FOMC、年末利上げの根拠を強める。日本への影響(日経平均株価・為替)は?【利上げについて分かりやすく解説】

FOMC、年末利上げの根拠を強める

9月20~21日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録により、年内利上げに関する前向きな姿勢が明らかとなりました。
 
8月末、ジャクソン・ホール講演でイエレンFRB議長による、「この数ヶ月で利上げに対する見方が強まった」との発言を受け、一時的に円安が進行し、日経平均株価も一時17,000円台を回復しました。

結論として9月利上げはなかったものの、現段階ではアメリカ大統領選挙後の、12月に利上げを行うとの見方が強くなっています。

FRBは再び利上げに踏み切るのでしょうか。

昨年の12月16日、FRBは利上げを宣言しました。
100年に1度といわれたサブプライム・リーマンショックによる経済悪化を打開するため行われたゼロ金利政策。
長期に渡り継続されてきたこの政策をついに解除したことは、アメリカ経済が不況から立ち直ったことを全世界に向けて印象付ける結果となりました。

その後も、段階的な利上げが行われると思いきや、世界経済に及ぼす影響への懸念や、経済指標の軟調推移から、利上げの実施は見送られてきました。

今月上旬に発表された9月の雇用統計は、市場予想こそ下回ったものの、12月利上げ観測を大きく後退させるような結果でもありませんでした。

では12月に利上げが実施された場合、世界経済、及び日本にはどのような影響があるのでしょうか?

利上げに関する基礎知識から、順を追って説明していきたいと思います。

 

米連邦公開市場委員会(FOMC)

日銀の金融政策決定会合に相当する金融政策の最高意思決定機関のことを指します。
FOMCにより決定された公開市場操作の基本方針は、NY連銀(ニューヨーク連邦準備銀行)に向けて指令されます。
1年に8回、約6週間ごとにワシントンの理事会議室で開催されます。
議長はFRB議長、副議長はニューヨーク連邦準備銀行総裁が担当します。

FRB

ここで言うFRBは連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)の事ですが、連邦準備銀行(Federal Reserve Bank)という用語もあります。
この際、まとめて覚えてしまいましょう。

FRBを理解するために必要な連邦準備制度(Federal Reserve System、FRS)

アメリカ合衆国の場合は中央銀行制度が、連邦準備制度(Federal Reserve System、FRS)として存在しています。
FRSという制度は、連邦準備制度理事会(FRB)、及び12の連邦準備銀行(FRB)、連邦公開市場委員会(FOMC)によって構成されています。

連邦準備制度理事会 (Federal Reserve Board)

FRSの中枢機関です。
金融政策に関するあらゆる最終決定権を持ち、実質的にアメリカの中央銀行としての役割を担っています。
FRBはアメリカ大統領により任命された7人の理事により構成され、2014年から、ジャネット・イエレンが議長を務めています。
FRB、特にイエレン議長の発言は世界経済に与える影響度も大きく、連邦準備理事会=アメリカ経済の中央的存在と言っても過言ではありません。

連邦準備銀行(Federal Reserve Bank)

連邦準備理事会 (FRB)と、連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定を実行する機関を指します。
全国を12に区分した各準備区ごとの中心地に連邦準備銀行が設置され、その下部には約5700の加盟銀行が属しています。

そもそも利上げとは?

利上げ=政策金利を上げる事です。

政策金利とは

政策金利とは、中央銀行が民間の銀行にお金を貸す際の金利のことを言います。
例えば、日本銀行がみずほ銀行にお金を貸し出す際、みずほ銀行は日本銀行に、1年あたり0~0.1%の利息を払っています。
現在の政策金利は限りなくゼロに近いので、これをゼロ金利政策と呼んでいます。
つまり、ゼロ金利政策=必ずしもゼロという訳ではなく、ゼロ金利に限りなく近いという意味になります。

利上げ=金融引き締め政策

利上げをすると、銀行は中央銀行から資金を調達する際に、これまでよりも多くの利息を支払わなけらばなりません。
すると、高金利で借りたお金は、高金利で貸す必要が出て来ます。
こうして、採算をとるために、世の中のあらゆる金利が上がっていくのです。

かつて、ゼロ金利政策を導入し、市中に出回る資金量を増やしてきたアメリカは、インフレの可能性について考える必要がでてきました。

ゼロ金利政策により、金融機関の資金調達を容易にした結果、お金は行き場を求め、設備投資・雇用の増加等、様々な成果を生み出しました。

しかし、経済状態の過熱は、度を過ぎればインフレを招き、社会に悪影響をもたらすようになります。

リーマンショックから回復したアメリカは利上げにより、経済を正常な状態に戻そうとしているのです。

利上げをするとアメリカドルが買われる理由

利上げを行うと、ドル高になると言われていますが、これはいったい何故でしょうか。

アメリカが政策金利を上げると、それに合わせ、預金金利(私たちが銀行に預けた時に付く金利)も上がります。

主要通貨で流動性の高い米ドルですが、低金利政策により、米ドルも保有するよりも、多少のリスクを考慮し、南アフリカランドやニュージーランドドルを保有した方が多くの金利を受け取れるという状況が続いていました。

つまり、利上げにより金利が上がれば、基軸通貨であり、流動性のある米ドルが買われるであろうという事なのです。

アメリカの利上げによりどんな影響があるのか?

