債券系ETFってたくさんあるけど何を基準に選べば良いの?

20代~40代の投資家に債券系ETFは不要であると考えています。しかし、既に潤沢な資金がある人、極端な価格変動リスクを避けたい人にとっては債券系ETFに投資をするのも一つの選択肢としては「あり」かなとも思います。

でも、債券系ETFにも様々な種類があり、いざ選ぼうとしてもどれが自分に適しているのかが分からない。という事で、今回は債券系ETFの選定の仕方を解説してみます。

前半部分の債券の基礎知識及び、債券価格と利回りの関係、長期金利のマイナス圏突入についての話は、飛ばしていただいても構いません。「債券系ETFの選び方」の項目からお読みください。

債券の基礎知識

そもそも、債券とは何なのか?まずはこれについて簡単に説明します。

企業の資金調達方法は主に2種類あります。一つが株式などの、返済義務を負わない調達方法。もう一つが債券や銀行からなの借り入れなどによる返済義務のある調達方法です。もちろん、株式には返済義務が無いと言っても、その分配当や株価上昇で株主に利益を還元する必要があります。

企業が発行した債券は「社債」、国が発行する債券は「国債」、債券は元本保証。満期まで保有すれば元本が戻ってきますし、それまでにも利息を受け取る事が出来ます。

基本的に元本保証の金融商品は利回りが低いです。低リスクなら低リターンなのは当たり前ですね。

しかし、債券にもリスクがあり、それがデフォルトリスク、貸したお金が返ってこないリスクです。債券は発行体の信用力が高ければ高い程、低リスク、低リターンになります。逆に、発行体の信用力が低ければ低い程、高リスク、高リターンになります。

その信用力を判断するために目安となるのが「信用格付け」です。

信用格付けは、格付け機関が発行体の長期的な債務支払い能力を評価したものです。評価対象が支払い能力=財政の安定性ですから、企業の成長率や収益性などは加味されません。

格付けは、AAA、AA、A、BBB、BB、B、CCC、CC、C、Dに分ける事ができ、BBB以上を投資適格債、BB以下をハイイールド(高利回り)債と言います。格付けランキングの表記については格付機関により若干異なりますが、基本的な見方は同じです。

代表的な格付け機関は以下の通りです。

・S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)

・Moody’s Corporation(ムーディーズ)

・Fitch Ratings Ltd.(フィッチ)

・株式会社日本格付研究所(JCR)

格付け機関の格付けが当てになるかと言うと、サブプライムローンに関する格付けをAAAと評価していたという事実もあり、絶対的に信頼できるという保証はありません。あくまで、参考程度に留めておくのが賢明でしょう。

ちなみに、日本の格付けはムーディーズ:A1、S&P:A+、フィッチ:Aとなっています。日本は毎年、国債の発行により多額の借金をしている事になり、財務的に見れば絶対的な健全とは言えない状況にあります。故に先進国の中でも若干低めの評価をされているわけです。

債券価格と利回りの関係

前述したように債券はデフォルトリスクを除けば、元本が保証された商品です。基本的に債券取引の中心は機関投資家であり、我々には馴染みの薄い商品と言えます。

債券市場には、新発市場と既発市場があり、入札により発行された国債が既発市場でも活発に取引されています。

債券と利回りは逆相関の関係にあります。まずは、とある証券会社にて販売されている米国債をご覧ください。

銘柄名 利率(%) 償還日 残存 購入単価 利回り(%)
アメリカ国債 0.875 2019年07月31日 1.9年 99.42 1.200
アメリカ国債 2.250 2027年02月15日 9.3年 100.72 2.160
アメリカ国債 3.000 2047年02月15日 29.3年 104.91 2.750
ゼロクーポン債 0.000 2020年02月15日 2.3年 97.51 1.080
ゼロクーポン債 0.000 2046年02月15日 28.3年 45.71 2.780

見て分かるように、残存期間が長ければ長い程、利率、利回り共に高い事が分かります。ゼロクーポン債とは利息を支払わない代わりに、購入単価を額面から大幅に割引して売り出す債券を言います。利息が無い分、安く買って、それ以上の額が満期日に戻ってくるので、結果としては通常の債券と同程度の利回りを有します。

ここで勘違いしやすいのは、利率と利回りは違うという事。先ほど、債券価格と利回りは逆相関と言いましたが、上記の表を見ても分かるように、利率と利回りは違うという事です。利率は発行された時から変化することがありません。債券価格に合わせて変動するのは利回りの方です。

例えば以下のような債券があったとします。

1.額面1,000円

2.利率5%

3.償還期限1年

年利が5%ですから、年に50円の利息が貰えます。元本1,000円に対して、戻ってくるのは最終的に1,050円。この場合は利率と利回りが一致するので特に問題はないかと思います。

では、上記債券が既発市場にて以下の条件で取引されていたらどうでしょうか?

