為替のファンダメンタルズ分析をFXでのトレードに応用する

為替でファンダメンタルというと、まず思い浮かぶのは毎日のように発表のある指標発表。雇用統計やFOMCと言った重要指標の把握はFXトレードで必要不可欠ですが、為替市場に影響を与える株式市場や原油市場等の周辺市場や周辺商品もファンダメンタル情報と言えます。

為替市場は決して単独で動いている訳ではなく、様々な市場の影響を受けながら動いています。今回は言われてみれば当たり前ですが、実際にそれほど深く考えられる機会の少ない為替市場における商品市場等との関係を、相関性という観点で考えてみました。

FXのファンダメンタル情報、指標だけがファンダメンタルではない

FXでファンダメンタルと言うと、まず思い浮かぶのがアメリカの雇用統計等の指標発表。毎月決まった日時に発表される指標から。中央銀行トップの会見等、毎週多くの指標発表が行われ、為替市場に影響を与えています。

しかしながら為替の世界でファンダメンタルと一言で表しても、その対象とする領域は非常に広いと言えます。今回、為替のファンダメンタルとして取り上げるのは、為替市場に影響を与える周辺市場や周辺商品についてです。

為替は“通貨ペア”、例えば“ドル/円”と表現されるように、通貨と通貨の間の組み合わせ且つ綱引きで価値及び価格が決定されます。更に為替は為替のみで綱引きを行っている訳ではなく、株や商品や債券等様々な金融商品・金融市場の影響を受けながら、その価格が決められています。

今回は為替市場に影響を与える各商品等を取り上げ、その特徴やFXトレードにおいての利用方法を考えてみました。

大型の指標発表日時はFXトレードの際は必ず押さえるべき

為替市場において指標発表は、市場を動かす原動力になっている面があります。特に雇用統計等の大型の指標発表は殆どの機関投資家も注目しており、指標発表後に大きな値動きが生じる可能性が高いため、その発表日時は頭に叩き込んでおく必要があります。

毎日どこかの国で何かしらの指標発表が行われており、全てを把握するのは個人投資家では不可能と言えます。よって機関投資家を始め、多くの投資家が注目する雇用統計や米国FOMC後のFRB議長の記者会見、ヨーロッパ中央銀行の総裁会見等だけでも最低限把握の必要があります。

また、為替市場に影響を与える、周辺の市場や商品はどのようなものがあるのでしょうか?

ここからは、“アメリカの株式市場”、“日本の株式市場”、“ドルインデックス”、“金価格”、“原油価格”、“米国10年債”の5点を取り上げ、関連性の高い通貨との相関性を確認してみます。

アメリカの株式市場:ダウ平均、S&P500、ナスダック指数

現在の世界の金融市場の全ての道はアメリカの株式市場に通じる、と言っても過言ではありません。アメリカ株式市場が大きく上昇すれば、その恩恵は各市場に行き渡りますし、逆に大きく値下がりすれば、その影響力は甚大なものがあります。よってFXトレードを行うのであれば、アメリカの株式市場の状況は必ず把握すべきと考えます。

通常の市場状況の際はアメリカ株式市場と各通貨ペアは関係なく動いていても、イザ株式市場に一大事が発生すれば、各通貨ペアも暴落や暴騰するという光景は過去何度となく表れています。普段はそれ程関係していないから・・・、と見ないのではなく、金融市場の体温計的な役割としてアメリカの株式市場の状況を把握すべきです。

尚、日本の株式市場はアメリカの株式市場に大きく影響されることで知られています。よって日本の株式市場を知るためには、アメリカ市場の状況を知ることは必要不可欠となります。また日本市場はダウ平均と連動する際と、ナスダック指数と連動する際の2つのパターンがあります。よって、日本の株式市場を探る、という観点では、ダウ平均及びナスダックのどちらの市場と相関しているか、という視点が非常に重要となります。

アメリカ株式市場との相関例、日経平均

実際にアメリカの株式市場と相関関係が出ている例をチャートで見てみます。

まずはダウ平均と日経平均の比較

※以下のチャート画像はTradingViewを利用

※以下の株式指数や商品のチャートはCFDチャートを利用

NYダウ×日経平均株価(日足チャート)

日経平均とバーチャートのNYダウが、時々離れることはあっても、多くの場合、同じ方向に向けて進んでいるのが分かります。

日経平均株価×ナスダック(日足チャート)

日経平均とナスダック指数がほぼ連動している様子が見て取れます。ただし、常に同じような値動きをする訳ではない、というのが下記チャート。

途中からナスダック指数は大きく上昇しているにもかかわらず、日経平均の上昇はジワジワしたものに留まっています。ナスダック指数が上げ上げの際にこそ、日経平均に連動して欲しいものですが、残念ながらそうは問屋がおろしません。

