景気動向指数と日経平均株価の相関性を確認する【好景気=株価上昇は本当か?】

株価は景気に先行して推移する性質があると言われています。

株価を形成する要因は企業の業績と、それに対する期待感です。市場参加者達が景気の上向きを予感し、積極的な買いを入れれば株式市場は上昇します。つまり、景気と株価の推移にはある程度のズレがあるという事なのです。

いくら経済を勉強したところで、それをどの程度投資に活かして行けるかは正直疑問です。当ブログで繰り返し言っている事ですが、投資に高度な専門知識は不要です。ただし、知っているに越したことはありません。

投資に役立てるというよりは、知識の一つとして景気動向指数と株価の相関関係について学んで頂ければなと思います。

景気とは何か?

Q.景気が良いってどういう事?

A.景気が良い状態と言うのは、世の中にお金が回っている状態。モノが売れれば、企業の業績は向上して、従業員の給料も上がる。そうすればさらに消費が活性化し、社会全体にお金が回るようになります。

経済学的な小難しい回答は意味をなさないので、私だったらこう答えます。

景気は常に循環しています。好景気はいつまでも続く訳ではありません。永遠に続く好景気は過剰なインフレを招き、バブルを生みだします。バブル景気の進行は後の壊滅的な不況の元凶となりますので、何としても避けなければなりません。

故に中央銀行が政策金利を調整することで、意図的に景気を操作しているのです。好景気の時は金利を上げる事で経済を引締め、不景気の時は金利を下げる事で、市中にお金が回りやすくなるよう仕向けるのです。

リーマンショックを受け、日本経済は酷く低迷しました。日銀は事実上のゼロ金利政策を導入しましたが、景気回復の兆しは見られず。そんな中、黒田総裁は物価上昇率(インフレ率)2%の目標を掲げ、大規模な金融緩和政策を実行してきました。

日本のインフレ率の推移【出典元:世界経済のネタ帳】

黒田バズーカにより、日経平均株価は2万円台を回復するなど、株式市場は大賑わいを見せました。しかし、ゼロ金利にしようが、国債やETFの買い入れで市場に資金を供給しようが、一向に物価上昇率2%の目標には届かず。高度成長期をピークにインフレ率は低空飛行を続けるばかりです。

前述したように、中央銀行は金利の調整により景気をコントロールしようとしています。金利もほぼゼロ、量的緩和政策も継続中、さらにはマイナス金利政策も導入とあらば、もう日銀には打つ手がありません。つまり、今後日本が不況に突入した場合は中央銀行の目的である、物価の安定と言う役割を果たせないかもと言う懸念さえ生じてしまうのです。

2017年10月からアメリカFRBは資産縮小を開始します。長きに渡り続いた大規模量的緩和政策の出口戦略がついに始まったのです。対して、日銀は量的緩和政策の継続を表明。TOPIX連動型ETFの買い入れにより、日銀が時価総額上位企業の事実上の筆頭株主になりつつあります。

2020年には東京オリンピックを控えていますから、短期的に経済は上向く可能性は十分にあります。ただし、少子高齢化に伴う労働人口の減少、低い経済成長率、長期渡るインフレ率の低迷等ミクロ的な問題は山積みです。

決して先行きを楽観視できる状況にない事は、皆様ご承知の通りなのです。

話が大分それてしまいましたので、締めとして景気循環を表す面白いストーリーを見つけたのでご覧ください。なお、作者は不明ですので、知っている方がいたら教えてください。

ときは8月、黒海沿岸の町。雨にぬれる小さな町は活気がなく、すっかり寂れていた。
人々は借金を抱えて苦しい生活をしているのだ。

その町へ、一人の旅人がやってきた。そして町に一つしかないホテルに入ると、
受付のカウンターに100ユーロ紙幣を置き、部屋を選ぶために2階へ上がって行った。
ホテルの主人は100ユーロ紙幣をひっつかんで、借金返済のために肉屋へ走った。
肉屋は同じ紙幣を持って養豚業者へ走り、100ユーロの借金を返した。
養豚業者はその紙幣を握ると、つけにしてある餌代と燃料代を払うために販売業者に走った。