1.購入単価1,010円

2.利率:額面1,000円に対して5%

3.償還期限1年(計算簡潔化のために1年としています)

先程も言ったように利率は変わりません。しかし、債券価格自体は1,010円と、発行時よりも人気化したため値上がりしています。

額面1,000円に利息が、1,000円×5%で=50円、購入価格は1,010円ですが、満期日には1,000円しか戻ってきません。この場合の実質的利回りは、利息の50円-(購入価格価格と額面価格の差=10円)で40円となり、元本+利息の1,040円が結果的に戻ってくることになります。つまり、最終的な利回りは40円÷1,010円で3.96%となり、発行時の5%から低下している事が分かるかと思います。これにより、債券価格の上昇=利回りの下落が成り立ちます。

逆に、額面1,000円、利率5%の債券を950円で購入した場合は、利息50円+(購入価格と額面価格の差=50円)で100円となり、元本+利息で1,100円が戻ってくることになります。この場合の最終利回りは100÷950円=10.52%となります。これにより、債券価格の下落=利回りの上昇という図式が成り立ちます。

1000円で発行された債券が、既発市場により1100円とか950円で取引されているという事自体がイメージしづらいですが、何となくの理解で構いません。額面に対する利率は固定ですが、債券価格が上下することで、利回りも変化すると覚えておきましょう。

長期金利のマイナス圏突入

超低金利時代の日本では、2017年9月1日に約9か月半ぶりに長期金利がマイナス圏に突入しました。長期金利とは10年債利回りの事です。以前の記事でも解説したのですが、自身の知識整理のためにも改めて説明してみます。

これまでの話を理解してる方ならばピンと来るかもしれませんが、債券は利息収入を得るために活用する商品のように思えます。しかし、既発市場で活発な取引が行われる事により、売却益(償還差益)を得る事も可能になるです。

そして、長期金利のマイナス圏突入とは国債の利回りがマイナス圏に突入したという意味です。繰り返しになりますが、利率と利回りは別です。利率は発行時から変わる事はありません。

例えば、以下のような債券が取引されていたとします。

1.購入価格:1,200円

2.利率:額面1,000円に対して10%

3.償還期限:1年

上記の場合、満期日までに戻ってくるのは利息の100円と額面の1,000円です。しかし、購入価格が1,200円ですから、最終的な利回りは-100円(-8.333%)となります。つまり、国債の需要が増加した結果、国債価格が上昇→利息を加味しても最終的には元本割れしてしまう。これが長期金利のマイナス圏突入ということです。

債券とは元本が保証された金融商品…のはず。満期日まで保有したのに損してしまったら元も子もありませんよね。いったい誰がどんな理由で国債を購入するのか?

前述したように、債券は機関投資家により既発市場で活発に取引されています。つまり、利回りがマイナスだったとしても、買った時より高い値段で売れば売却益が生じる事になります。満期日まで保有していたら損をするとしても、国債の需要が高まる事が予想されれば、途中で売却し、利益確定をしてしまうのです。このような債券市場のトレーディング化が長期金利のマイナス圏突入の一因になっているのです。

債券系ETFの選び方

前置きが長くなりすぎて申し訳ありません。ここから読み始めたとしても、問題はございませんので、安心してください。

さて、バンガード、ブラックロック共に、様々な債券系ETFを運用しています。たくさん種類があってどれを購入すれば良いのやら…

でも、債券系ETFの選び方って実はとっても簡単です。重要な事は3つ。

  1. 発行元の格付け評価が低ければ低い程、利回りが高い
  2. 償還期限が長ければ長い程、利回りが高い
  3. 利回りが高い程、価格変動のリスクがある

格付け評価が低ければ利回りが高いのは当然ですよね。また、1ヵ月お金を貸すより、10年お金を貸す方がリスクが高いですから、2の償還期限の項目もご理解いただけるかと思います。