日経平均は概ねダウ平均やナスダック指数と連動して動いている、という点、しかしながら、いつも必ず連動して動いている訳ではない、ということが上記から理解できると思います。

私の中では、悪い影響は高確率で受けて、良い影響はその都度により変わるといった感覚です。

日本の株式市場:日経平均株価

多くの日本人為替個人トレーダーが取引を行うのはドル円となります。そのドル円の値動きに大きく影響を与え・与えられるのが日経平均株価となります。

日経平均株価は上述のようにアメリカの株式市場の動向に大きな影響を受けますが、日経平均株価を通じ、為替のドル円の値動きは大きな影響を受けます。

よってドル円の取引を行う際は、日経平均株価のチェックは必要不可欠と言えます。日本の株式市場がオープンしているのは9~15時ですが、日経平均先物は15時以降(正確には16時30分以降)もナイト市場として開場しており、晩にも先物価格を通じて日経平均株価の値動きを知ることが出来ます。

平常時は当然、日中の値動きが大きい日経平均株価ですが、大きな金融イベントが生じると、東京市場終了後の夜でも大きく動くことがあるため注意が必要です。尚、CFDであれば24時間日経平均株価の把握が可能であるため、日経平均CFDの価格及びチャートの利用が便利となります。

日経平均との相関例【USD/JPY】

それでは日経平均とドル円(USD/JPY)の相関性をチャートで見てみます。

日経平均株価×USD/JPY(日足チャート)

時折、日経平均とUSD/JPYが乖離することはありながらも、概ね両者が相関しながら進んでいることが分かります。

日本の株式市場を見ていると、USD/JPYが日本株を引っ張っている、との印象を持つことが多いのですが、上記チャートを見ると納得のいく面も多いのではないでしょうか?

ドルインデックス

ドルの多通貨に対する相対的な強さを表す指数としてドルインデックスという指標が存在しています。ドルインデックスという指数自体がインターコンチネンタル取引所(ICE)に上場しています。

ドルインデックスと呼ばれるものはICE、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が公表のもの、国際決済銀行(BIS)が公表のものの3種類存在していますが、為替トレードでよく利用されるのは、ICEのドルインデックス。またドルインデックスもCFDが存在しており、その価格や値動きを把握する際は、24時間価格の把握が可能なドルインデックスCFDの価格を見るのが便利です。

そしてドルストレートと言われる通貨はドルインデックスの値動きの影響を強く受けます。よってドルストレート通貨の代表格ともいえるユーロ/ドルはドルインデックスと逆相関に近い値動きを見せることが多いです。(ユーロ/ドルはEUR/USDと表記されるため、ドルの方向は逆方向に作用する)一方、ユーロ/ドルと逆相関の値動きをすることが多いドル/フラン(USD/CHF)は、ドルインデックスと相関する値動きとなるケースが多くなります。

尚、ICEのドルインデックスは6通貨から構成されており、その構成比はユーロ57.6%、日本円13.6%、英ポンド11.9%、カナダドル9.1%、スウェーデンクローネ4.2%、スイスフラン3.6%となっています。よって構成比からユーロの影響を強く受けることが分かります。ドルの相対的な強さを表すドルインデックスですが、その構成比からユーロの影響が強いと言う点は、知識として知っておくと、為替の相対性を考える際の重要な視点となりえます。(EUR/USDとドルインデックスは相関しているのに、ドルインデックスとUSD/JPYは相関しないケース等)

上記のようにドルストレートに大きな影響を与えるドルインデックスの値動きの予想精度を上げることで、為替トレードを優位に進めることができます。

ドルインデックスとの相関例【EUR/USD、USD/CHF】

ではドルインデックスとの相関の相手先として、逆相関のEUR/USDと相関のUSD/CHFとの対比チャートを見てみます。

まずは逆相関のEUR/USDから。

ドルインデックス×EUR/USD(日足チャート)

EUR/USDとドルインデックスが殆ど逆相関で動いているのが一目瞭然です。ドルストレートと言えばEUR/USDが右代表となりますが、ドルインデックスとの逆相関の連動は、ドルストレート代表の名に恥じない値動きとなっています。

次は相関のUSD/CHF。

ドルインデックス×USD/CHF(日足チャート)

USD/CHFとドルインデックスが殆ど同じような値動き=相関した値動きをしているのが、こちらも一目瞭然です。

人によってはドルインデックスの値動きが分からない時はUSD/CHFのチャートを見ればいい、と言われる方もいますが、上記チャートを見ると、確かにそうかも、と思わざるを得ません。