利上げによる影響その①:株価が下がる

金利が上がれば、株価は下がる傾向にあります。
これまでは、低金利で資金の調達が出来ていましたが、利上げにより金利が上がれば、当然企業の返済額も増えます。

返済額の増加=企業業績の悪化
アメリカ企業の業績悪化は取引のある世界の企業に影響するため、アメリカの株安は、世界の株安に連鎖するとも考えられています。

しかし現時点で、12月の利上げを市場はほぼ織り込んでいると言われており、利上げという膿が出されたことにより、そこを転換点とし、株価が上昇するケースも考えられます。

ここで、昨年の利上げ実施日である、12月16日前後のNYダウ・ドル円・日経平均株価のチャートを見てみましょう。

チャートはマネックス証券さん及び、松井証券さんからの転載です。

NYダウ(2015年10月19日~2016年10月17日)

1

ちなみに、
12月16日及び、前後日のNYダウの推移は以下の通りです。

12月15日
始値 17374.78
高値 17627.63
安値 17341.18
終値 17524.91

12月16日
始値 17530.85
高値 17784.36
安値 17483.68
終値 17749.09

12月17日
始値 17756.54
高値 17796.76
安値 17493.5
終値 17495.84

チャートを見ると、利上げ実施後に株価は大きく下げていますが、2016年の2月頃からは再び上昇に転じています。
そして、8月に過去最高高値を更新し、現在は持ち合い相場が続いています。

日経平均株価(2015年10月19日~2016年10月17日)

2

利上げ実施の発表後の相場は12月17日なので、17日及び、前後日の日経平均株価推移は以下の通りです。

12月16日
始値 18868.20
高値 19054.89
安値 18859.11
終値 19049.91

12月17日
始値 19364.57
高値 19507.17
安値 19325.15
終値 19353.56

12月18日
始値 19320.46
高値 19869.08
安値 18982.25
終値 18986.80

日経平均株価は下降トレンドであったこともあり、利上げ実施後も大きく下げています。
現在は上限を17,000円付近としたレンジ相場が続いています。

ドル・円(2015年10月19日~2016年10月17日)

3

 

12月16日、及び前後のドル円の推移

12月15日
始値 121.05
高値 121.79
安値 120.57
終値 121.68

12月16日
始値 121.68
高値 122.43
安値 121.38
終値 122.23

12月17日
始値 122.21
高値 122.87
安値 122.20
終値 122.55

ドル円も日経平均株価同様、下降トレンドであり、利上げ実施後も円高が進行しています。
最近になり、ようやく円安への兆しが見えてきたかなといった状況でしょうか。

理論上は、利上げによりドルが買われるから、円安進行だなんて言っても、市場の反応はその時になってみなければ分かりません。
市場は織り込み済みと言う観点から考えると、株式市場・為替市場共に影響は限定的という可能性だってあるのです。

利上げによる影響その②:新興国の株式・債券市場が下落する。

米国の中央銀行がこれまで金利を低くしていたのは企業などが資金を借りやすくするためです。
世の中の資金流通量を増やすことにより、景気を良くし、雇用を支えるのが目的でした。
米国から溢れた資金は新興国に流れ込み、新興国の株式や債券は買われて、米国だけでなく新興国の景気も同時に支えてきました。
アメリアの利上げはこの流れに逆行する事、つまり、これまで新興国に流れていた資金量が減少することにより、新興国経済が混乱する可能性があるのです。

アメリカの利上げは世界経済に大きな影響力を及ぼす

アメリカFRBは、利上げを匂わすような発言をしつつも、なかなか実行に移さずにいました。
アメリカの利上げは、世界経済に大きな影響を及ぼす可能性があるからです。

そのため、FRBは世界情勢やアメリカ国内の経済状況を慎重に見極めながら、利上げ実施の有無を判断しているのです。

世界経済への影響の大きさを考慮しているからこそ、一気に上げるのではなく、段階的な利上げが必要なのです。

利上げが実施された場合の日本への影響

単純に、利上げ=アメリカ株安とドル高という式が成り立つわけではありません。
現状を踏まえ、私なりの考えをお話ししたいと思います。

NY市場=12月の利上げを織り込み済み
先ほども言ったように、現時点で12月の利上げについて、市場は織り込み済みと言う見方が強くなっています。

全く予期しないような利上げであれば、株式市場の下落という結果を招くという可能性は高いですが、織り込み済みという観点から考察すると、逆の現象が起こる可能性もあります。

利上げ実施後、しばらくは下げに転じる可能性がありますが、ある日を境に上昇に転換すれば、日経平均株価にも好影響をもたらします。

昨年の利上げ実施時は、日経平均株価も、ドル円も明らかな下落トレンドでした。
強い下げ相場の時は、ちょっとやそっとのファンダメンタルズ的要素では、トレンド転換は起りえません。

しかし、現在は違います。
日経平均株価は、下げ相場から停滞期でのレンジ相場へ移行し、上放れのきっかけを掴もうとしています。

ドル円も、今まで強力な上値支持線として機能していた、75日移動平均線を下から上に抜け、円安進行への足掛かりを探しています。

下降相場での利上げは、下げ途中の一時的な調整で終わりましたが、現時点のような、上昇相場へのきっかけを探しているタイミングでは、プラスに作用する可能性があります。

NY市場の上昇=日本株上昇

円安の進行=輸出企業の業績改善=日本株の上昇

こうなることも可能性の一つとして、考えておいても良いのかなと思います。

結果は神のみぞ知る

現段階で考えらることは、これまで述べてきた通りです。
しかし、12月までの間に世界で何が起こるか分かりませんし、予想はあくまでも推測の域を出ることはありません。

市場の反応もその時になってみなければ分かりません。

今回は11月にアメリカ大統領選挙も控えていることから、こちらの結果も市場に大きな影響を与える可能性があると言われています。

だからこそ、的確な予想など出来るはずがありません。

まさに、
「神のみぞ知る」
と言えるでしょう。

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