人工知能(AI)の市場参入で、個人投資家の立ち位置はどう変わるのか?

過去の膨大なデータを解析し、将来相場に確変を起こすであろう、人工知能による取引。果たして未来の相場はどうなっているのか。巷で言われているように、個人投資家には敗北しか残されていないのか?

以前に、「個人投資家は人工知能により淘汰されてしまうのか」という記事を書きました。あれから然程、時間が経っていないにも関わらず、人工知能の進化は留まる事を知りません。

もはや、将棋やチェスなどの1対1のゲームで、人間が人工知能に勝つのは無理なのではと思うようにもなりました。

果たして、今後個人投資家の取引はどう変わっていくのか。改めて考えてみました。

過去データの分析力では勝ち目無し

膨大なデータを蓄積・解析し、自ら投資判断をしていく人工知能は、人間では到底行き着くことの出来ない遥か彼方にいます。データの解析という側面から見れば、これは間違いありません。

対して、人間も過去のデータ・経験・裁量を軸としてトレードをしています。しかし、人間の持っているデータは人工知能の圧倒的物量には敵いませんし、そこに人間独自の思い込み・感情・偏りが入ってくることを考えれば、分析自体が明らかに不完全であるという事実も拭い去る事は出来ません。

経済学者・アナリスト等の専門家でさえ、満足に将来の相場を予測することが出来ないのですから、我々個人投資家が相場の行く末を正確に分析することなど不可能なのです。

そもそも個人投資家によるデイトレードの勝率は1割以下?

株価は長期的には業績や社会情勢を織り込みながら推移していきます。しかし、短期的には大衆心理・突発的材料等の不確定要素を織り込みながら変動していきます。

この考えを当てはめるのならば、長期投資ならば個人投資家にも勝利の道が残されているようにも見えます。そもそも長期に渡る株価変動までも、人工知能により操作されてしまっては市場の公平性が阻害されしまいますし、資金調達のための株式発行と言う根本も揺らぎかねません。

短期売買、特にデイトレードはマネーゲームであり、ゼロサムゲームです。これは仕方ありませんし、流動性の観点から考えれば、このような短期間の間に何度も取引をする人たちも、相場には必要な存在なのです。

ここで考えるべきは、個人投資家の短期売買における勝率です。アルゴリズムよる高頻度取引などは置いておくとして、人工知能が今日程の話題になる前も、個人投資家のデイトレードによる勝率は全体の1割以下と言われています。正確な統計資料が手元にないのでハッキリとは言えませんが、この数字は感覚的には合っているような気もします。

人工知能が登場する前から、そもそも個人投資家は短期売買では圧倒的に不利であったという事実。じゃあ、人工知能の登場で、勝てる個人投資家はさらに少なくなるのか、と言われると実はそうでもないのかなと思っています。理由については後述します。

1対1では勝ち目なし。複数のプレイヤーが存在したらどうなるのか?

人工知能と人間が1対1のゲームをしたら、まあ勝ち目はないでしょう。将棋やチェスの名人をなぎ倒してきた、人工知能は恐るべきポテンシャルを秘めています。

しかし、これはあくまでもマンツーマンのお話。相場は膨大な人数の参加者により構成され、戦略も心理状態も人それぞれです。

負けてばかりいる個人投資家に共通する習性と言うのは確かに存在しますが、基本的には皆が違った戦略、同じ手法でも個人の裁量が入れば、それは違った手法になります。

いくら人工知能と言えど、個人投資家全員から利益をむしり取る程のは難しのではないでしょうか。

仮に人工知能がA株を空売りしたとします。これにより株価が大きく下がり、A株を買っていた個人投資家Xは損失を被る事になるでしょう。しかし、個人投資家Yが人工知能と同じく空売りをしていたら、このタイミングで利益が確定出来るかもしれません。

あくまで私の考えであり、仮説です。

AI対AIの構図も必至

現在、東証一部の売買代金の6~7割は海外投資家によるものです。残り2割が個人投資家、1割が証券会社による自己取引、国内法人等です。

さて、国内の機関投資家にはGPIFや銀行、生保などの長期投資派の参加者達もいます。となるとやはり、個人投資家の最大の敵は海外投資家という事になります。短期売買に関し言えば、証券会社などでもディーラー業務がありますので、こちらもデイトレードにおいては強敵となるはずです。

マザーズ・東証二部などでは主体別の売買割合もまた違ってきますが、東証一部に関しては個人投資家の割合は多くはない。ということは必然的に人工知能同士による戦いも生まれる事となります。決して人工知能を駆使するファンドが全て勝者になるという事は、需給の面からしてもあり得ません。

そこで始まるのは人工知能による人工知能の淘汰です。人工知能と言えど、必ずしも同じ戦略で取引を仕掛けてくるとは考えられません。相反するような戦略も存在するはずです。そこに個人投資家が付け入る隙は必ずあるのではないでしょうか?