販売業者は100ユーロ紙幣を手にすると、この厳しいご時世にもかかわらず、つけでお相手をしてくれる
町の遊女に返そうと彼女のもとに走った。遊女は100ユーロ紙幣を懐にしてホテルに走り、
たびたびカモを連れこんだホテルに借りていた部屋代を返済した。

ホテルの主人は、その100ユーロを受け取ると、紙幣をカウンターの元の位置に置いた。
ちょうどそのとき、部屋をチェックして2階から降りてきた旅人が、どの部屋も気に入らないと云って
100ユーロ紙幣をポケットにしまいこみ、町を出て行った。

誰も稼いでないけど、町中の誰もが借金を返し終わり、町は活気を取り戻した。

全ての人が誰かに対して借金があると同時に、貸付金もあります。バランスシートで表すと以下の通り。

貸付金 €100 借入金 €100   

つまり、実質的にはプラスマイナスゼロ。

借入金が消滅。同時に貸付金が無くなったとは言え、状況は何も変わっていないようにも見えます。

しかし、世の中にお金が回る事で、経済は活性化。ストーリーの前後では皆の資産が直接的に変わった訳ではないけれど、景気は上向き、回復の兆しを見せ始めています。

結局経済って何なの?と考えさせられるお話ですが、要は皆がお金を使わなければ永遠に景気は回復しないという事なのです。

景気動向指数とは?

やっと本題に入ります。

そもそも景気動向指数とは何なのか。まずはこれについて解説します。

景気動向指数とは、内閣府によって毎月発表される総合的な景気状況を表す経済指標です。指標の算出方法により、DI(ディフュージョン・インデックス)とCI(コンポジット・インデックス)とに分けられます。また、両指標それぞれに先行指数・一致指数・遅行指数の3種類が存在することから、景気動向指数は全部で6種類ある事になります。

景気動向指数は数ある指標の中から、景気に先行して動く指標、景気と一致して動く指標、景気に遅れて動く指標を選び出し、それを元にDI及びCIを作成します。

各指数を構成する指標は以下の通りです。

先行指数 一致指数 遅行指数
最終需要財在庫率指数 生産指数 第3次産業活動指数
鉱工業用生産財在庫率指数 鉱工業用生産財出荷指数 常用雇用指数
新規求人数 耐久消費財出荷指数 実質法人企業設備投資
実質機械受注 所定外労働時間指数 家計消費支出
新設住宅着工床面積 投資財出荷指数 法人税収入
消費者態度指数 商業販売額 完全失業率
日経商品指数 商業販売額 きまって支給する給与
マネーストック 営業利益 消費者物価指数
東証株価指数 有効求人倍率 最終需要財在庫指数
投資環境指数     
中小企業売上げ見通しDI

例えば、先行指数の中の東証株価指数(TOPIX)は冒頭で述べたように景気に先行する性質があります。また、景気の上下に伴って企業の生産や営業利益なども変化しますから、これらは一致指数に分類されます。

このように、各指標の景気との関連性を見ながら先行・一致・遅行の3種類に分類されているのです。

さて、これらの指標を元にDI(ディフュージョン・インデックス)とCI(コンポジット・インデックス)が作成されるわけですが、両者の大きな違いを簡潔に説明します。

(CI)コンポジット・インデックス

CIはある年度を基準として、現在までにどの程度上昇したのかを表した指標です。例えば、2000年度が100で、2017年が150だったら、景気が50ポイント拡大したことになります。

(DI)ディフュージョン・インデックス

DIは指数を構成する数ある指標の内、何割が前年度よりも上昇若しくは下降しているかを表しています。例えば、先行指数全構成銘柄11個の内、6個が上昇していればDIは54.5%となります。好景気なら100%に近付き、不景気なら0%に近付く、簡単に言えばこういう事です。

