動する

これらは重要キーワードですので、覚えておくようにしましょう。

実際には利回りの計算には、債券の残存期間も関係してきますが、今回は大まかに理解するという事を最優先にしたため、こちらは省略させていただきました。

また、先ほどの例で気づいて方もいるかもしれませんが、債券には新発債市場と流通市場があります。

一般的に債券と言うと、一度買ったら満期まで保有するという商品であるという印象が強いですが、償還日を待たずとも、流通市場にて売却をすることが出来ます。

債券の中でも最も取引が活発なのは国債です。国債の新発は入札により行なわれ、流通市場での売買も盛んに行われいます。

短期金利と長期金利

短期金利

日銀は金融政策によって短期金利をコントロールしています。現在の短期金利の操作目標は無担保コールレート翌日物です。日銀は公開市場操作により、市中の資金供給量をコントロールすることで、無担保コール翌日物金利を操作しています。

無担保コールレート翌日物と言うのは、コール市場で金融機関同士がお互いに資金を借りたり、貸したりする際の金利の事です。言ってみれば、コール市場は金融機関が日々の資金の過不足を調整し合う市場ということになります。無担保コールレートはオーバーナイト物とも呼ばれており、これは、無担保で翌日返済という条件に由来しています。

ちなみに、アメリカで言うところのファデラル・ファンド・レートが、この無担保コール翌日物に該当します。

具体的には、市場に流通する貨幣が多い時は、売りオペレーションにより、中央銀行が保有している債券等を売却し、資金の回収を図ります。一方で、市場に流通する貨幣が少ない時は、買いオペレーションにより、債券等を買い入れる事で、市場に貨幣を流通させています。

現在は日銀の金融政策により、無担保コール翌日物はマイナス圏で推移しています。

長期金利

長期金利を表す代表的な指標が、10年物国債の利回りです。もっと厳密に言うならば、最も直近に発行された10年物国債の利率が長期金利となります。財務省は新たに国債を発行する際、流通市場で取引されている既発債の利回りを参考にすると同時に、入札参加者へのヒアリングを行っています。これにより新発債の利率が決定するのです。

また、長期金利は、定期預金、住宅ローン等、金融機関が我々に貸し出す様々な金利に影響を及ぼします。私たちの生活と切っても切れない関係にあります。

短期金利と長期金利の大きな違いは、短期金利が日銀の金融政策の影響を強く受けるのに対し、長期金利は短期金利の影響を受けつつも、マーケット参加者たちの取引により、金利が形成されていくというところにあります。つまり、長期金利はマーケットの意思とも読み取れるわけです。

では、長期金利の動向はどのように決まっていくのか。これについて解説してみたいと思います。

例えば、今後政策金利を引き上げると市場が予想すれば、それに合わせて長期金利も上がる傾向にあります。金利の上昇は裏を返せば、債券価格の下落に繋がるわけです。マーケットは市場参加者の意思を先取りしながら動いていくので、将来債券価格が下落すると多くの投資家が考えれば、それに合わせて債券は売られ、結果として、10年債利回りは上昇することになります。

また、経済全体にお金が回るようになり、企業が新たな設備投資のために資金を借り入れるような局面でも、長期金利は上昇する傾向にあります。

この他にも日本の長期金利はアメリカの長期金利の影響も強く受けています。

リスクオンとリスクオフという言葉があるように、債券は株式に比べると比較的安全な金融商品です。リスクオンとは、投資家達が高いリターンを得るために積極的にリスクを取りにいっている状況。リスクオフとは株式などのリスクの高い商品から資金を引き揚げ、債券などの比較的安全な商品に資産を流入させている状態を言います。

これを踏まえるならば、

株式市場の上昇=債券価格の下落(債券利回りの上昇)

株式市場の下落=債券価格の上昇(債券利回りの下落)

これが正しいのかを確認するために、アメリカを代表する指標S&P500と米10年債利回りの推移を見てみます。

S&P500(ローソク足)×アメリカ10年債利回り(ラインチャート)

上記の期間ではある程度の相関性が認められますが、期間を変えてリーマンショック後などで相関性を確認してみると、若干連動性が薄れては来ます。

それもそのはず、リーマンショック後はアメリカも歴史的なゼロ金利政策を実施し、経済の活性化を図ってきました。しかし、そのような異常事態でなければ、10年債利回りと株式市場の間にある程度の相関性は認められると言えるでしょう。

10年物国債利回りの推移

2013年3月、黒田日銀総裁の異次元緩和発表時に、政策金利誘導目標が無担保コール翌日物からマネタリーベースに変更されました。

その後、2016年9月には長短金利操作付き量的・質的金融緩和が導入されました。これまでは、金融政策と言えば主として短期金利をコントロールするのが目的でしたが、これにより、短期金利と長期金利両方の誘導目標を設定したことになります。

長期金利マイナス突入の理由は?