結局のところ、勝てる投資家は勝つ、負ける投資家は負ける。ただそれだけの事で、今までと何ら変わらないのではと思ったのです。そもそもこれまでも勝者の割合が少ないのですから、人工知能の出現によって勝てなくなった、という考えにはいささか疑問を覚えます。

過去の分析は当てにならない?ランダムウォークから相場を分析

明日の株価が上がるか下がるかは1/2。株価の変動は長期的に見ても、短期的に見ても動くパターンは2通りだから、未来の株価を予測することは不可能。ゆえに過去のデータを分析すること自体も無意味。テクニカル分析なんてもっての他。

これがランダムウォーク理論です。

短期売買においては、それなりにテクニカルの恩恵を受けていると感じる私ですが、上記の考えもあながち間違ってはいないと思います。ただ、長期的には株価はファンダメンタルズ要因を反映する。すなわち、ランダムウォーク理論が成り立つのは、あくまで短期的な値動きに限るのではと言うのが私の意見です。

しかし、株価の動きをランダムウォーク理論に当てはめ検証してみるのも面白い。ということでエクセルにてランダムウォークチャートを作成してみました。

以下の4つのチャートの内、2つは本物の株価チャートで、残り2つはエクセルのRAND関数にて作成したチャートです。

あなたには本物のチャートが見つけ出せるでしょうか?

さて、どれが本物か分かりますか?

ご覧のようにランダムウォークで作ったチャートも、トレンドラインを引こうと思えば引けるでしょうし、移動平均線や一目均衡表を表示させたら、それなりに機能しているように見えるでしょう。

高値と高値を結んで、安値と安値を結んで、三角の持ち合いを作って見たり、トレンド転換ラインを引いてみたりと、これを見るとそれが無駄なのではと思えてくる程です。

線なんて、トレンドラインなんて、支持線なんて、抵抗線なんていくらでも引けてしまうのです。

自らのテクニカル分析を否定してしまうので、この辺りにしておきますが、そもそものチャート分析の有効性を疑いたくなります。

株価がランダムウォークなら分析もクソもないのでは?

短期的な値動きがランダムウォークなら、そもそも過去の値動きや膨大なデータ自体が無意味なのでは?と言いたくなります。

この考えでいくと、ビックデータが解析できる人工知能にどれほどの優位性があるのか疑問を持つのではないでしょうか?

だってデータが無意味なら、その無意味なデータを分析すること自体には何の価値もありません。はたまた、人工知能はそれ自体も考慮に入れた上で取引を行う事が出来るのか?

結局、考えても考えても正しい答えは見つかりません。

自らの判断と逆の売買をしても負ける

1年間デイトレをして、損失100万円を計上した人が、取引の際に、自らが「買い」だと思ったら売り、「売り」だと思ったら買う。このような売買をしてもおそらくはトータルプラスにはなりません。

その理由は、人間の心理にあります。大切な資金の投入は、瞬時の判断を鈍らせ、損をしたくない心理が適切な処理を出来なくさせるのです。

短期売買に限って言えば、株価は市場参加者たちの心理で動いています。その心理をも人工知能は手玉に取れてしまうのでしょうか。

まとめ

短期売買の世界から個人投資家は消えてなくなるのか。

はたまた、相場そのものから消え去ってしまうのか。

考えれば考える程、分からなくなってきます。

市場参加者たちに与えられた行動は3つ

  1. 買う
  2. 売る
  3. 様子見に徹す

たったこれだけです。それなのにその全ての行動が破滅に向かうとは、現時点では考え難いです。

さらなるアルゴリズムの登場により、取引そのものが革新的に変貌を遂げてしまえば、もう手の出しようはないでしょう。しかし、これまでと通りの相場が続くのであれば、もう少し楽観的に考えても良いのではと思います。

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