アメリカへの投資において、債券系ETFはポートフォリオに組み込むべきか?【BND・VWOB・PFFを検証】

知ってるようで知らない債券の事。現在では個人投資家向けの国債も販売されてはいますが、債券市場の主役はあくまで機関投資家なのです。

日本の国債を保有していても、得られるリターンは極僅か。だったら対象を国外まで広げて見てはいかがでしょうか?

アメリカには、分散を効かせた高配当の債券ETFがたくさんあります。今回はその代表銘柄と、運用戦略について考察してみました。

債券の基礎知識

日本が発行する国債。この国債を大量に保有しているのは、銀行・年金機構・日本銀行・生命保険会社などです。

中でも、銀行や年金機構などのお金は、元を辿れば私たちに行き着きます。つまり、私達は間接的に国債の保有者となっているのです。

国が発行する債券を国債、地方公共団体が発行するものは地方債、会社が発行するものは社債と呼ばれています。株式会社の資金調達の方法としては、株式発行が広く知られていますが、社債発行は株式発行にはないメリットもあります。

債券はそのリスクによって利回りが決まってきます。これを考えれば、国債よりも社債、先進国債券よりも新興国債券の方が利回りが高いというも納得していただけるかと思います。

債券価格と利回りの関係

ニュース等で、「国債価格が下落し、利回りが上昇」と言った説明を聞く機会はあれど、その真意を理解している人は案外少ないのではないでしょうか。

債券は発行市場と流通市場に分かれており、新しく発行された債券を購入したからといって、必ずしも満期まで持っている必要はありません。途中で売却したい場合は、流通市場によって現時点での価格で取引を行う事が出来ます。この流通市場ではその時々の経済情勢、その他の要因を織り込みながら、絶えず債券価格が変動しているのです。

さて、流通市場では債券の価格が変動すると言いましたが、そもそも債券は満期日まで保有していれば、元本+利息が保証された金融商品です。にも関わらず価値が変動するのは何故なのでしょうか?

債券と言うのは、借金の証書みたいなものです。以下A社の社債発行の流れを例にとって説明し行きます(通常利回り20%なんてあり得ませんが、計算を簡潔にするためにご了承ください)。

A社:100万円貸してくれれば、1年後には年利20%で、120万円にして返しますよ。

上記の条件により、新たに発行されたA社債を購入したとします。その後、とある理由で現金が必要となり、その資金をA社社債を売却することによって得ようと考えました。

しかし、A社は最近経営の悪化が懸念されており、100万円で買った債券価格が80万円まで下落していました。もちろん、著しく経営が悪化した場合などは、元本割れのリスクもあるかもしれませんが、基本的に債券は満期日まで保有していれば、元本が全て返還されます。

さて、発行価格100万円・利率20%の債券価格は現在80万円です。この債券を購入すれば、満期まで保有で元本+利息で120万円を受けとることが出来ます。

80万円の債券購入で、満期日には120万が受け取れるということは、現在の利率は50%という事になります。結果、債券価格の下落=利回りの上昇と言う現象が生じるのです。

簡潔な説明のため、若干省略した部分はありますが、この一連の流れを理解出来れば、債券価格上昇→利回り低下・債券価格下落→利回り上昇、というメカニズムも大方理解できるかと思います。

加えて、投資家達は高リスクを負うからには、高リターンを望むという市場原理も再確認できたことでしょう。

債券系ETFをポートフォリオに組み込むメリット

債券は株式に比べ、価格変動のリスクが少なく、利回りが安定しているというメリットがあります。当然、投資先によって利回りは変わってきますから、高リターンを求めたいのなら、それなりの投資対象を選定する必要があります。

さて、価格変動が少ないという事は、買うタイミングに神経質になる必要はありません。長期投資と言えど、株式である程度の売却益を狙う場合は、取得単価は低ければ低いほど良いのです(だからこそ暴落は仕込み時と言われる)。

キャピタルゲインと言うのは不確実なリターンです。将来の値上がりに賭け、売却益を期待しての投資は失敗のリスクが大いにあります。アメリカのような成長市場と言えど、そのリスクは0とは言えません。

対して、インカムゲインは確実なリターンが期待できます。しかも債券系のETFなら大幅な損失計上の可能性も低く、売却益のように大幅なリターンは期待できないけれど、確実に資産を増やしていく事が可能です。

株式系・債券系、それぞれの組入れ比率は投資家ごとに変えるべき

私は現時点では、債券系の銘柄は保有していません(今後については解りません)。主な理由は以下の通りです。

  1. 現在の自身の年齢や状況を考慮すると、長期間保有後の売却益狙いの運用が適していると考えた
  2. 自身の収入から月々の投資可能金額を逆算すると、配当狙いの投資はリターンが少ない
  3. そもそも成長市場としてアメリカを選んだのは、将来の値上がりを期待しての事

これらについて1つずつ見ていきます。

1.現在の自身の年齢を考慮すると、長期間保有後の売却益狙いの運用が適していると考えた

例えば、定年退職を数年後に控えた人が、老後の資産形成のため、高配当の債券系ETFを購入し、配当金から生活費を得るというのは戦略的にはありだと思います。退職金もいくらか回すことにより、さらに多くの配当金を受け取れることになります。実際はもっと若い頃から、コツコツと積み立てるのが理想ですが。

しかし、このような人が売却益重視で、無配当若しくは利回り1%台の成長企業などの株式に投資をしたらどうでしょうか?