ETFは数ある債券をパッケージングしたものですから、ETF自体のデフォルトリスクと言うのは存在しません。また、ETFの特性上、ファンド内で満期日を向かえた債券は償還されると同時に、新たな債券が購入されるという仕組みですから、事実上の満期日というものも存在しません。

故に債券系ETFを選ぶ際は、高利回り=高い価格変動リスク、低利回り=低い価格変動リスクであるという点を踏まえ購入を検討する必要があります。

高利回りにつられて購入すると、思わぬ含み損を抱える可能性が高くなります。しかも、S&P500のように最終的には上昇へ、とはいきませんから、長期で見た場合のリターンは株式よりも劣る可能性が高いです。

点線みたいなローソク足が1年未満の米国債ETF(SHV)、赤が1-3年の米国債ETF(SHY)オレンジが7-10年の米国債ETF(IEF)青が20年超の米国債ETF(TLT)緑がハイイールド社債ETF(HYG)になります。

前述したように、残存期間が長ければ長い程(リスクが高い程)、価格変動の幅も大きく、ハイイールド債のような格付け評価の低い債券の集合体も短期債に比べ荒い値動きをします。

ちなみに、SHYとS&P500を比較すると以下のようになります。

長期で見た場合のリターンの差は一目瞭然です。

債券系ETFのメリット

では、生の債券を買わずに、ETFを購入することのメリットはどこにあるのでしょうか。

生の債券は通常ならば元本+利息をほぼ確実に受け取れます。格付け評価が低ければデフォルトリスクも高まりますが、それなりの債券を選べば変に神経質になる事もないでしょう。

しかし、個人で債券を取引する場合、途中売却と言うのがどうしてもしづらくなります。また、米国債などの場合も、途中売却の敷居が高くなるのと同時に、自分の欲しい期間の債券が売られていない、継続的に債券を保有したければ、満期日以降に新たな債券を購入する必要も出てきます。ETFならばこれらの問題は全てクリアしますから、取引の敷居はかなり低くなるわけです。

さらに、ハイイールド債のようなリスク、利回り共に高い債券は単独で購入すると、デフォルトのリスクがより高くなります。ETFならば、価格変動リスクはそのままですが、多くの債券の集合体であるという特性上、個々のデフォルトリスクを回避することが出来ます。

債券系ETFのデメリット

ETFでの購入した場合は満期日と言うものが存在しません。ゆえに元本保証もありません。アメリカの短期国債(1-3年)のETFだとしても、ファンド内で満期日を向かえた債券は、その分新たな債券を購入するという仕組みが取られているため、自らで新たな購入をする必要はないというメリットはありますが。

また、これは生の債券にも言える事ですが、長期的に見ると債券のリターンは株式に比べ、明らかに劣ります。つまり、若い人の長期的な資産運用にはあまり向いているとは言えません。あくまで、それなりの資産を持った人の運用手段と捉えるべきです。

ハイイールド債よりも、株式の方が短期的な価格変動リスクは高いです。しかし、長期で保有した場合のリターンには大きな差が出てくることを覚えておきましょう。

SHV【iシェアーズ 米国短期国債 ETF】

ここからは、実際にいくつのETFをご紹介していきます。

SHVは、残存期間が1ヵ月~1年未満で構成される米国債のETFです。リスクも低いけどリターンも低い。積極的に購入する商品ではありません。

SHV基本情報【2017年10月12日時点】

設定日 2007年1月5日
純資産 3730億円
平均出来高 577,502 
分配利回り 0.90%
経費率 0.15%
銘柄数 35

短期債+米国債という特性上、デフォルトリスクは極めて低いです。イコール利回りも低いです。素直に株式を買いましょう。

SHV月足チャート

リーマンショック前後以外はほとんど横ばい。これで1%に満たない利回りですから、我々個人投資家がこのETFを買う理由はありません。

TLT【iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF 】

TLTは残存期間が20年を超える米国債を組入れの基準としています。残存期間が長い分、価格変動と利回りはSHVに比べると高めです。

TLT基本情報【2017年10月12日時点】

設定日 2002年7月22日 
純資産 8100億円
平均出来高 8,145,801
分配利回り 2.39%
経費率 0.15%
銘柄数 33

SHVよりは高い利回りですが、それでもVOOなどのS&P500連動ETFよりもわずかに高い程度です。残存期間が長いと言っても米国債である以上デフォルトリスクは極めて低いです。