かなり大雑把ではありますが、この程度の認識で十分です。

現在はCIの方が重要視されていますので、基本的にはこちらをチェックしておけば良いでしょう。DIは必要に応じて確認する程度で構いません。

日経平均株価と景気動向指数を比較

実際にTOPIXと景気動向指数の推移を比較してみます。

なお、DIに関しては、まとめて表示するとゴチャゴチャして何が何だか分からないので、先行指数・一致指数・遅行指数とそれぞれ分けて比較します。

なお、景気動向指数のデータは内閣府のホームページから取得したものを、エクセルでグラフ化したものであり、比較期間は1980年1月~2017年8月となっています。

DI:先行指数

DI:一致指数

DI:遅行指数

いずれの指数でも、おおまかな山と谷は株価と近い動きをしているようにも見えますが、参考になるかは微妙です。

コンポジット・インデックス(CI)に関しては1980年1月を0として比較したものです。こちらも比較期間は1980年1月~2017年8月となっています。

CI:先行指数・一致指数・遅行指数

見る箇所によっては、指数の上昇に先行して日経平均株価が上昇している場面も確認できます。何となくの傾向を判断できる程度ですが、相関性が無いわけではありません。

リーマンショック後は大きく落ち込むも、現在はそれ以前の水準を超えており、日本経済がリーマンショックから立ち直った事を伺わせるような推移です。

各個人が景気回復を実感できているかは別としても、各指数を見る限りでは緩やかながらも回復局面を迎えてはいるようです。

DI、CIの各指数のいずれも、短期的な株価予想をするには全く持って当てにならない指標です。長期てみた場合の大まか相関性、比較をする際にのみ役立つ指標と言えるでしょう。

少なくとも株価上昇局面では、景気動向指数も上向いていると言えそうです。ただし、これこそ後付けの理論に他ならないので、あくまで参考程度と言うことで。

景気ウォッチャーについて

景気動向指数以外の景気を表す指標としては、景気ウォッチャーがあげられます。

景気ウォッチャーは街角景気とも呼ばれており、景気に敏感な様々な職業に従事する人を全国から選び出すことにより算出しています。

景気ウォッチャーは2000年1月から毎月1回調査をし、内閣府から発表されています。

調査の内容は、現在の景気や将来の景気について5段階で評価をしてもらい、それを元に景気指数を算出しています。

景気ウォッチャーには、3カ月前と比較した景気の現状に対する現状判断と、2~3カ月先の景気の先行きに対する先行判断とがあります。

この指数が50より低ければ、景気は下向き、50よりも高ければ景気は上向きと判断することが出来ます。

ある意味、景気動向指数よりも当てになりそうな指標ですね(笑)

これに関しても内閣府のホームページからデータを取得し、エクセルにてグラフを作成しました。比較期間は2000年1月~2017年8月となっています。

無理に日経平均株価と比較しても仕方ないのですが、参考までに。

まとめ

景気動向指数と日経平均株価を比較して分かった通り、好景気=株価上昇と言うのは間違いではありません。ただし、それを確認できるのは後になってからであり、投資の参考になるかは微妙です。

世界にはあらゆる経済指標が存在し、個人投資家である我々がそれらを全て把握するのは不可能です。実際、経済指標、特にアメリカの雇用統計発表やFRB議長による発言等は相場を一時的に大きく動かす可能性があるので、短期トレーダーなら常に意識をしておく必要があります。

ただし、それは短期トレーダー、しかも指標発表時若しくはその前後にポジションを保有&保有しようとしている人に限った話です。実際、雇用統計の結果が予想より良かったからと言って必ずドル高になるという訳でもなく、もちろんその逆も然りです。

長期投資家ならば景気動向指数を含め、数ある経済指標を気にする必要性はほとんどありません。大切なのは成長国に投資をする事、つまりアメリカ市場に資金をつぎ込む事に他ならないのですから。

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