ドル高=円安ではない。ドルインデックスを見れば為替における新たな発見がある。

ドル買いが加速すれば、相対的に円の価値は下がり結果としてドル高円安が進行する。現在の相場はドル円と日経平均株価に明らかな相関性が見られるから、”ドル買い加速=ドル高円安=日経平均株価上昇”なんて図式が成り立つと思ったら話はそう単純でもありません。

ドル買いが加速しても、それ以上に円が買われれば結局はドル安円高が進行してしまうからです。為替は通貨ペアごとの綱引きであり、一方が下落すれば一方は上昇するという性質を持っています。

ドルインデックスという指標を見る事により、各通貨ペアごとのドルの価値ではなく、ドルそのものの総合的な値を知ることが出来ます。

ドルインデックスとは?

ドルインデックスとはドルの総合的な価値を表す指標です。冒頭で述べたように、為替は各通貨ペアごとの綱引きであり、一方が上昇すれば、もう一方は下落するという性質を持っています。

ひと口にドル高/円安と言ってもそのパターンは以下のように複数存在します。

  1. ドルが買われる/円が売られる
  2. ドルは変わらず/円が売られる
  3. ドルが円以上に買われる/円が買われる

ドル安円高の場合も同じように…

  1. ドルが売られる/円が買われる
  2. ドルが売られる/円は変わらず
  3. ドルが円よりも売られる/円が売られる

単純にドル高/円安だから、ドル安/円高だから、などと言う視点でしか為替レートを見ていないと、上記のような変動の裏にある事象を見逃してしまう事になります。

ちなみに、ドルインデックスと一口に言っても種類がいくつかあり、代表的なのは以下の3つです。

  1. インターコンチネンタル取引所(ICE)
  2. アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)
  3. 国際決済銀行(BIS)

それぞれ、ドルインデックスを算出するに辺り導き出される各通貨の構成比率及び、対象となる通貨数が違ってきます。

この3種類の中で最も認知度があるのは、インターコンチネンタル取引所(ICE)であり、リアルタイムで更新・公表されているため、トレードの参考にするのであればこちらが最も活用しやすいと言えそうです。ちなみに、FRBとBISの指標の更新・発表は1日1回となっております。

ICEの通貨構成:6通貨

通貨 構成比率
ユーロ 57.6%
日本円 13.6%
英ポンド 11.9%
カナダドル 9.1%
スウェーデンクローネ 4.2%
スイスフラン 3.6%

 

ICEの場合は6通貨により指標が構成されていますが、FRBだと構成通貨は26にも及び、人民元の構成割合が20.8%と高くなってきます。

ドルストレートとドルインデックスを比較

ドルストレートとはアメリカドルが絡んだ通貨ペアの事です。ICEのドルインデックスに採用されている通貨ペアとドルインデックスを月足のラインチャートにて比較してみました。

赤:ドルインデックス×青:USD/EUR

ドルインデックス(赤)が上昇しているという事は、ドルの総合的な価値が上昇しているという事であり、USD/EURが上昇しているという事はドル高・ユーロ安の状態であるという事です。両指数には相関関係が確認出来ます。

ユーロの構成比率が57.6%という事を考えると当然かもしれませんが。

赤:ドルインデックス×青:USD/JPY

日本円の構成比率が13.6%と言っても、転換点などは両指数とも共通している部分が多々見られます。また、動きについて見てみるといくつかのパターンを発見することが出来ます。

先ほども述べましたが、ひと口にドル高/円安と言ってもそのパターンは様々

  1. ドルが買われる/円が売られる
  2. ドルは変わらず/円が売られる
  3. ドルが円以上に買われる/円が買われる

ドル安・円高の場合も然り…。

ドル円だけではなく、日頃からドルインデックスを見ておけばこの辺りの需給の流れも何となく掴めるようになります。

赤:ドルインデックス×青:USD/GBP

かつての基軸通貨、現在は投機的な荒い動きをすることもあるイギリスポンドですが、ある程度の相関性は当然ながら見られます。ICE構成比率が11.9%である事を考えると、妥当であるとも言えます。