日本人にはあまり馴染みのないUSD/CHFという通貨ペアですが、ドルインデックスの値動きとストレートに連動する特性もあり、欧米の為替トレーダーには非常にメジャーな通貨ペアとなっています。

金価格

第二次世界大戦前は金本位制の体制下で、通貨としての価値も有していた金ですが、現在もその価値自体は衰えていません。

戦争等が発生しても換金性の高い金は安全資産と言われており、経済危機等が生じると価格は上昇する傾向にあります。

よって特にアメリカの株式市場と逆相関に動く傾向があります。アメリカの株価が下落の一方、金価格が上昇するという逆相関の関係は、広く知られています。

ただし金価格と一言で言っても、ドル建て金(XAU/USD)、ユーロ建て金(XAU/EUR)他、各通貨に応じて金価格が存在しているため、金価格との相対性を利用する場合は、対応する通貨にも留意する必要があります。

金との相関例、S&P500

金との相関例として、アメリカの株式市場全体の状況を表すと言われるS&P500を取り上げました。金価格は短期の期間で大きく上下に動く傾向にあるため、長めの期間の週足で見てみます。

金価格:XAU/USD×S&P500(週足チャート)

金価格とS&P500が概ね逆相関で動いていることが分かります。株式市場が上昇トレンドの時は金価格は下落トレンド、という傾向が上記チャートから見てとることができます。

原油価格【WTI、Brent】

原油価格も為替市場に大きな影響を与えます。原油価格は為替市場のみならず大手石油会社の株価を通じて、アメリカ株式市場にも大きな影響を与えるため、金融市場に対し非常に大きな影響力を有している商品となります。特にダウ平均はエクソン・モービルやシェブロンといった原油大手の株価の値動きに影響を受けるため、ダウ平均は原油価格に連動する傾向が強いです。

原油価格はいわゆる資源国通貨と言われる通貨に対する影響力を強く有しています。主要国通貨で資源国通貨の代表例は、豪ドル(AUD)、ニュージーランドドル(NZD)、カナダドル(CAD)の3種類となります。

ただし原油価格は主にアメリカの指標であるWTI(West Texas Intermediate)と、イギリスの北海油田の指標であるBRENT(Brent Crude)の2種類あるという点に注意が必要。両者は近しい値動きを見せますが、独自の値動きを見せることも頻繁にあります。イギリスのポンドはBRENTの値動きに影響を受けるケースもあるため、資源国通貨のみならずポンドのトレードをする際も原油価格の値動きには本来注意を払う必要があります。

原油価格はWTI、BRENTの他にも、東京原油、シンガポール原油、ドバイ原油果てはロシア原油の指標もあります。純粋に原油取引(先物含む)を行う際はWTI、BRENTのみならず世界各地の原油指標を見る必要があります。しかしながら為替取引を中心に考える際は、WTI、BRENT以外の指標の影響力は限られているため、こと為替取引に限って言えば、WTI及びBRENTの2者の確認のみで十分対応が可能です。

尚、同じ原油でも産出される地域によりその種類が大きく異なります。よって石油精製会社は、米国用の石油精製設備をそのまま北海油田産の原油精製に利用することはできず、別途設備投資を行う必要があります。よって石油精製会社は基本的に利用する石油の地域をフレキシブルに変更することができないため、原油は産出される地域によって別物と考えるのが原油取引の基礎知識となります。

原油価格との相関例【USD/CAD、GBP/USD】

原油価格との相関例として、まずはWTIとUSD/CADを取り上げます。

尚、WTIは考え方として、WTI/USDとなります。一方比較するのはUSD/CADであり、USDが頭に来ているため、両者は逆相関の関係となります。

WTI/USD×USD/CAD(日足チャート)

ほぼWTIとUSD/CADが逆相関となっているのがチャートから見て取れます。USD/CADは日本ではあまり取引されない通貨ペアで、取り扱いのないFX会社も多いのですが、WTIを見ながらのトレードで勝率を高めることができるため、海外では人気のある通貨ペアとなります。

それでは次にBRENTとGBP/USDの比較チャートを見てみます。

UKOIL×GBP/USD(日足チャート)

WTIとUSD/CAD程ではないにしても、BRENTとGBP/USDが逆相関の関係を持ちながら動いていることが分かります。値動きの激しい通貨ペアとして知られているGBP/USDですが、BRENTの価格を見ながらのトレードで勝率を高めることも可能になります。

米国10年債利回り

世界最大の取引量を誇る金融商品は米国債となります。その中でも最も取引量が多いのが10年債となります。米国10年債の値動き=債券の金利も、各金融市場に大きな影響を与えます。