思惑通り右肩上がりになってくれれば良いですが、世界的な暴落が来れば一気に含み損は拡大します。すぐに反発に転じ、暴落前の水準に戻れば良いですが、大抵はそう上手くはいきません。

NYダウにしても、リーマンショック前の水準に戻るまでに5年程度は掛かっています。その間は売るに売れませんし、そもそも暴落時に怖くなって投げ売りしてしまう可能性も出てきます。また、経済全体が停滞し、株式市場停滞期からなかなか抜け出せないという事にもなりかねません。

一方で私のように比較的年齢が若い人は、”時間的な余裕”があります。暴落してもその水準までコツコツと買い増しをするという戦略も取る事が出来ます。リターンを狙う期間を20年後、30年後に設定し、アメリカ市場を投資対象として見るならば、勝率やリターンにはそれなりの期待が持てるのではないでしょうか。

もちろん、VYMやHDVのように売却益と配当金の両方を狙えるETFも多く存在していますので、一概には言えません。

2.自身の収入から月々の投資可能金額を逆算すると、配当狙いの投資はリターンが少ない

結局は自分も今すぐにでも配当金生活に入りたいです。それが可能であるのならば。

しかし、自信の年収にはそれほど期待が持てませんし、日々の生活費を差し引けば、投資に回せる金額は決して多くはありません。利回り5%でも100万円で5万円、1千万円でも50万円、1億でやっと500万円、これに税金が掛かってきます。資産家ならば配当狙いの投資でも十分なリターンを得る事が出来ます。

でも私のような一般庶民は、ある程度のキャピタルゲインに期待をしないと資産を大きく伸ばすことが出来ないのが現実です。

3.そもそも成長市場としてアメリカを選んだのは、将来の値上がりを期待しての事

アメリカ市場を投資先として選んだのは、株式市場に魅力があるからです。結局はこれ、日本市場には無い魅力。だからこそ私は現在のところ、債券系のETFを保有していないのです。

偉そうなことを言ってしまいましたが、結局は個人の考え方によるという事です。私と同年齢の人でもポートフォリオに債券を組み込むのは全然ありだと思います。

しかし、その大部分を債券で埋めてしまうのはもったいない。「若いのですから、将来の成長に期待できる個別銘柄・株式系ETFも保有しましょう」というのが私の考えです。

それに、アメリカには高配当で優良な企業もたくさんありますから、こちらなら配当金も売却益も両方狙えます。これは債券には無い特徴です。

とまあ、自分の考えについては色々と言いたいことが言えたので、ここからはいくつか債券系のETFをご紹介していきたいと思います。

BND【バンガード・米国トータル債券市場ETF】

BND基本情報【2017年6月時点】

ETF名称:バンガード・米国トータル債券市場ETF

運用会社:バンガード

ティッカーシンボル:BND

ベンチマーク:ブルームバーグ・バークレイズ米国総合浮動調整インデックス

設定日:2007年4月3日

純資産総額: 3303.83億米ドル

構成銘柄数:8,646

経費率:0.05%

分配利回り:2.42%

配当日:毎月

格付け別構成割合

米国政府 63.8%
Aaa 5.5%
Aa 4.4%
A 11.3%
Baa 15.0%
Baa未満 0.0%

 

BND月足チャート

BNDをどう見るか?

あくまで私の視点でお話します。

まず経費率ですが、こちらはかなり低めに設定されており、長期投資をする上では全く問題ありません。

チャートを見ても分かるように、売却益中心の投資はそもそも狙えません。肝心の分配利回りですが、現時点では2.42%、しかも毎月配分ですから、そのたびに税金が掛かる事になります。1回で見れば僅かな差ですが、運用期間と資金によってはそこそこの額にはなります。

債券系のETFにしては分配利回りが低い。その理由は格付け別構成割合を見ると分かります。

BNDの大部分を占めているのは、アメリカ政府系の債券です。それに加えて格付け評価の高い債券が組み込まれています。つまり、債券の特徴としては比較的安定している=配当利回りは低い傾向にある、と考える事が出来ます。

それなりに資金力がある人であれば、完全配当狙いで投資をするのもありかなと思います。しかし、私だったらBNDではなく、VOOやVTIを選びます。その上で配当の比率を高めたいのであれば、VYMを追加購入します。

VWOB【バンガード・米ドル建て新興国政府債券ETF】

BWOB基本情報【2017年6月時点】

ETF名称:バンガード・米ドル建て新興国政府債券ETF

運用会社:バンガード

ティッカーシンボル:VWOB

ベンチマーク:ブルームバーグ・バークレイズ米ドル建て新興市場政府債RIC基準インデック ス

設定日:2013年5月31日

純資産総額: 9.54億米ドル

構成銘柄数:955

経費率:0.32%

分配利回り:4.55%

配当日:毎月

格付別構成比率

米国政府 0.0%
Aaa 0.2%
Aa 6.7%
A 16.1%
Baa 36.5%
Baa未満 40.5%

 

VWOB週足チャート

VWOBをどう見るか?

