【DGRO】iシェアーズ・コア配当グロースETFを分析してみる。
ブラックロックのiシェアーズシリーズの中でお気に入りのETFは何といってもHDV。
ディフェンシブな大型株、財務健全性&配当利回りの高い企業群をまとめて買えるHDVは、配当再投資戦略に持ってこいと言えます。
今回ご紹介するのは、高配当よりも連続増配にファーカスしたETFです。単純な利回りではHDVには及びませんが、長期保有前提で考えた場合は投資妙味の増すETFとなります。
しかし、現在のところ日本の証券会社では取り扱いがありません。今度のETFの普及に伴って日本でも販売が開始される事でしょう。海外口座を開いてまで購入する理由は今のところ見当たりませんので、気長に販売開始を待ちましょう。
【DGRO】iシェアーズ・コア配当グロースETF
DGROはモーニングスター・アメリカ配当成長指数をベンチーマークとしています。同指数はアメリカの連続増配企業を対象としており、最低5年以上の連続増配、75%未満の配当性向等の条件を満たす銘柄が選定対象となっています。
配当性向と言うのは、企業の純利益に対する配当金の割合で、この数字が高ければ高い程、利益の内配当に回している金額が多い事になります。
ごくたまに、配当性向が100%を超えている銘柄がありますが、これは過去の蓄積分の利益を取り崩して(たこ足配当)配当金を支払っているという意味です。例えば、大塚家具などは純利益がマイナスであるのにも関わらず、1株当たり40円、利回りで見ると実に4%を超える配当金を支払っているのです。
配当性向=企業の株主還元に対する姿勢であることから、配当性向が高いという事は株主還元に積極的と見る事が出来ます。
しかし、配当性向が高いという事は将来の増配に限界がある、業績の悪化次第では減配もあり得るなどの懸念が生じる事になります。エクソンモービルなどのように株主還元意欲の高い企業は一時的な業績悪化でも減配をせず、過去の利益を取り崩すことで配当金を維持してきましたが、これが長引くようですと企業の財務的にはマイナスの影響を与える事になるでしょう。
以上の事から配当性向が高すぎるのは問題です。高配当戦略では3%以上の配当利回りを望みたいところですが、単に高配当な銘柄を選ぶのではなく、配当性向にも着目しスクリーニングを行う必要があります。
DGRO基本情報【2017年10月16日現在】
設定日 | 2014年6月10日 |
純資産 | 約2,500億円 |
平均出来高 | 432,897 |
分配利回り | 2.03% |
経費率 | 0.08% |
銘柄数 | 421 |
設定は2014年と比較的新しいです。分配利回りは低めですが、高配当ではなく連続増配にフォーカスしている事を考えれば当然と言えます。
経費率はHDVと同水準の0.08%です。100万円で800円ですから、かなり低コストと言えるでしょう。銘柄数は421で、HDVが75銘柄で構成されている事を考慮すれば、かなり多いと言えます。DGROは1つの銘柄の構成割合を3%未満にするというルールがあるため、銘柄数は必然的に多くなるのです。
S&P500との比較(ローソク足がS&P500、赤ラインチャートがDGRO、青ラインチャートがHDV)
S&P500と同じ配当にフォーカスしたETFであるHDVと比較してみました。
DGROの設定が2014年の6月であることを考慮すれば、月足による長期間での比較は出来ませんが、上記チャートを見る限りではS&P500と非常に似通った値動きになっています。
HDVは高配当にファーカスしたETFです。高い配当金を継続的に支払うことの出来るのは成熟企業が多いですから、単純な上昇幅ではS&P500に敵わないのは当然です。
また、DGROは連続増配にフォーカスしたETFです。連続して増配が出来るのは成長性が高い企業が多いという点を踏まえれば、S&P500に近い値動きになるというのも理解出来ます。
逆を言えば、配当を再投資することを考えた場合はHDVの方が適していると言えます。ゆるやかな上昇率は再投資の効率を増し、結果としてリターンを押し上げる要因となるのです。
つまり、DGROはキャピタルゲインも狙えるETFと言えるでしょう。ただし、長期投資の基本はバイ&ホールドによる配当再投資です。キャピタルゲインはあくまでおまけ、結果として発生する特別利益とでも考えておきましょう。
構成銘柄上位10
ティッカー | 銘柄 | 割合 | 配当利回り | 増配年数 |
MSFT | マイクロソフト | 3.02% | 2.1% | 16年 |
PFE | ファイザー | 3.02% | 3.5% | 7年 |
XOM | エクソンモービル | 3.00% | 3.7% | 35年 |
JNJ | ジョンソン&ジョンソン | 2.96% | 2.4% | 55年 |
AAPL | アップル | 2.78% | 1.6% | 6年 |
WFC | ウェルズファーゴ | 2.77% | 2.9% | 7年 |
JPM | JPモルガンチェース | 2.77% | 2.3% | 7年 |
PG | プロクター&ギャンブル | 2.61% | 2.9% | 61年 |
CSCO | シスコ・システムズ | 2.25% | 3.4% | 7年 |
KO | コカ・コーラ | 2.11% | 3.2% | 55年 |
上位構成銘柄の多くはHDVと被っています。前述したようにエクソンモービルは配当性向が一時的とは言え100%を超えていたはず。このあたりのスクリーニングの詳細は分かりませんが、追加情報がありましたらお伝えします。
連続増配にフォーカスしているという事ですが、コカ・コーラ、シスコ、ファイザー等の成熟企業も含まれており、その基準と言うのは分かりづらいような気もします。
FANNGを代表するアップルもやがては成熟企業の仲間入りをし、安定した配当を出すようになるかもしれませんね。
あくまで上位10銘柄のみですが、銘柄選定の基準はさておき、名を連ねているのは優良企業ばかりです。その辺りは安心できますね。
ただし、ファイザー等のヘルスケアセクターは特許切れや訴訟問題、その他莫大な研究開発費がかかる分野であるという事を考えると、今後も順調に増配が続くかは微妙です。しかし、長期的には成長の見込める分野である事、医薬品業界の圧倒的シェアを誇っている現状を踏まえれば、個別でも保有したい銘柄と言えるでしょう。
その他、コカ・コーラ、プロクター&ギャンブル、エクソンモービル、ジョンソン&ジョンソンなども長期保有の黄金銘柄です。
配当利回りではHDVに劣るとは言え、優良ETFである事には間違いなさそうですね。
まとめ
バンガードの高配当ETFがVYM、増配系がVIG
ブラックロックの高配当がHDV、増配系がDGRO
位置付け的にはこんな感じですね。DGROが設定されて間もない事から、純資産額は少なめですが、日々の出来高ではHDVを上回っています。このペースで純資産総額が増加して行けば、日本の証券会社で取り扱いが開始される日も近そうです。
高配当か連続増配か。これに関しては悩むところではありますが、手軽に配当戦略を取れるETFは魅力的と言えます。