【バイ&ホールド】長期投資の出口戦略はどこに行き着くのか?

現在、個人投資家が出来る最も再現性の高い投資戦略の1つ目がS&P500に連動するETFを買い続ける事です。

2つ目は配当再投資戦略、十分な配当利回りを有する強いブランド力を持つ成熟企業に投資をするという方法です。これに関しては個別銘柄の分析力が問われますが、HDV、VYM等の高配当系ETFを活用するという方法もあります。

VOOをひたすら買い増す。HDVをひたすら買い増す。繰り返し言うように、これらの方法が未来についても有効であるかは本当のところ分かりません。ただし、これらは情報、分析力、その他あらゆる面で劣っている個人投資家が取れる最良の選択肢になる事でしょう。

そこで思うのが、これら長期投資を忠実に実践したとして、その出口戦略はどこに行き着くのかと言う疑問。今回はこれについて検証していきます。

S&P500のリターン(年率)ってどのくらいなの?

S&P500はアメリカ市場全体の時価総額の約80%をカバーしています。NYダウやナスダック、ラッセル2000などアメリカには魅力的な指数が多くありますが、ETF市場で最も純資産の多いのはS&P500をベンチマークとしたETFです。

S&P500月足チャート

アメリカの市場平均が素晴らしいのは、過去を見る限りどの時点で勝ってもプラスのリターンを期待できるという事。株は買い時が重要とは言いますが、長期保有前提、アメリカ市場に限って言えば、トータルではプラスになっているのです。

肝心のS&P500のリターンですが、Wikipediaに興味深いデータがありましたので、ご紹介します。

  5年 10年 15年 20年 25年
最高値  28.56%  19.21%  18.93%  17.88%  17.25%
最低値  −2.35%  −1.38%  4.24%  7.68%  9.15%
平均値  13.96%  11.57%  11.48%  11.86%  12.48%

5年間保有した場合の年率の最高値は28.56%、最低は-2.35%です。保有期間が長くなるにつれ、平均値はほとんど変わらないものの、最低値は切り上がっていく事が分かります。

先程のチャートを見れば分かるように、大幅な下げによりリターンがマイナスになる年はあります。しかし、長期で辛抱強く持ち続ければ必ずや報われる優良指数、それがS&P500なのです。

ちなみに、元手を100万円として、5年・10年・15年・20年・25年の期間を平均値による複利で運用した場合は以下のようになります。

5年 10年 15年 20年 25年
13.96% 11.57% 11.48% 11.86% 12.48%
1,922,039円 2,988,645円 5,104,514円 9,407,978円 18,918,325円

 

おおよそ5年で倍近くになります。25年だと19倍近くになります。もちろん、今後もこれだけのリターンを残してくれるという保証はありませんが、必死になって選んだ個別銘柄のポートフォリオなど簡単に打ち負かされてしまうでしょう。

ちなみに、上記条件で月々5万円ずつ積み立て投資をした場合のリターンは以下のようになります。

元本100万円、月々5万円積み立て投資したと仮定

年数 10年 15年 20年 25年
利率 11.57% 11.48% 11.86% 12.48%
積立金+元本 700万円 1000万円 1300万円 1600万円
合計 13,947,617円 27,890,438円 54,676,308円 110,886,904円

さて、これを見ても分かるように、年率12.48%で元本100万円、毎月5万円の積み立てを行えば、25年後には資産が1億円を超える計算になります。

前回の記事でお話したように、ごく普通の会社員が資産1億円を築くのって相当難易度高しです。まあ大体の人が無理ですね。

しかし、上記の表を見ても分かるように、アメリカ市場への投資+日々の倹約による積立金の捻出を必死に行えば、それが可能となるのです。

しかも、1億円全てが株式だとして、配当利回りが3%あれば、年間の配当収入は300万円、アメリカ、日本の税金を考慮に入れると約30%引かれてしまいますが、それでも210万円程度は手元に残ります。

あくまで、アメリカ市場が今後も成長すると仮定した話ではありますが、投資先としてS&P500を選択する事は非常に合理的と言えます。

具体的な出口戦略を検証する

本題の前に、そもそも物事を始めるのに遅すぎるという事はありませんが、投資に関しては話が違うという事を再確認しておいてください。投資は出来るだけ早くから開始した方が良い。出来れば20代の内から投資を行う事が望ましいです。元本が同じだったとしても、年数が違うだけで天と地ほどの差が生じるからです。

さて、長期投資における出口戦略ですが、答えは簡単です。

定年後の資金&不測の事態への備えです。人によっては、その過程により夢の配当金生活が可能となる人もいるかもしれません。

また、ある程度資産が増えたからと言う理由で、利益確定を行う人もいるかもしれません。この辺りは個人の考え方次第ですので、一概には言えません。

お金=一番の精神安定剤

何度も言うように、長期投資でそれなりの資産を築けるのは大分先の話です。しかし、歴史に学べば確実にゆっくりと、時々危機に見舞われながらも資産が増えていくのがアメリカ長期投資の特徴です。

今欲しいものを我慢して、将来への備えをする意味はどこにあるのか?

