アメリカの政策金利とNYダウ・日経平均株価・ドル円の推移を比較してみる

今後も段階的に行われるであろうアメリカの利上げ。世界経済の中心であるアメリカの利上げは、世界の金融市場に大きな影響を与える事になるでしょう。

そこで気になるのが、アメリカの利上げによって株と為替はどう動くのか?

巷では、利上げ=金融引き締め政策だから、株式市場にはマイナスであるなどと言われてはいますが、利上げが即、株価暴落に繋がる訳ではありません。

正確な予想をすることは出来ませんが、過去の推移を確認することに意味はあると思います。今回は、政策金利と日米株式市場、為替それぞれの関係性を考察していきます。

そもそも利上げとは?

利上げとは、その国の政策金利の事を指します。故に、利上げ=政策金利を上げるという事になるわけです。景気の過熱は、過度なインフレ・バブルに繋がる恐れがあるため、金利を上げる事で、そのバランスを取ろうとするのです。

逆に景気後退局面では、利下げにより、企業の設備投資を活発化し、世の中に出回るお金の量をコントロールしようとするのです。

では政策金利とは何か?

アメリカで言うところの政策金利は、フェデラル・ファンド金利(FF金利)に該当します。フェデラル・ファンドとはアメリカの民間銀行が、連邦準備銀行(日本で言う日本銀行)に預けている準備預金の事を指します。

厳密に言えば、政策金利=FF金利ではありませんが、FRBは市場介入によってFF金利を政策金利に誘導します。結果としては両指数ともに乖離はほとんどなく、現在はほぼ100%の相関性を保っている事から、政策金利=FF金利と捉えても間違いではありません。

預け入れる準備預金の額は法律で定められており、資金不足から定められた準備金を預け入れる事が出来ない銀行は、法定準備金を上回っている他の銀行から資金を借り入れ、それを準備預金としています。この際に適用される利率がフェデラル・ファンド金利という事になります。この準備金の利率はゼロであることから、法定準備金を超えた額は、他の金融機関に融資をし、利息を貰った方がお得なのです。

とは言っても、国の機関である中央銀行が、民間銀行同士の資金の貸し借りの利率を直接的に変える事は出来ません。そこで連邦準備銀行は、目標とした金利に誘導するためにフェデラル・ファンド金利市場において公開市場操作を行います。資金介入を行う事により、金利を誘導目標へと近づけるのです。

FF金利が上がるという事は、民間銀行の資金調達のコストが上がるという事ですから、それに合わせて銀行も、資金を融資する際の金利を上げる必要が出てきます。それが連鎖し、世の中のあらゆる金利が上がっていくという事です。

しかし、理屈の上では前述の通りですが、話はそう簡単でもなく、特に長期金利(米10年国債)の利回りは、短期金利だけでなく、その他あらゆる経済情勢の影響を織り込みながら推移して行きます。長期金利の解説に関しては、今回は割愛させていただき、別途記事にて解説させていただきます。

ちなみに、利上げするしないの金融政策を決定するのが、連邦公開市場委員会(FOMC)です。短期派・長期派の投資家を問わず、FOMCのイエレン議長の発言には耳を傾けるようにしましょう。

アメリカの政策金利をチャートで確認

1990年7月~2017年6月のアメリカ政策金利

リーマンショック以降の利下げによって、現在は異常な低金利状態が続いている事が分かるかと思います。現在の政策金利は1.25ですから、このところ段階的に利上げされている事を考えても、歴史的に見ればまだまだ低金利と言うことが分かります。

アメリカ政策金利とNYダウの推移

リーマンショックによる大暴落、その後のゼロ金利政策によって、順調すぎる上昇を続けてきたことが分かるかと思います。

FRBは利上げのタイミングを随分と前から窺っていました。雇用統計等の重要指標が堅調ならば、今後も段階的な利上げが行われていく可能性は高いでしょう。一方で、景気後退局面では積極的に金融緩和を行ってきたという事実も、上記チャートから分かるかと思います。

いずれにせよ、現在は歴史的にも類を見ない低金利状態。FRBも利上げを実施し、経済を正常な状態に戻したいと考えているはずです。

また、利上げ=株価下落についてですが、上記チャートの比較を見る場合、それが必ずしも当てはまるわけではありません。利上げをする理由は、景気の過熱感が懸念されそうな時です。従って、利上げされたとしても、その実体が経済に反映されるのには時間が掛かりますし、しかも今回に限っては段階的+ゆるやかな金融引き締め政策です。そのため、アメリカ経済のファンダメンタルズが強ければ、段階的な利上げに伴い、伸び自体は鈍化するものの、そこまでの即効性があるとも断言はできません。

アメリカ政策金利と日経平均株価の推移

アメリカ経済の影響は、全世界に波及します。それは日本も例外ではなく、日経平均株価を語る上ではNY市場は切っても切れない関係にあります。東証一部の売買代金の6~7割は外国人投資家によるものですし、日経平均株価もNY市場の影響をもろに受けます。

NYダウよりも、日経平均株価の方が連動している箇所が多いかと思います。上記の比較でも分かるように、金利の上昇が即刻株価下落に繋がるわけではなく、あるところでピークを打つと、それに伴い下降相場へと突入するという事が分かるかと思います。

アメリカ政策金利とドル円の推移

さて、これまではアメリカの歴史的な低金利により、ドルを保有する旨味がそれほどありませんでした。故に、投資家達は多少のリスクを取っても、新興国通貨などに投資しする方がリターンが大きかったという背景があります。

しかし、アメリカの段階的な利上げにより、ドルを保有することのメリットが生まれれば、ドルは相対的に買われ、低金利の円は売られる事になります。

理屈の上では上記のように考える事が出来ますが、それを実際に決めるのはマーケット参加者達であり、一般的な公式が当てはまるわけではありません。

上記チャートから判断すると、正の相関が確認出来る時もあれば、その逆も然り、相関が全く見られない時も当然ながら存在します。

通貨=国の信用力という事を考えれば、その時の社会情勢・経済状態により、国のあらゆる背景は変化していくので、利上げ=円安という図式が必ずしも当てはまるわけでありません。

まとめ

巷に溢れている、公式的な回答は絶対ではありません。各指標事に相関性の強い指数と言うのは確かに存在します。

しかし、今では当たり前となっている、ドル円と日経平均株価の連動も、以前は逆相関の図式が成り立っていた期間もありますし、今後も円安=日経平均株価上昇の傾向が継続するかは分かりません。

アメリカが利上げをすると、株や為替はどう動くのか?

これに対し、教科書的な答えを知ることに意味はありますが、マーケットの反応はその時々によって違うという事を再度認識する必要があるでしょう。

また、過去のチャートを検証し、「あの時はこう動いたから、今回もこう動くのでは?」と予想することも悪くはありませんし、実際に私も過去の値動きを参考にすることは多々あります。しかし、それさえも参考程度に過ぎないという事を念頭に置く必要があります。

ある材料に対して、上下どちらかに動くかを決めるのは理屈ではありません。あくまで、市場参加者たちの意思なのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)