FRBは金利を通じて米国経済をコントロールしており、その代表的商品である米国10年債の価格動向(正しくは金利動向)の把握は本来必要不可欠となります。

しかしながら債券は基本的にプロの機関投資家が扱う商品であり、個人為替トレーダーには殆ど縁がない商品と言えます。ただしインターネット上ではTrading View他のサイトで米国10年債の価格チャートを表示できるサイトもあるので、その価格の把握は十分可能となっています。

米国10年債利回りとの相関例【USD/JPY】

最後に米国10年債利回り($TNX)とUSD/JPYを取り上げ、チャートで相関性を確認してみます。

$TNX×USD/JPY(日足チャート)

米10年債とUSD/JPYが相関しながら動いているのが分かります。後半部分で若干乖離が総じていますが、最終的には相関の値位置に戻しており、両者の値動きの関連性の強さを見ることができます。

通貨ペアの表記順のルールについて

気付いた方もいるかもしれませんが、ドルインデックスとEUR/USDと逆相関の関係、ドルインデックスとUSD/CFHは相関の関係等々…

これって実は通貨ペアの順序、つまりUSD/EURとすれば、ドルインデックスとは正の相関関係になりますし、CHF/USDとすればドルインデックスとは逆相関の関係になるのです。

EUR/USDである一方、スイスがおなじヨーロッパの国なのに、USD/CHFと、USDが先に表示される。また、イギリスポンドに関しても、USD/GBPではなく、GBP/USDと表示される。これらに疑問を持ったことはありませんか?

実は為替の世界には表記順のルールがあり、大航海時代にヨーロッパが各国の上に立ち、金融と言うシステムの基礎を作ったために、通貨の世界では”ヨーロッパが格上”という認識が一般的となっているのです。

ヨーロッパの中でもイギリスが強く、GBP/USDと表記されるのです。しかし、そんなイギリスもユーロには勝てずEUR/GBPと表記されるのが一般的となっております。

ではなぜ、スイスフランはUSD/CHFと表記されるのか?

スイスフランは同じヨーロッパと言えど、イギリスポンドやユーロと比べるとマイナーな存在です。故にUSDが先となるのです。

対して日本は通貨の世界では、後方待機組。1867年の明治維新まで鎖国中でもあり、金融と言う概念で言えば他国よりも遅れを取っていた事実があります。

加えて、他の通貨が一桁の数字が基準となる(1ドル、1ユーロ、1ポンド等)のに対し、円は1ドル=100円というように3桁が基準です。

これらが日本が基軸通貨(左)になれない理由と言われています。

注意すべき点、相関関係は頻繁に入れ替わる

各商品と為替の値動きの相関関係を知れば、為替トレードで勝ったも同然、上記を見てそんな思いを抱かれた方もおられるのではないでしょうか?

それは半分正解で半分不正解です。どういうことかと言えば、確かにAという商品とBという通貨が相関することは多いのですが、常に相関しているとは限りません。以前は相関していた関係が今は相関していない、と言う事は日常茶飯事で生じます。

為替や商品等が相関関係にあることが多いのは事実ですが、その相関関係が100%ということは意味しません。相場の世界ですので、100%の世界はありえない、ということは十分承知した上で、各商品の通貨との関係をご覧ください。

本来相関することの多いドルインデックスとドルスイスフランが、逆相関するケースも頻繁にあります。100%の関係を信じてしまえば、損切りが出来ずに再起不能になる可能性もあります。

各商品と為替には確かに相関関係は存在していますが、いつも必ず相関しているという訳ではない、と言う事をしっかり理解した上で、相関・逆相関の関係をトレードに生かすというスタンスが必要不可欠となります。

為替と商品等の相関性を絶対視するのではなく、トレードの参考にすることで、トレードの期待値を上げることが可能となり最終的な勝率アップに繋がる、こんなスタンスがよいのではないでしょうか?

まとめ

為替のファンダメンタル情報を各商品という視点から、相関性をチャートで確認しながら見て参りました。少なくとも、為替市場が単独で動いている訳ではない、ということはご理解いただけたのではないでしょうか?

商品と為替の相対性を知っていれば、ドルインデックスが暴落している際に、EUR/USDをショートすることはなくなるでしょうし、少なくとも負けのトレードの数を減らすことに繋げることができます。さらに相関している通貨ペアと商品の値動きの特徴を自分なりに研究すれば、トレードでの勝率アップに繋げることも可能です

意外に知られているようで深くは知られていない為替と商品の関係。両者の相関性を知ることで、一歩進んだFX取引が可能になります。両者の相関性をFXトレードに活用してみてはいかがでしょうか?

 

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