先程のBNDはアメリカの政府発行債券が中心。それ以外をみても比較的評価も高く、投資対象としては安心できる債券で構成されていました。

対してVWOBは、新興市場国政府・政府機関・及び国有企業などです。アメリカ政府発行の債券は含まれておりません。格付けを見てもBNDに比べると、リスクとリターンを取りに行っている事が分かるかと思います。

純資産が少ないようにも見えますが、設定が2013年と言う事を考慮すると、まあ納得出来る数字です。経費率は0.32、100万円の投資で3200円ですから、私の中では許容範囲と言えるでしょう。

分配率は4.55%。BNDの倍近くあります。インカムゲイン目的の場合は、悪くはないでしょう。

分散投資の観点で見れば、BNDで米国債券への投資、VWOBで新興国債券への投資、それぞれの強みと弱みを補いつつ、上手くヘッジが可能だと思います。

しかし、私自身がVWOBへ投資するかと言われれば、現時点では考えてはいません。

PFF【iシェアーズ 米国優先株式 ETF 】

PFFは優先株と言う株式の一種ですが、値動きで言えば債券に近い特徴であるため、今回取り上げる事としました。そもそも優先株とは、議決権を付与しない代わりに、配当を普通株式よりも多めに出すよ、と言った類の商品であり、日本ではあまり馴染みのない商品となっています。

PFF基本情報【2017年6月時点】

ETF名称:iシェアーズ 米国優先株式 ETF

運用会社:iシェアーズ

ティッカーシンボル:PFF

ベンチマーク: S&P 米国優先株式インデックス

設定日:2007年3月26日

構成銘柄数:289

経費率:0.47%

分配利回り:5.61%

配当日:毎月

組入れ上位銘柄構成比率

WELLS FARGO & COMPANY SERIES L 金融 米国 2.92%
ALLERGAN PLC ヘルスケア 米国 2.59%
 
HSBC HOLDINGS PLC
金融  
イギリス
2.36%
BLK CSH FND TREASURY SL AGENCY キャッシュ等 米国 1.71%
 
GMAC CAPITAL TRUST I
金融 米国 1.61%
HSBC HOLDINGS PLC 金融  
イギリス
1.44%
CITIGROUP CAPITAL XIII 金融 米国 1.37%
WELLS FARGO & COMPANY 金融 米国 1.28%
 
T MOBILE US MANDATORY CONVERTIBL
 
電気通信
米国 1.20%

 

ちなみに全289銘柄の内、金融が184銘柄を占めています。

PFF月足チャート

PFFをどう考えるか?

チャートを見て頂ければ分かるように、平常時は債券に近い、低ボラティリティな動きをします。しかし、組み込まれている銘柄に金融系が多いことからも、リーマンショック等の金融ショック時には暴落するという危険性を孕んでいます。

とは言っても、暴落からの回復も早く、過去の値動きだけを見れば、金融ショック時は絶好の買い場とも言えそうです。

経費率は0.47で若干高めですが、配当利回りが5.61%という事を考えれば、十分許容範囲と言えます。

さて、このPFFは先に挙げて2つのETFと同様に、明らかに売却益は狙えません。それでも配当利回り5.61%は魅力的な数字となります。

しかし、今の資金力ですと、配当狙いでPFFに資金を回すよりかは、売却益狙いでS&P500に連動するETFに投資する方が、長期で見た場合のリターンは高くなるというのが、私の考えであり戦略です。

配当利回りが6%近く、組入れ企業も有名どころが並んでいる。VWOBを超えるようなハイリスク・ハイリターンな債券に投資するくらいなPFFに資金をつぎ込みたいとは考えていますが、それはあくまでも先のお話。

そもそも個別には入手しづらい優先株式をまとめて買えるという点では、非常に面白いETFですが、平常時は債券の値動き、大規模な暴落には株式と同じように大幅下落という特性を理解した上で投資するべきなのでしょう。

まとめ

私は現在、債券を自らのポートフォリオに組み込んでいません。その理由についても理解していただけとは思いますが、これはあくまでも私自身の戦略なので、自分が買えば良いと思ったら買えば良いし、不要と思ったら見送れば良いだけです。

大切のは記事中で述べたように、自らの置かれた状況(収入や年齢等)を考慮して投資戦略を立てる事です。

だから私は、債券系のETFを組み込む代わりに、高配当系のETFを継続的に購入しています。これならば売却益と配当金の両方を期待できるからです。また、暴落時には買い増しをし、取得単価を下げ、配当面で有利な戦略を取ることも出来ます。

全ては考え方次第、自らに適した投資戦略を練っていきましょう。

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