よく米国債デフォルト問題が唱えられてはいますが、これはほぼあり得ない話です。アメリカドルは基軸通貨であり、各国は外貨準備として米国債を大量に保有しています。これは金融機関等も然りです。よって、仮に米国債がデフォルトした場合は、世の中の金融市場は大混乱となり、収拾がつかない状態となります。アメリカ政府としてもそれだけは何をしてでも避けてきますから、資本主義社会が継続する限り、米国債のデフォルトはあり得ないでしょう。

TLTの月足チャート

ご覧のように、短期債よりも値動きは荒いです。だとしても、キャピタルゲインを積極的に狙うETFではありません。

AGG【iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF】

SHVとTLTの投資対象は米国債のみでしたが、AGGではアメリカの投資適格債券全般(BBB以上)への投資が可能となります。

よって利回りは米国債オンリーよりも高くなります。

AGG基本情報【2017年10月12日時点】

設定日 2003年9月22日 
純資産 4.5兆円
平均出来高 2,516,800
分配利回り 2.45%
経費率 0.06%
銘柄数 6,380

前述2つに比べ、純資産も多く日々の出来高も十分です。経費率も低く、利回りもそれなり。私自身は購入しませんが、これくらいからなら保有するメリットがありそうですね。

AGG月足チャート

短期債と比べると、それなりに値動きはあります。ただ、債券保有の目的はインカムゲインにあることをお忘れなく。

業種別構成割合

財務省 37.80%
モーゲージ・パススルー証券 27.86%
資本財・サービス 15.89%
金融機関 7.89%
政府機関 3.09%
公益事業 2.03%
商業用不動産担保証券 1.81%
国際機関 1.44%
ソブリン債 1.09%
地方自治体 0.87%
キャッシュ等 0.24%

財務省が米国債の事、ソブリン債は他国の発行する国債の事です。ポートフォリオを見る限り、リスクは取りに行っていないことが分かります。

信用格付

AAA 71.78%
AA 3.35%
A 10.65%
BBB 13.98%
キャッシュ等 0.24%

AGGは格付BBB以上の投資適格債が対象であり、中身を見てもAAA以上が大半を占めています。投資適格債のETFだけにリスクは低めと言えます。

HYG【iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF 】

ハイイールド債とは格付がBB以下の債券の事です。また、対象が社債という事から、米国債が中心のAGGよりはリスクが高いですが、利回りも高水準になります。

HYG基本情報【2017年10月12日時点】

設定日 2007年4月4日
純資産 1.7兆円
平均出来高 9,545,139
分配利回り 4.88%
経費率 0.49%
銘柄数 1,037

格付評価が債券を集めているだけあって、利回りは高いです。銘柄数も多く分散も効いているため、生の債券を単独で持つよりかはかなり安心と言えるでしょう。

若干経費率が高いですが、純資産、流動性は十分です。

HYG月足チャート

HYGは社債の集合体ですから、リーマンショック時などは大きく値を下げています。社債は発行体である企業自体の経営が悪化してしまったらデフォルトリスクが高まりますから、この辺りの値動きは妥当ですね。投資適格債で構成されたAGGとはまた違ったETFです。

業種別構成割合

通信 24.76%
非景気循環間消費 13.48%
景気循環消費 13.27%
エネルギー 13.15%
資本財 7.78%
テクノロジー 7.64%
素材 5.32%
金融法人 3.47%
電機 3.11%
銀行業 2.22%

 

信用格付

BBB 0.65
BB 48.55
B 38.23
CCC 11.12
CC 0.93
C 0.03
D 0.03
キャッシュ等 0.48

BB~CCCの債券が中心ですので、利回りも高くなりますが、価格変動のリスクも高くなります。

まとめ

債券系ETFで利回りが高いという事は、その分価格変動のリスクが高いという事です。メリットとしてETFそのものにデフォルトリスクはありませんが、利回りにつられて含み損が出てしまっては、それが将来のリターンを押し下げる要因となります。

繰り返しになりますが、20~40代くらいの人は債券を保有する必要はありません。VOOやVYM、HDVを長期保有した方が将来のリターンには期待できるでしょう。

あくまで債券は補助として捉えるべきです。ポートフォリオの10%程度なら良いかもしれませんが、コアには出来ません。

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