ETFのリスクについて【トラッキングエラー・繰上償還に伴う上場廃止】

ETFには個別銘柄には無い様々なメリットがあります。しかし、その反面ETFにのみ当てはまるリスクというものも存在します。ここではETFの仕組みについて改めて説明した上で、このリスクについて解説していきます。

ETFへの投資を検討している方も、既に運用中の方も是非一度ETFの基礎についておさらいしましょう。

ちょっと複雑なETFの仕組み

私が頻繁に取引をするETFに、日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(1570)というものがあります。これは野村アセットマネジメントの商品となっています。つまり、ETFの設定及び交換は機関投資家が行っていることになるのです。

ETFの仕組みを理解するために押さえておきたい用語(かなり重要)

ETF受益証券:投資信託における元本の所有権及び、運用によって出た利益を受け取る権利。あまり難しく考えずに、通常の株式投資における株券に相当するものと解釈しましょう。

現物株バスケット:対象となる指数に連動させるために選ばれた個別銘柄をひとまとめにしたもの。つまり、日経平均株価株価に連動するETFを設定する場合は、日経平均に採用されている225種類の銘柄をひとまとめにする必要があります。

指定参加者(指定証券会社):ETFの設定・交換をすることが認められた証券会社及び機関投資家。

ETFの設定から交換の流れ

指定参加者(証券会社、機関投資家)が市場で買い付けた現物株バスケットを運用会社に提出します。これにより指定参加者は、運用会社よりETF受益証券を受け取ります。この一連の流れを設定と言います。

設定によりETF受益証券を受け取った指定参加者は、これを証券取引所を通じて市場に放出します。つまり、我々は放出されたETF受益証券をETFとして売買していることになるのです。

一方で、運用会社がETF受益証券と引き換えに現物株バスケットを指定参加者に渡すことを交換と言います。

このように現物株バスケットとETF受益証券は相互に交換できますので、本質的な価値は同じとみなされ、値動きも同一となります。これにより、日経225を対象としたETFは日経225の値動き連動するのです。しかし、このような場合でも、対象となる指数とETFの間に乖離が生じる場合があります。これをトラッキングエラーと言い、それを解消するために裁定取引という方法がとられます。これらの詳細については後程解説いたします。

ETFと対象指数の乖離【トラッキングエラー】

トラッキングエラーとは、ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンとの乖離の事です。例えば、ETFが日経225に連動するように設定されていても、取引所で売買されている以上、市場参加者の買いと売りのバランスによって値動きが変動してしまいます。基本的にETFは対象指数に連動することが定められている商品ですので、あまりに大きなかい離はその差を埋めなければなりません。

ちなみに、ETFの上場基準として、対象指数と基準価格との相関係数(動きの一致度を表したもの。完全に一致していれば1となる)が0.9以上になることが求められています。0.9未満となった場合でもすぐに上場廃止となるわけではなく、一年の猶予期間を経て、その間にこれを解消できない場合は上場廃止となります。

裁定取引について

対象指数とETFの間に生じたトラッキングエラーは、機関投資家等による設定と交換を利用した裁定取引により、対象指数の値動きを目指すように修正されます。

裁定取引を端的に言うと「2つの投資対象(例:日経225と日経225連動ETF)の価格差を利用することによって利益を得る方法」となります。

例えば、Aという指数が1000の時、A指数に連動するETFが950だったとします。これは指数よりもETFが割安な状態です。

このような時に機関投資家は、割安なETFを買い付け、そのETFを構成する現物株バスケットに相当する割高状態の個別株を空売りします。

その後、買い付けを行ったETFと現物株バスケットを交換します。その現物株バスケットにより空売りのポジションを解消します(現渡し)。これにより利益が生まれ、同時にETFに買いが入る事からETFの価格は上昇、2つの間の乖離は埋められることになります。この一連の流れが裁定取引です。

レバレッジ型ETFの値動きは単純に2倍ではない

ETFにはレバやブルといった指数の値動きに対して2倍の運用成果を目指すと言った種類もあります。私が好んで取引している日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(1570)もこれに該当します。

しかし、レバレッジだから単純に2倍と考えることとは多少の違いがあります。レバレッジ型ETFの2倍動くというのは前日と比較した場合に2倍動くという意味なのです。

例えば、日経平均株価が10,000円の時に、日経平均レバレッジ型ETFを10,000円で購入したとします。ここから日経平均株価が1000円上昇すれば、上昇率は10%となります(滅多にお目にかかれない上昇率ですが、説明簡略化のためにお許しください)。この時は日経レバに関しても日経225の2倍として20%上昇して、12,000円となります。この時の上昇率(20%)と上昇幅(2000円)は一致します。ここまでは一日で日経平均株価が10%変動した場合の話です。

一方、先ほどと同じく日経平均株価が10,000円の時に、日経平均レバレッジ型ETFを10,000円で購入しました。すると、日経平均株価は1ヵ月後には15,000円まで上昇しました。これはETFを買った時の価格に比べると、1ヵ月で50%上昇したことになります。しかし、日経平均株価が50%上昇したから、ETFはその2倍の100%の上昇、つまり20,000円になっているかというとそう単純でもありません。

つまり、2日以上保有していた場合では、上昇率・下降率の組み合わせによって対象指数の2倍以上若しくは2倍以下の値動きとなってしまうのです。

場合によっては2倍以上の値動きとなるのだったら、それはメリットになるのではと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、下落してしまった場合も、対象指数の2倍以上動くという事も頭に入れておきましょう。

ETFの繰上償還に伴う上場廃止について

ETFを発行することにより運用会社(信託会社)は信託報酬というものを得ています。ETFの純資産残高及び、売買が極端に少なければ、運用会社は採算が合わなくなります。十分な信託報酬を受け取ることが出来なければ、運用会社としてのメリットはなくなり、繰上償還→上場廃止とならざるを得ません。

しかし、仮に繰上償還となったとしても即日で上場廃止になるわけではなく、1か月間の整理期間に指定されたのちに廃止となりますので、余程の事がない限り、売りそびれるということはありません。また、この期間中に売却できなかったとしても、運用会社の指定する証券会社に対して、買取請求を行う事により換金することが出来ます。

ETFは個別銘柄と違い、その価値がゼロになるという事はほとんどありません。例えば日経平均株価に連動するETFが紙くずになる場合というのは、日経平均採用の225社全てが倒産するという事ですが、現実的に考えてそれはあり得ません。

極端な場合を除いてもETFを選定をする際は流動性に注意をしましょう。繰上償還のリスクはないにしても、流動性がすくないETFは、希望の価格で売買できないといったデメリットが生じるからです。

要点整理

  1. ETFは指定参加者と運用会社によって設定・交換されている
  2. ETFは対象指数とのかい離が生じる可能性がある
  3. トラッキングエラーは裁定取引により解消される
  4. レバレッジ型ETFは長期で見た場合、必ずしも2倍になるわけではない
  5. 純資産残高の極端に少ないETFには繰上償還及び、上場廃止のリスクがある
  6. 取引するETFを選定する際は、それなりに流動性のあるものを選ぶ

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