増えてゆくお金を使えずにいる事のもどかしさは、誰もが感じるところでしょう。

しかし、お金には何にも代えがたい「精神安定効果」があります。何だかんだ言っても世の中お金が全て(に近い)です。振りかかる多くの問題はお金で解決できることが多く、もしもの時に備えて、ある程度の資金を確保しておく事に越したことはありません。

人生お金が全てじゃないよね。

お金持ちも自殺する世の中だよ。お金があるからって幸せになれるとは限らないよ。

そんな事を言ってられるのはせいぜい20代まで。例えば子供がいたとして、大学卒業までの教育費は全部国公立だとしても1千万円は軽く超えます。これに諸々の経費が加わりますので、実際はずっと多くなります。さらに、どっかで私立が加われば、教育費は急騰。奨学金で大学に行かせるという手もありますが、それを考慮しても家族を持った場合はそれなりのお金が必要になります。

まあ、一生独身でいる覚悟があるならそれも1つの選択肢かもしれません。いずれにせよ、それなりの生活水準を求めるなら必然的にお金は必要になります。

年金受給額の平均

内閣府の統計によると、平成28年時点での日本の人口は1億2,693万人です。そのうち、65歳以上は全体の27.2%、出生率も1.44と低水準であり、人口増加の希望はほぼゼロです。

2065年には2.6人に1人が65歳以上、つまり、現役世代1.3人で高齢者を支える時代が来るのです。

既存の年金制度が今度どうなるか分かりませんが、それを維持するための増税等が行われる事は必至でしょう。あとはクジラ(GPIF)の資産運用に頑張ってもらうしかありません。

では、現時点での年金受給額はどのくらいなのか。まずはこれについて調べてみました。

共済年金が厚生年金と一本化された現在の年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建てにより成り立っています。

国民年金は20歳~60歳までの人すべてに加入が義務付けられた年金制度であり、40年間払い続ければ年間で77万9300円(29年度)受け取る事が出来ます。つまり、大学生などでその間学生納付特例を申請した人は満額支給がされないという事ですが、これは追納により支払いをすることは出来ます。

一方の厚生年金は、日本国内の企業労働者が加入する公的年金制度です。厚生年金は給料から天引きされており、その半額は事業主の負担となっています。

さて、厚生労働省のデータによると、月々の年金の平均支給額は以下の通りになっています。

国民年金 厚生年金 夫婦世帯 独身世帯
55,244円 147,872円 193,051円 111,375円

 

続いて、世帯別の月額平均支出額を見てみます。※データソースは総務省統計局

2人以上の世帯(無職):239,699円

単身世帯(無職):143,959円

もちろん、月々の出費なんてその人次第ですから一概には言えませんが、参考にはなるかと思います。上記の例で言うと、年金だけでは毎月赤字、結果的に年金以外の収入が必要と言うことが分かります。

将来的に定年退職の年齢は65歳まで引き上げられる事になるでしょう。日本は今後も労働人口が減少していく事になるので、この辺りは仕方ありません。現在の日本人の平均寿命は、男80.98歳、女87.14歳です。

仮に60歳で定年退職を向かえたとしたら、その後の生活費はいくらかかる事になるのでしょうか。先程の年金平均受給額、平均支出額を元に計算すると以下のようになります。

  夫婦世帯 独身世帯
平均受給額 193,051円 111,375円
87歳までの受給額 5,212,377円 3,007,125円
平均支出額 239,699円 143,959円
87歳までの支出額 6,471,873円 3,886,893円
赤字分 1,259,496円 879,768円

 

上記の表を見れば、年金+退職金で最低限の生活は送れそうな気もしてきます。ただ、ゆとりを持った生活を送りたい場合は上記の受給額だけでは満足することが出来ないでしょう。

結局は自らの生活水準をどこに持っていきたいかです。

生活水準を落とせば、低い収入でも生きてはいけます。しかし、ある程度のゆとりと安心感を持ちながら生活していきたいのなら、現役の時からある程度の資産を築いておく必要があるのです。

その手段が株式投資という事です。

資産形成は40歳からでも十分に間に合う

投資を始めるのは早ければ早い程好ましいと言ってはいますが、40歳からでも十分に間に合います。

先程のデータを再度確認してみると

元本100万円、月々5万円積み立て投資したと仮定

年数 10年 15年 20年 25年
利率 11.57% 11.48% 11.86% 12.48%
積立金+元本 700万円 1000万円 1300万円 1600万円
合計 13,947,617円 27,890,438円 54,676,308円 110,886,904円

40歳から60歳までの20年間上記の条件で運用した場合、最終的には5.4千万円が手元に入ってくるという計算になります。あくまで、アメリカ市場がこれまで通りに成長すればの話ですが。これだけあれば、かなり心強いのではないでしょうか。

特別な知識も技術も分析力も不問で、これだけのリターンが期待出来ればいう事はありません。ただ、現実はここまで上手くいかないかもしれませんが、他の運用方法よりは圧倒的に再現性の高い戦略と言えるでしょう。

巷には、資産運用・定年後の資金管理について書かれた本が山ほど溢れています。その人にあったアセットロケーション(資産配分)により、効率的な運用が必要と言う考えは間違ってはいません。

しかし、皆様もご存知のように、資産を築く方法はシンプルです。

ひたすらS&P500連動のETFを買うだけ。

世のアドバイザーたちは決してこんなこと言わないでしょう。

しかし、日本に存在する数少ない米国株投資実践者はそれに気づいています。アメリカ市場への長期投資こそ、資産最大化の最も有効的な方法であると。

まとめ

長期投資の出口戦略は以下の通り。

  1. 老後の資金確保
  2. 突発的な出費への備え
  3. その過程で配当金生活という選択肢が生まれる

これに尽きます。何度も言いますが、長期投資は忍耐です。資産を築けるのはかなり先の話。若くして成功したいのなら長期投資による資産形成ではなく、それこそデイトレーダーなどの短期売買の方が可能性はまだあります。もちろん、資金を無くし、相場から撤退する可能性の方が遥かに高いですが。

アメリカ市場への長期投資は将来への備え、ゆっくり時間を掛けて資産を最大化する最も有効的な方法である事を再認識するべきです。

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