現在はプラス圏に浮上してますが、2016年2月9日に長期金利(10年債)利回りは初めてマイナス圏に突入しました。その前月には日銀によるマイナス金利政策が発表されましたが、長期金利のマイナス圏突入と日銀のマイナス金利政策は別物ですので、勘違いをしないように。

日銀のマイナス金利政策が、長期金利に影響を及ぼしたと考える事は出来ますが、本質は異なりますので、ここでその違いをはっきりさせておきましょう。

先ほども言ったように、長期金利はマーケット参加者達により、その価格が形成されています。つまり、長期金利をマイナス圏に突入させたのは他でもない、私たちなのです。なぜなら、長期金利が上昇する直接的な要因は、国債の価格が上昇する事=国債の買い意欲が高まる事にあるからです。

ここで、長期金利のマイナスが何を指しているのかを確認します。

例えば、100万円で新発10年物国債を購入したとします。

この時の年利が1%ならば、償還期限である10年後には元本も含め、110万円が手元に返ってくることになります。これは正常な状態です。

しかし、国債の買い意欲が高まった結果、国債の価格が上昇します。

本来100万円の国債を120万円で購入したとしても、利率は元本に対して1%のままです(利率と利回りは違います)。

さて、償還期限である10年後に返ってくるお金は、元本100万円+利息の10万円、購入価格は120万円。その差額10万円分がマイナス金利となるわけです。

国債の需要が高まった理由は?

それでは、なぜ国債の需要が高まったのでしょうか?

理由として考えられるものを挙げてみます。

1.長期金利がマイナス圏に突入した、その前の月には、日銀のマイナス金利政策が発表されました(詳細は後程解説いたします)。この政策により、準備預金金利がマイナスになると、金融機関はプラスの利回りを維持している商品、国債に資金を移動します。これにより、国債需要が高まり、価格が上昇、逆相関の関係にある債券利回りがマイナス圏に突入するという理屈です。

2.日銀は金融政策により、大量の国債を購入しています。つまり、日銀が国債を買い続ける限り、国債の価格は上昇、利回りのマイナスは拡大していくわけです。例えば、国債購入時に利回りがマイナス1%だったとしても、さらに拡大し、マイナス1.5%になった時に売れば、国債の売却益が生じる事になるのです。この考えは株と一緒です。国債をトレードすることにより利益を出すという考えです。

マイナス金利政策とは?

今さら感もありますが、自身の知識整理のためにも、マイナス金利政策の概要をサラッと解説してみます。

マイナス金利政策は正確には、マイナス金利付き量的・質的金融緩和と言います。これは、各金融機関が日銀に預けている当座預金の一部に適用される金利をマイナスにするということです。

これにより、金融機関が日銀にお金を預けるのではなく、市中に流通させることにより、経済の活性化を狙おうとしたわけです。この資金が国債に向かったことが、先ほど説明した、長期金利のマイナス圏突入に繋がってくるのです。

マイナス金利政策が行われたとしても、私たちの預金利率にマイナス金利が適用される事はありません。そのマイナス分は金融機関が負担することになりますから、マイナス金利政策は金融機関の財政を圧迫する可能性もあるというデメリットも存在します。

日銀にお金を預けていたら損をするから、金融機関が企業等への貸し出しに回すよう促すという考え方は、理屈上は合っていると言えるかもしれませんが、現実はそう上手くはいきません。

マイナス金利政策により、特に住宅ローンを利用する人はその恩恵を受ける事が出来たかもしれません。また、金利が低下したことにより、企業の社債発行額も増加に繋がりました。銀行預金などの、元々低い金利はさらに低くなってはしまったけれど、世の中全体の金利低下により、借金をする人には好都合となったようです。

まとめ

債券も金利も知っているようで、その詳細は曖昧なままです。国債自体は個人投資家には無縁と言ってもよい商品です。個人向け国債なども、投資対象としては魅力がありません。

だったらETFなどで、もっと利回りの期待できる商品に投資をした方が絶対良いです。個人向け国債は途中解約に制限がありますし、ペナルティもあります。買うメリットはないと言えます。

さて、債券と金利の関係について、少しは分かって頂けたでしょうか?

私もこの分野に関しては、まだまだ勉強中です。ハッキリ言って債権と金利が理解できても、投資での成果が向上するわけではありません。ただ、世の中のお金の流れが何となく掴めるようになってきます。

株・為替・債券・金利、これらを学べば相乗効果で理解力がさらに深まる事は間違いありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)