赤:ドルインデックス×青:USD/CAD

カナダドルの構成比率は9.1%。プラザ合意までは逆相関性が見られましたが、それ以降は正の相関性を見せつつも、時として逆の値動きをする場面も見られます。

資源国でもあるカナダドルは原油価格の影響を強く受ける事でも有名です。

赤:ドルインデックス×青:USD/SEK

FXをやっている人でも馴染みのあまりないスウェーデン・クローナ。普段の取引においてはあまり意識をすることは有りませんが、世界規模で見れば流通量も第7位とそれなりの認知度を誇っています。

福祉国家でもあるスウェーデンは税金が高い事でも有名。しかしながら、福祉への満足度が高い事、政府が教育に力を入れているという点は日本も見習うべきかもしれません。

かつてはユーロ加盟の話も出ていたようですが、現段階では白紙状態であるようです。

赤:ドルインデックス×青:USD/CHF

日本円と同様に信頼性の高い通貨”スイスフラン”。スイスフランと言えば2015年1月15日に起こったスイスフランショックですが、スイスフラン/円でも40円近い上昇ですから、一瞬にして全てを失った人、億単位の利益を出した人、それぞれの悲鳴が聞こえてきます。恐ろしい。

ドルインデックスとの関係は、このところドルインデックスは上昇、でもUSD/CHFは落ち着いた値動きにという状態が続いています。

参考までに、スイスフランショック時のJPY/CHF日足チャートをご覧ください。

長い上ヒゲが当時の凄まじさを物語っています。本来は資金を守るハズの強制ロスカットが正常に作動せず、資金がマイナス圏に突入するという、単なる退場よりも遥かに恐ろしい事態が投資家を襲った日です。

プラザ合意とバブル相場をドルインデックス(ICE)の視点で見る

日経平均株価が過去最高値である38,915円87銭を叩き出したバブル相場。実はこの頃は日経平均株価とドル円は現在とは違った相関の動きを見せていました。

日経平均株価×ドル円の月足チャート

ローソク足:日経平均株価×青:ドルインデックス月足チャート

かつては”有事のドル買い”と言われる時代がありました。現在でもそれが当てはまる場面も見られますが、かつてのアメリカドルの信用力は”今も昔”と言ったところでしょうか。特にニューヨーク同時多発テロやリーマンショックの後はドルに対する見方が変わってきたとも言えそうです。

ドル円、ドルインデックスのどちらを見てもプラザ合意まではドル高の時代が続いていたことが伺い知れます。しかし、自国の通貨が高い事はメリットばかりではありません。この頃ドル高により、アメリカは輸出産業の不振に悩まされていました。

これを是正するために行われたプラザ合意。これによりドルの総合的な価値は一気に低下。一気に円高が進み、日本国内の輸出企業は大ダメージを受ける事になります。

日経平均株価において高い構成比率を占める企業は輸出企業が中心。当時は現在よりもその傾向が強く、円高はまさに死活問題だったのです。

そんな中、発表された金融緩和政策。巷にマネーが出回ると、お金は行き場を探し始めます。それが株式と土地に行き着き、どちらの価格も急上昇。ニューヨーク市場をも凌駕する上昇相場が始まりました。

プラザ合意をきっかけとした円高が進む中、国内の株高が進む。現在の日経平均株価とドル円の相関性が通用しなかったバブル相場にはこのような背景があったのです。

しかし、株価は長期的にはファンダメンタルズと連動します。バブル相場は正常なファンダメンタルズとかけ離れた実体までに進行していました。まさに”バブル”。株は期待で買われ事実で売られるという格言の通り、金融引き締め政策により、その事実(実体)に人々が気づき始めると、今度は売りが売りを呼び暴落”崩壊”が始まります。

まとめ

FXをしている人でも、ドルインデックスを知らない人は案外多いのではと思います。ドルインデックスを見る事によって、為替レートに新たな視点を持つことが出来ます。

普段は株しかやらないという人でも、日経平均株価の今後を予測する上でドルインデックスを見る事は意味があると言えそうです。

通貨に対する新たな見方として、ドルインデックスを加えてはいかがでしょうか。

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